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第三章 三度あることは四度ある-3-

 投稿前に矛盾が発覚してしまったので。昨日は勝手に休んでしまいましたっ……(-_-;)。ご迷惑をおかけしてすみません<(_ _)>!! 今日から通常通り更新を進めますっ。

-3-

「探してみると言ったものの…」

 自信ありげについ言ってしまったが、よく考えてみると、そういう薬があるということしか分からなかった。


(どこに売ってんのかなあ……)

 父親が買ってくるまで、総合感冒薬の散剤など、あまり目にした記憶がない。 というよりも、父子そろって滅多に風邪を引かないため、ついこの間まで風邪薬の存在さえさえほとんど忘れていたほどである。

 探すにはだいぶ苦労しそうであった。


 とりあえず、コンビニエンスストアには売っていないように思われる。

(となると、父さんの行っていそうな所か?)

 たいていの店が開く時間となったので、秀一は、コンビニではなく以前父と行ったことのあるドラッグストアに行くことに決めた。

(といっても、何箇所かあるしなぁ)

 だが、幸い、運動部員柄高校周辺の薬局やドラッグストアの位置は明確に把握している。

(適当に行ってみるか)


 秀一が向かった一件目は駅近隣の小規模なドラッグストアであった。

 駅周辺の地価が高いためか、店内はかなり狭い。

 そのような事情で商品はやや雑多に並べてあるのだが、この店によく足を運ぶ秀一は、店主と顔見知りである。

「やあ、また部活かい?」

 店主は四十代後半で、息子は秀一の中学時代の同級生だ。秀一はこの店を利用したのをきっかけに、息子とは結構仲が良い。

 もっとも、高校は別々であるため、最近はさほど顔を合わせていないが。

「陸上?…それとも国際?」


 秀一は国際部という至極少数派の部活をメインに、幼少時からの才能を生かして陸上部を掛け持ちしているのだ。

 国際部というのは、英語、フランス語、ドイツ語、中国語などを学習するだけの至ってシンプルな活動を行っている部だ。

 しかし、部の雰囲気というものがなじみやすかったらしく、秀一は飽きもせずマイナーな部に安住している。

 ただ、毎日自主トレーニングを欠かさない上、『常設の陸上部員へ!!』という勧誘が激しいため、どちらが本業といっていいかは分からない。


「いえ、─国際で怪我はしません。今日は風邪薬を探しに来たんですよ」

「何?父さんが風邪か?」

「父ではなくて、友人なんですが…」

 青嵐のことを一言で説明するのは非常に難しいことである。

 秀一は、青嵐を『友人』ということにした。

(まあいいや…あながち嘘でもないし)

「その友人が、粉末がいいと言うんです。そいいうの、ありますか?」

「うーん……粉末か…こんなのしかないんだが……」

 そう言って店主が手にした箱には『葛根湯かっこんとう』と印字されている。

「友人さんの風邪ってのはどうなんだい?」

「えっと…かなり苦しんでますね。『暑い』とか『寒い』とか言ってて…どっちか分からないんですが」「ん、じゃコレは向いてないわなぁ」

 店主は『葛根湯』を棚に戻した。


「…?風邪薬じゃなかったんですか?」

「風邪薬っちゃあ、風邪薬なんだが…」

 店主の話によると、葛根湯というのは漢方の一種で、体を温めるなどの作用がある薬だそうだ。

 だが、これは原因療法用であり、対処療法には向いていない。風邪の初期症状時に風邪のウイルスを体外に排出するだけで、症状を緩和する作用はないらしい。

 つまり、『引き始めにどうぞ』という代物なのである。

(そうなのか…。始めて知った)

 少なくとも、青嵐には不適当であるようだった。

「まいったなあ…散剤ねぇ…どっかにあったようだが」

「そうですか…それじゃあ、他を当たりますね」

「役に立てなくて申し訳ないねぇ」

「それじゃ…。」

 秀一は、次を当たるために店を出ようとした。


 すると、入り口から入れ違いに別な人物が入ってきた。


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