第三章 三度あることは四度ある-7-
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「え…?待って、こいつが…」
女子高生が答えた。後ろからきた人物はどうやら彼女の連れらしかった。
「うちにぶつかってきてさあ、こんななの」
女子高生は手中のホットドッグの包みを見せる。「ふーん……ナオが汚れたんじゃないんだから、いいじゃん。それより、早く行くよ」
「はあ?良くないし。まって」
「しょうがないなあ」
連れらしき人物が、ナオという名前であるらしい女子高生の方に向かってきた。
(…?どっかで……)
その顔は、若干見覚えのある顔だった。
秀一が名前を思い出す前に、向こうの方が声を掛けてくる。
「あれ……?霞持クン!?」((ああ…想い出した。確か……)
「中学んとき一緒だった永倉沙 夜花だよ。覚えてる?」「ああ。」
一度同じクラスになったこともあるはずだ。
「お久ぁ」
「何!?サヤカ、そいつと知り合いなわけ!?」
「うん…。ていうかナオ、なんで怒ってんの?」
「だからあ、そいつがうちのお昼を台ナシにしたんだって」
彼女はもう一度、沙夜花にファーストフードの包みを見せた。
「ホント?」
沙夜花は秀一の方を見る。秀一の白色系のコートには、かなり広範囲にわたって赤いシミが出来ていた。
その見事とも言えなくもないコントラストのせいで、秀一はすれ違う人から必ずと言っていいほど痛い注目を浴びている。
「そっちが立ち止まっている俺にぶつかってきたんだよ」
大衆の視線から逃れたいということもあり、秀一はため息混じりに沙夜花に向かって事情を要約、説明した。
「ふーん……」
沙夜花が一人頷く。
(まぁ、どっちにしろ友人の肩を持つだろうし……言ったって無駄か…)
「だってさ。ナオ。」
「……?」
しかし、意外なことに、沙夜花は秀一の言をそっくりそのまま肯定してしまった。