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704 食材の切り方を覚えるのはとっても大事なんだよ

 先週金曜日の更新を休んでしまって申し訳ありませんでした。


 理由に関しては活動報告に書いてあるので、気になる方はそちらをどうぞ。


 しかし、私のスマホは呪われているのだろうか? 買ってまだ1年ちょっとなのに。

 お兄ちゃんたちに教えてもらってきた武器屋さん。


 でもそこは武器屋さんじゃなくって刃物屋さんだったもんだから、いろんなお料理道具が売っててお母さんは大興奮。


 ニコラさんたちの武器を買いに来たはずなのに、それを言いに来たお父さんを「なに?」の一言で黙らせちゃったんだ。


 でもね、そこでお母さんは何かに気が付いたみたい。


「そう言えばニコラちゃんたちはお料理しないの?」


「えっ、私たちですか?」


 グランリルの村だと僕みたいに男の人がお料理することがあんまりなくって、普通は女の人がするんだよ。


 だからお母さんは、ニコラさんたちもお料理するんじゃないかなぁって思ったんだって。


「剣も大事だけど、料理をするのなら道具は大事よ。特によく切れないナイフを使っていたりしたら、ケガをすることがあるもの」


「そうだよね。つるってすべちゃったら、指とか切っちゃうかもしれないもん」


 よく切れないナイフや包丁を使ってると、力を入れてギコギコしちゃうでしょ。


 でも硬いお野菜や皮が厚い魔物のお肉とかだと、刃先が入らなくてすべっちゃうことがあるんだ。


 だからナイフや包丁は、狩りに使う武器くらいきちんとお手入れしないとダメなんだって。


「それで、どんなナイフを使ってるの?」


「それがぁ……」


「私とニコラはお料理を全然しないんです。できるのはアマリアくらいで」


「いや、私だって肉をあぶったり野菜を塩でゆでたりくらいしかできません……」


 なんとニコラさんとユリアナさんは全然お料理をしないんだって。


 アマリアさんは村にいたころに一応お料理してたそうなんだけど、それでもあんまりお金がなかったから味付けはお塩だけのお料理しかしたことないって言うんだ。


「だからイーノックカウに出て来た時は宿で食事をとっていたし、ルディーン君の家に来てからは料理人さんの作ったものしか食べてなくって」


「カテリナさんのお料理があまりにおいしすぎるから、今更自分で作ろうなんてとても思えないんですよ」


「うん。村にいたころや冒険者時代に食べていたものとの落差が大きすぎて、今追い出されたらもう生きていけないくらい美味しいんです」


 カテリナさんっていうのは、イーノックカウの僕のおうちで料理長をしてるお姉さんのことなんだよ。


 カテリナさんはしゃべり方はちょっと変だけど、ロルフさんが連れてきた料理人さんだからすっごくおいしいご飯を作るんだ。


 だからお母さんもにアマリアさんたちのお話を聞いて、確かにあの料理はすごく美味しいわねってうんうん頷いてる。


「ただ、今のうちに覚えておかないと、苦労するのはニコラちゃんたちよ。いつまでも冒険者を続けられるわけじゃないし」


「やっぱり料理はできた方がいいですか?」


「だっていい人が現れても、料理ができないと他の子に取られるかもしれないもの。ルディーンみたいな自分で料理する人が相手なら問題ないかもしれないけど」


 これがお金持ちの子で料理人を雇えるならいいんだけど、そうじゃないと自分で作んないとダメでしょ。


 僕みたいに料理が作れる男の人は少ないから、やっぱり作れる人の方が有利なんだってさ。


「やっぱりそうですよね」


 そう言って、なんでかお店の奥の方を見るニコラさん。


「でも、どこで習ったらいいのかなぁ?」


「村だったらお母さんや近所の人たちがいたけど、ここじゃねぇ」


 ニコラさんとユリアナさんは、お料理の練習をする気になったみたい。


 でもどうやって覚えたらいいのかが解んないって言うんだよ。


 お母さんも、ゴブリンの村をやっつけたら帰っちゃうから教えられないしなぁって。


 でもね、それを聞いた僕は頭をこてんって倒したんだよ。


「アマリアさんじゃダメなの? お料理するんでしょ」


「いやいや、私も教えられるほど料理はできないのよ」


 そう言えばさっき、肉をあぶったり塩ゆでしたりしかしたことないって言ってたっけ。


 それじゃあお料理を教えるのなんて無理か。


 そんな風にみんなでどうしようかなぁって考えてたらね、お父さんがそーっと寄ってきてこう言ったんだよね。


「おいシーラ、流石にもうそろそろ剣を選んだ方がいいんじゃないか?」


「ハンス、剣の良し悪しなんてこの子たちよりあなたの方が詳しいじゃないの。適当に何本か見繕っておいて、あとで実際に扱わせて一番いいものを選べばいいじゃない」


「そうだよ。今ニコラさんたちと大事なお話してるんだから」


 でもお母さんとキャリーナ姉ちゃんにそう言われて、すごすご帰っていっちゃった。


 なんかお父さんかわいそうだったけど、お母さんたちの言う通り今はとっても大事なお話をしてるからなぁ。


 それに、ここに売ってる中でどれがいい剣なのかはお父さんが一番解ると思うもん。


 先にいいのを探しておいて、その中から一番合うのを選んでもらった方が僕もいいと思う。


 そんな訳で、ニコラさんたちのお料理のお話を再開。


「お母さん。僕ね、お料理をいきなり習うのは大変だと思うんだ」


「そうだけど、ルディーンはどうしたらいいと思うの?」


「あのね、まずは切ることを教えてあげた方がいいと思うんだよ。だってそれができないと、お料理できないもん」


 僕がそう言うと、ニコラさんがアハハって笑いながらこう言ったんだ。


「ルディーン君。いくら私たちでも、食材を切るくらいはできるわよ」


「そうなの? 僕、お母さんに教えてもらうまでお肉はすーって切らないとダメって知らなかったよ」


 よく切れるナイフを使っても、お肉を上から押すように切ろうとしたらすっごく大変なんだ。


 それに切ろうと思ってギコギコすると、お肉がつぶれたりぐちゃぐちゃになったりするんだよね。


 でもお母さんに言われて刃をすーって引くようにしたら、切りにくいクラウンコッコの皮が簡単に切れちゃったもん。


 だから僕、切るのを教えてもらわないとちゃんとしたお料理はできないんじゃないかなぁってニコラさんに言ったんだ。


「それにお野菜や果物だって皮をむくのは難しいんだよ。僕、お菓子作るのに果物使うけど、きれいにむこうと思ったらすっごく大変だもん」


「ニコラさんたちはお野菜、きれいにむけるの?」


 キャリーナ姉ちゃんにそう言われたニコラさんたちは、そっと目をそらしながら黙っちゃった。


 ほら、やっぱり切るのは大事じゃないか!


「確かにルディーンの言う通り、切るのは大事よ。それに料理でナイフや包丁を使うのは、冒険者にとっていい経験になるのよ」


「冒険者にとっても、ですか?」


「ええ。刃物をきちんと使えるようになれば、狩った獲物を自分で解体できるようになるからね」


 そう言えばキャリーナ姉ちゃんが僕にこのナイフがいいんじゃない? って見せてくれた時、お母さんはこれならホーンラビットの解体にも使えるからいいよって言ってたっけ。


 イーノックカウの冒険者さんたちって狩った獲物をそのままギルドに持って来て解体してもらうけど、その分買取のお金を引かれちゃうんだよね。


 でも自分で解体できればそんなことなくなるし、いらないところは捨ててこれるからその持って帰る荷物が軽くなるもん。


「僕も解体できるようになった方がいいと思うよ」


「そうね。特に森の奥まで分け入るようになると、解体技術は必須になるもの。いい機会だから切る技術を勉強したらいいわ」


 お母さんはそう言うとね、ニコラちゃんたちに向かってこの店の中から自分に合った料理ナイフを探してきなさいって笑ったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 本来の目的である県探しをした方がいいと指摘したハンスお父さん。こちらの方が正しいはずなのに、なぜかシーラお母さんに怒られてしまいました。


 まぁ実際問題、ニコラさんたちに選ばせてもどれがいいのかなんて解らないのだからハンスお父さんが選んだ方がいいと言うのはホントなんですけどね。


 それにニコラさんたちも、シーラお母さんについてお料理のお話を聞いた方がためになります。


 ニコラさんは誰かさんが気になって店の奥を見ていたくらいですから、特にねw


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― 新着の感想 ―
ルディーンの場合、転移魔法で獲物をホームに送ればいいだけだから、解体の必然性が薄かったり(笑) 現地で解体する時、血の臭いで肉食獣が近寄ってきたりするので、後処理にも気を使うのだし。 でも、解体スキル…
料理の先生ってカテリナさんでよくない? 同じ家に住んでる訳だし、使用人教育の一環として週に1,2回 料理の時間を設けるって感じでいいんでね? 解体に関してはルディーン君達の方が良さそう(モツの捌き方や…
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