序章
初めまして、上月夕暮ですm(_ _)m。作家・田中芳樹氏にあこがれ書き始めました。読んでいただけると幸いです!!
そうち、という土地は中部地方の山間部にあった。
漢字で『霜置』と書くその町は、夏になれば日本でも有数の避暑地として賑わうのだが、冬である現在は昼間でも閑散としていた。
深夜ともなると尚更である。道路に点在する街灯がかろうじて人間の気配を示している他は、生物の反応は感じられなかった。
しかしこの夜、その静寂を破る者がいた。
「おい・・・マズいぞ」 高級車のハンドルを握る男が助手席の男に話しかける。
二人の男はまだどちらも若かった。
「ああ、はぐれたらしい」
助手席の男が答えた。
二人は比較的裕福な家庭で育ち、有名私立大学に通う身であった。そこそこ勉強をこなし、親には時々『調子はまずまず』、『元気でやっている』などと報告する。
世間の目で見ればいわゆるよく出来た息子、といったところであった。
しかし、彼らは、『世間』の目の届かないところ、すなわち学問以外のところでは己の欲望に忠実であった。
たとえば、両親の財力をいいことに自分の住む高級マンションの一室に専用の本格的なシアターを構え、連日のように、取り巻きと共に米国製ポルノVTRを観賞する。月に一度は乱交パーティを開き、覚醒剤や大麻を当たり前のように持ち込む。
未成年の後輩に今時流行らないイッキを強要するのはまだ軽い方だ。 それらの素性は明らかになることはない。彼らは親の権力に庇われており、親にさえいい顔をしておけばいいのだ。さらに始末の悪いときは親が知っていたとしても知らぬ体を貫き通す。
今回はその一貫でか、親の高級車でレースをしようという話になり、交通量が極端に少ない山間部へとやって来たのであった。
しかしその途中で何人かがふざけ出し、コースが決定しないうちにレースが始まってしまった。 その結果、この霜置に迷い込んでしまったわけである。
「やべぇ…ケータイも通じねえぞ」
「うっそ…マジかよ……」
人里で電波が通じないのは奇妙なことであった。念のため携帯の角度を変えてみるが、どの方向に向けても『圏外』の二字は消えない。
そこで仕方なく、開いている店を探す。だが、当たり前のように、このような山間部で深夜に営んでいる店などない。 諦めて、近くの民家の戸を叩くことを決めた時であった。
「あ、あれ」
街灯に照らされてか、丁字路の突き当たりに面しているブロック塀に細長く影が伸びていた。
どうやら人のようである。いまいちよく姿は見えないのだが、その人物は車の後方に居るらしい。二人は車を止めた。
「人かぁ、丁度どいい。一晩泊めてもらおうや。こんな所だから家はボロいだろうけどな」
恐怖を押し殺そうとしているのであろう。運転手である男はヘラヘラと締まりのない笑いをしながら、後ろを振り向いた。
「………?」
しかしすぐに男の顔は不可解さに満ちていった。
…振り向いた先、そこにあるべき人影が見えなかったのである。男は再び恐怖を覚え、隣の友人に話しかけた。
「おい……確かにその塀に影があったよな」
「ああ……あった……。」
もしかすると、その人影は自分の家に入ったのであろうか。 それとも、目の前の影はただの見間違いだったのだろうか。
それを確かめるために前を向こうとした刹那。
べおん、という異音をたてて、車の屋根がへこんだ。
「!?」
二人の視線が屋根に釘付けになる。へこんだ部分はちょうど大人の足位の大きさであった。……そして、10cmほどものめり込んでいたのだった。尋常なへこみ方ではない。
それでも余力を振り絞って釘付けになった視線を外し、フロントガラスの方に向き直ると、確かに例の影はあった。─…ただし、先ほどのように車の後方ではなく、車の上に影は位置していた……。
「お……おい………」
助手席の男はひきつった顔で運転席の男に声をかける。─しかし。
運転席にいた男は、もはやかつての彼ではなかった。彼は、異形の塊と化していた─…………しわがれた老人の指のような、無数の黒い触手の塊に、変わり果てていたのである。「ぎゃああああ……」
助手席の男は悲鳴を上げる。だが、それは黒い触手に阻まれ、かき消されていったのであった。
その一連の動作を終えた触手の主は、何事も起こらなかったかのように元の人型に戻り、去っていった。─あとに、全身に触手を突き立てられ、内臓を尽く吸い出された『残骸』を残して。
お読み下さってありがとうございましたヾ(^▽^)!! 生まれて初めて小説を書いたので支離滅裂な文章になりました。ごめんなさい(-_-;) ぜひ感想をお聞かせ下さい♪ 誤字・脱字・意味違いの指摘もお願いします(笑) 序章は重苦しくなりましたが、第一章はもうちょっと読みやすくするつもりです。 ご愛読よろしくお願いします(^-^)/!!