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そのいち

魔法の道具って見たことある?


魔法の道具なんて見たことないし、そもそも魔法なんて存在しないって思ってるでしょ?


僕は魔法を見たことあるよ。

ほうきで空を飛んだり、風を巻き起こしたり……。


それに、僕の机の引き出しには魔法の鍵束が入っているんだ。


 ────これは僕だけの秘密。


 魔法使いのおばあちゃんから、おばあちゃんが無くした箒を探したお礼にもらった魔法の鍵束。

今ではそこには5つの鍵が付いていて、これを使うと僕は宝島、妖精の城、地獄の一丁目、人食い悪魔の家に、谷の奥の山賊亭に自由に扉から扉をつなぐことが出来るんだ。


 魔法使いのおばあちゃんからの冒険のプレゼント。

 妖精達から追いかけられたり、大男に捕まった小鬼を助けたり、ヒキガエルに変えられた鬼の王子を助けたりした大冒険。


 あれから僕は一回も鍵束の鍵を使っていないけど、いつでも行こうと思ったら、また冒険に行けるんだ。

 今から考えたら冒険は楽しかったけど、ちょっぴり怖い思いもしたから、もっと僕がお兄さんになったら、その時にまた鍵束の鍵で冒険に行こうと思っているんだ。

 その時は地獄の鬼達と腕相撲で勝負したいなって思ってる。


 僕はクラスの男子の中では腕相撲に自信があるんだ。

 でも、僕のクラスには僕より背が大きな女子がいて……もしかしたら、あの子には負けるかも。

 ……でも、その女子と腕相撲はやったことないけどね。


『男子たるもの、女の子を守らなきゃ』


 お父さんが前にそう言っていたからね。

 女の子とは戦う相手じゃなくて、守るもの!


 ────僕はそれを実践しているんだ。


そんな事を考えながら僕は学校から真っ直ぐに急いで家に帰ってきたんだ。


『最近は子供一人で歩いていると()()()()だから道草食わないで真っ直ぐに家に帰るんですよ!』

ってお母さんに言われたからね。


お母さんの言うことを聞かない子はお母さんも僕の言うことを聞いてくれないんだって。

お母さんの言うことを聞かないと欲しいおもちゃが買って貰えないんだ。

()()()()きっとサンタクロースが持ってきてくれると思うんだけど、まだクリスマスまでには何ヵ月もあるしね。


今はお母さんにおもちゃをお願いして、クリスマスにはまた違うのをサンタクロースにお願いするつもり。

良い子にしてたら来月の僕の誕生日には欲しいおもちゃを買ってくれるって!!


……でも大人っていいよな。


───だってお金を持っているもの!!

だから欲しいものはいつでも好きなだけ買えるんだから!!


あーあ、大人は会社からお金を貰えるけど、僕達子供は学校に行ってもお金を貰えないんだから損だよ!


大人は僕たちに、『学校には絶対行かなきゃいけない、お前達の仕事は勉強する事だ』って言うけど、お金が貰えないんだから仕事じゃないよ!


……そんな事言ったらホントにおもちゃを買って貰えなくなるかも知れないから、僕は言わないけどね。

そこは少し大人なんだ。


……でも早く僕もお金を稼ぎたいな!


そんな事を考えながら勉強机に座った時だった。

勉強机にこんな貼り紙が置いてあったんだ!!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      ━━求む!━━


   魔法使いの弟子見習い募集中!

      急募!(急いで!)


資格 やる気と若さ(赤ちゃんは要ご相談!)

経験者優遇(魔法の世界に理解があること!)


     業務内容(やること!)

魔法使いのお手伝いをしながら魔法の基礎を学ぶ


    報酬(働いたらもらえるもの!)

金銀財宝のぞむがまま!(つまらないものですが!)

仕事終わりのデザート(日替わり!)


    首を長ーくしてお待ちしています


   ー偉大なる魔法使いハッケルパットー


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



これだよ、これこれ。

これで僕も自分でお金稼ぐことができるはず。


えーっと。

資格はやる気と若さだって。

やる気はもちろん!若さは赤ちゃんには負けるけど、

僕だって十分若いさ!

経験者ではないけど、魔法については理解しているさ!

だって魔法の道具を持っているんだから!


……でも、どうやって応募するのかな??

なんとなく、僕は机の引き出しが気になって引き出しの魔法の鍵束を見てみた。


すると、そこには見たことのない金ピカの鍵が新しく増えていたんだ。




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