第三章 三度あることは四度ある-5-
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秀一は沈黙に耐えられなくなり、手元のパッケージに目を落とした。
確かに、『使用期限』の欄の日付は今日から四日後になっている。
「あーあ…いつ入荷したんだよ…」
「ん」
蓁が諦めたように言うと、店主は機器で薬の外箱のバーコードを読みとった。
「……」
「三年…まえ?」
画面をのぞき込んだ蓁が絶句した。
「そういえば、そのような気がしないでもない」
しかし店主は涼しげな顔をして言う。
「ぬけぬけと言うなよ…手を抜いて新しいものをどんどん手前に入れてるのが悪いんだろ!!あんた、それでも薬剤師!?」
もしかしなくても息子の方がこの仕事に向いているようであった。
「もうだめだ……」
蓁は深刻な表情で嘆息する。
だが店主は臆せず秀一に言った。
「秀一君、使用期限がもう残り少ないようだから、それは差し上げるよ」
さすがにこの提案には蓁も苦言を呈することもなかった。
「悪いな、秀一。こんな親父で…。」
店主が薬品を包んでいる間、蓁は秀一に半ばぼやくように言う。
「秀一君、これも持って行ってくれ」
店主は先ほどの葛根湯も一緒の紙袋に入れた。
「友人さんから風邪もらうといかんからねえ。調子がおかしいと思ったらすぐに飲みなさい」
「ありがとうございます」 秀一はその紙袋を受け取った。
「なんだ、もっとゆっくりしていけばいいのに」
秀一が早くも帰る素振りを見せたので蓁はあからさまに落胆した。
「いや、具合悪い人がいるから。…布団からでられなくなってるんだ」
「そうか。じゃあ気をつけてな」
「ああ。…お世話になりました」
秀一は奥の店主にも声をかけた。
「ありがとうございました」
店主は、店員らしくそう言って、秀一に手を振る。
秀一は、今度こそドラッグストアを出た。
あとは薬を持って帰るだけ─、と、思いきや。
(あ…)
秀一はあることに気づいた。
(ティッシュペーパー!!) 店主とその息子の旧友話し込んでいたため、買うのを忘れていたのだ。
(こう何回も忘れる俺って……。)
勿論、忘れ物を取りに戻ったために先日起きた悲劇(?)を忘れたわけではない。
しかし、忘れたくて忘れ物をしているわけではないので仕方がなかった。
(今回も、変なのに会わないといいんだけどなぁ…)
何となく、嫌な予感がした……。
『昨日』の『今日中』に更新するのは無理でしたが、『今夜中』に更新は達成………!!…威張れることではありません……。(ゴメンナサイ。)打つのが遅いのです。パソコン欲しぃ─…(T^T)ノシ!!(←貧乏)