586 領主様のマジックバッグはちっちゃいけどおっきいんだよ
預かってくれるって言うバリアンさんが来てくれたもんだから、ルルモアさんが冒険者ギルドの奥に入ってって領主様のマジックバッグを持ってきてくれたんだ。
「くれぐれも破損や紛失など無いよう、気を付けてくださいね」
「ああ、解ってる」
でね、そのマジックバッグをバリアンさんに渡したんだけど、
「領主様のマジックバッグと聞いたからどんなものが出てくるんだろうと思ってたけど、意外と小さいのね」
「うん。私も、もっと大きなものなのかと思ってたわ」
そしたらそれを見てたニコラさんたちが、出てきたマジックバッグを見てこんな事言ったんだよ。
でもね、僕はそれの反対で、すっごくおっきいなぁって思ったんだ。
「ねぇ、お父さん。領主様のマジックバッグ、冒険者ギルドのよりすっごくおっきいんだね」
「ああ。流石領主様の持ち物だけの事はあるな」
だからお父さんにおっきな袋だねって言ったんだけど、そしたらそれを聞いたニコラさんたちがびっくりして聞いてきたんだよ。
「えっ? これで大きいんですか?」
「私たちが腰につけてるポシェットと、そんなに変わらないくらいの大きさなのに」
ニコラさんたちの言う通り、ルルモアさんが持ってきたマジックバッグは大人の冒険者さんたちが腰につけてるポシェットとおんなじくらいの大きさなんだよね。
だから僕が領主様のマジックバッグを見ておっきいね言ったのを聞いて、ニコラさんたちはこんなに小さいのに? ってびっくりしてるんだよ。
でもさ、前に僕たちがルルモアさんから貸してもらった冒険者ギルドのマジックバッグはこれよりも、もっともっと小っちゃかったんだよね。
「あのね、僕とお父さんは前にルルモアさんからブレードスワローを獲って来てって言われて、冒険者ギルドのマジックバッグを借りてったことがあるんだよ。でもね、それはこれよりももっと、ずーっと小っちゃかったんだよ」
「ああ、確かギルドのは、これくらいの大きさの巾着袋だったな」
お父さんが右手の人差し指と親指でこれくらいの大きさの巾着袋だったよって教えてあげたんだけど、そしたらそれを聞いたニコラさんたちはすっごくびっくりしたお顔になっちゃったんだよ。
「ブレードスワローって確か、結構な大きさがありましたよね? そんな小さな巾着袋に入るんですか?」
「入るも何も、あの時は近くにあまりいなかったから2時間で5匹しか獲れなかったけど、それを入れてもまだまだ余裕がありそうだったぞ」
「ブレードスワローが5匹!?」
ブレードスワローって、おっきめの鷹くらいの大きさがあるんだ。
だから僕、ニコラさんたちはそんなのが5匹も入るって聞いてびっくりしてるんだろうなぁって思ったんだよ。
でもね、
「ブレードスワローって、1匹でも獲れたら凄いって言われている魔物ですよ!」
「それを5匹もだなんて」
マジックバッグに入った事より、5匹も獲ってきたことにびっくりしたみたい。
それにね、バリアンさんもブレードスワローを5匹も獲ってくるなんてすごいなぁって感心してるんだよ。
「流石グランリルの狩人だなぁ。とはいえ、ブレードスワローを5匹となると1日じゃ無理だろ。何日くらいかけて獲ってきたんです?」
「何日? いや、あの時は確か2時間くらいだったよな?」
「うん。でもあの時はお父さんがおっきな声を出したから、近くに居たのがみんな逃げちゃって時間がかかったんだよね」
「2時間!?」
ホントはもっと早く終わるはずだったのに、お父さんが僕の魔法にびっくりしておっきな声を出しちゃったもんだからブレードスワローがみんな逃げてっちゃったんだよね。
あれが無かったらきっと、その前に獲った時とおんなじくらいの時間で獲れたんじゃないかなぁ。
その時の事を思い出しながら、お父さんは大人なのダメだなぁなんて考えてたらね、そんな僕たちにバリアンさんが聞いてきたんだ。
「皆さんの装備からすると、カールフェルトさんの奥さんがそのブレードスワローを狩ったんですよね? でも流石に木にとまっているものを2時間で5匹も見つけるのは無理だろうから、もしかして飛んでいるブレードスワローを矢で射抜いて狩ったのですか?」
「ん? いや、あの時はシーラはいなかったぞ。それにいくらシーラでも、飛んでいるブレードスワローを射抜くのは無理だろ?」
「ええ、流石にそれはできないわね」
お母さんはね、木にとまってるブレードスワローだったら何とか狩る事ができるんじゃないかなぁって言うんだよ。
でも流石に飛んでるのは早すぎて、いくらお母さんでも矢で撃ち落とすのは無理なんだって。
「それじゃあ、カールフェルトさんが?」
「あっ、でもさっき大声を出してブレードスワローを逃がしたって」
そんなお母さんのお話を聞いたニコラさんは、だったらお父さんがブレードスワローをやっつけたの? って聞いたんだよ。
でもすぐにユリアナさんが、さっき言ってたお父さんの失敗の事を思い出して違うんじゃないかなぁって言い出したんだ。
「という事はもしかして……」
「うん! 僕がブレードスワローを魔法でやっつけたんだよ。すごいでしょ」
でね、みんなのお顔が僕の方を見たもんだから、胸を張ってエッヘンてやりながら魔法でやっつけたんだよって教えてあげたんだ。
そしたらさ、ニコラさんたちがほんとにすごいねって。
「ルディーン君の魔法は助けてもらった時に見たけど、本当にすごかったものね」
「うん。遠くから一度に何匹かのゴブリンを射抜いていたもの」
「ああそう言えば、ベニオウの木の上から魔法でジャイアントラット2匹を簡単に倒してたな」
それにね、バリアンさんもベニオウの実を採ってる時に来たジャイアントラットをやっつけた時の事を思い出したみたい。
だから僕の魔法だったらブレードスワローだって、きっと簡単にやっつけられるんだろうなぁって頷いてたんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
二回続けてちょっと短めですが、キリがいいので今回はここまでで。
というか今回のお話、実は最初の200文字くらいで終わらせてサッサと森に出発するはずだったんですよ。
なのにいつもの悪い癖で長々と書き続ける事に。
その上平日で没にして新しく書き直す時間もないという事で、内容がとても薄い話になってしまいました。申し訳ありません。
さて、今週の土日なんですが、ちょっとした用事で出かけなければいけません。
その様な事情で次話を書く時間が取れないので、これまた申し訳ありませんが月曜日の更新はお休みさせて頂き、次回は来週の金曜日更新となります。




