782 鉄格子みたいなのってスタンピート用のバリケードだったのか
みんなでお話ししながら歩いてたら、あっと言う間に冒険者ギルドに到着。
「こんにちわぁ!」
「あら、ルディーン君。いらっしゃい」
元気よくこんにちはしながら中に入ると、カウンターにいたルルモアさんがニコニコしながらご挨拶してくれたんだ。
「おっ、表情が明るいということは、斥候から何かしら良い知らせがあったのか?」
それを見て僕の後から入って来たお父さんがそう言うと、ルルモアさんはちょっぴり困ったお顔に。
「いえいえ、どちらかと言うとから元気ですよ」
「なんだ? 何か問題でもあったのか?」
「それについては、場所を変えてお話しします」
ルルモアさんはお兄ちゃんたちやニコラさんたちが全員冒険者ギルドに入って来たことを確認すると、ちょっとこっち来てって手招きしたんだ。
だからついて行くと、いつもお話しするお部屋に連れてかれたんだよ。
「実は少々厄介なことが解りまして」
「厄介? と言うと、あのゴブリンたちが入り口をふさいだ鉄格子が特殊なものだったのか?」
「はい」
ルルモアさんは頷くと、それが何なのかを教えてくれたんだ。
「斥候の話によると、どうやら過去に起こったスタンピートの際、魔物たちを防ぐために使われたバリケードの一部だったようなのです」
「バリケードと言うと、溢れた魔物を橋で食い止めるために置いてあるあれだよな。鉄でできていて確かに頑丈そうだけど、そんなに厄介なものなのか?」
お父さんは前に、近くに寄ってみたことがあるんだって。
だから頑丈なのは解るけど、ルルモアさんが困ったお顔をするほどの物なのかなぁって頭をこてんって倒したんだよ。
そしたらそれを見たルルモアさんが、同じように見えるけどちょっと違うんだよって教えてくれたんだ。
「今あるものはスタンピートが起こった時、すぐに設置できるよう移動が簡単な設計になっているんです。それに対してあれは、防ぐことだけを考えて橋の森側で作られたものだったようで」
ゴブリンたちが使ってたのは、森から魔物があふれそうだって解った時にみんなで材料を運んで作ったやつなんだって。
だからそれ自体も今のより重いし、そのバリケードの後ろに重いのを積んでおっきな魔物が押してもそう簡単に動かなくなるようになってたみたいなんだ。
「よく、そんなものをゴブリンが持ってたな」
「過去の資料によるとスタンピートが沈静化する際、大型の魔物の体に引っかかってそのまま森の奥に引きずられて行ってしまったものがあったようで。斥候に出ていた冒険者の情報から、ゴブリンたちはそれをどこからか入手して使っているのではないかと我々ギルド側は考えています」
ゴブリンって、冒険者とかが落とした武器とか防具を使ったりするでしょ。
だからバリケードもスタンピートで森から出てきた時に置いてあるのを見て、その使い方をお勉強したんじゃないかなってルルモアさんは言うんだ。
「資料に書かれている情報では、過去に使われた重しは砂袋や石だったようです。そして報告によるとゴブリンたちが使っているバリケードの後ろにも同じように石が積まれているそうですから、そんな使い方まで知っていたようですね」
「人に知られていなくても、ジャイアントラッドのような大型の魔物に襲われたことがあったかもしれないからな。やつらも多少の知恵はあるから、そこから石を積むという発想に辿り着いたのかもしれないぞ」
「どちらにしても、そう簡単に突破できないのは間違いなさそうです」
ゴブリンがいっぱい居ても、お父さんならあっと言う間にやっつけることができるでしょ。
でも、鉄でできたものをえいやぁーって壊すことは流石にできないもん。
「しかし、それを聞いて納得した。そんなものが相手では、いくら盾を構えた連中が全力でぶつかってもびくともしない訳だ」
だからお父さんはそんなことを言いながら、困ったお顔で頭をポリポリかいたんだ。




