輪廻心帰。彼女は自分の魂を見る。
自信たっぷりに言い切る暗羅に何て言葉にすれば良いかどんな顔をしたら良いか分からなくなる。
(いや、実際何度か死のうとか考えたし死にたいって思ったけど....痛いか苦しいじゃん、絶対。精神がかなり痛いし苦しいのに肉体まで痛いとか苦しいとか想像しただけで無理)
「あーまあ、うん。そうだよな......後は何かある?」
素直に褒められたと思って受け止めた方が良いのだろうか。とあーちゃん、暗羅の言動に煮えきれない声でしかし、そのことがあったとしてもまだ自分には資格。
否、素質がないと思うからか暗羅に追求する。
「あるぞ! それは、お前が持っている愛憎がとある妖の思考と一致し魂も同じであることだ! 証拠なら此処にある!」
暗羅は、考える素振りも見せずに即答する。
理由もちゃんと言いながら徐に千衿の真正面に立てば言い終わると同時に跳び跳ねてずぶりと千衿の心臓がある部分に手を入れた。
「あぐっ......あ、あーちゃん?何を」
自分はもう死んでる筈なのに、痛い。痛いと云うより首を絞められたように苦しくぞわりと何とも表現し難い気持ち悪さが込み上げる。
暗羅の手が体に入り自分の心臓を鷲掴みにされているのが安易に想像出来て、暗羅の腕に手をやり苦しそうに息をしながら云う。
「魂に直接見せる! 俺が仕えるべき者に相応しい主だと云う証拠を!」
暗羅の体は跳び跳ねた状態。空中に浮いたままでまるで暗羅の下には透明な床があるかのようにちゃんと両足が揃っている。
暗羅は、千衿の心臓を鷲掴みしたまま千衿に視線を合わせて大丈夫だ。と云うような笑みをして云うと目を閉じた。
そして、心の中で千衿の脳にも届くように念じる。
(輪廻心帰)
「っ?!」
千衿の脳に届いたのか瞼を更に大きく開いて、驚いたような表情で暗羅を見たものの何故か景色ががらりと変わっていた。
常世に向かうため暗羅が通ったという狭間を使い、灯籠の灯りが疎らにある何処か、祭りを彷彿させるような、風情がある日本庭園のような砂利道を暗羅と共に歩いて、遠くにある和風の家々、田舎を彷彿させる田んぼがある景色。
それが、今は青く晴れ渡った空に湖だろうか湖の中心に居て水の上にどういう原理か立っている。
だが、景色ががらりと変わったと同時に自分の体は後ろに倒れていく。
ゆっくりと後ろへ倒れていき、背中から水面に当たりそのまま沈む
ごぼりっと口から息を吐き出した後、意識が遠退いていった。
意識が途切れる前に見たのは、黄昏に光る結晶のような何か
魂そのものが、千衿が湖に落ちた後に暗羅の手から落とされた。
紛れもなく千衿の魂だ。
しかし、そう何故か自分の魂だと云うには、あまりにも力強さというか、今の自分にはない自信を持っている輝き。
(......あーちゃんが、強いって言っていたのはこの魂を見てか。確かに強さを感じる......俺にはないような輝き)
手を伸ばす。自分の魂には見えない魂に。でも、叶わなかった。
魂に手が届くこともなく、意識は暗く深い闇に閉ざされる。闇の中で誰かの声が千衿の耳に届く。
あとがき
あーちゃん、君のその笑み。絶対千衿から見たら悪魔にしか見えな....嗚呼、そう云えばあーちゃんは妖で悪鬼だったわ。と書いていて思い出した瞬間です。
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此処まで読んで頂きありがとうございました!次回も宜しくお願い致します!