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549 僕のお家なんだから、ちゃんと考えないとダメなんだって

 金曜日は更新を休んですみませんでした。


 お父さんとお母さんはひっくり返った後、ちょっとお話があるからってストールさんと一緒にお部屋から出てっちゃったんだ。


 だから僕たちは待ってる間、お部屋に用意されてたお菓子を食べる事にしたんだよね。


「キャリーナ姉ちゃん。これ、すっごくおいしいよ」


「どれ? わぁ、これって前にお菓子屋さんで食べたやつだ」


 キャリーナ姉ちゃんの言う通り、テーブルの上にはアマンダさんのお店のお菓子がいっぱい並んでたんだ。


 だから僕とキャリーナ姉ちゃんはとってもおいしいねって言いながら、それをぱくぱく食べてたんだよ。


 でもね、レーア姉ちゃんやお兄ちゃんたちはなんでかそんなおいしいお菓子を全然食べずに、ずっとお父さんたちが出てった扉の方ばっかり見てるんだよね。


「どうしたの、レーア姉ちゃん」


「お菓子、おいしいよ。食べないの?」


 お菓子よりお肉の方が好きなディック兄ちゃんたちと違って、レーア姉ちゃんは僕やキャリーナ姉ちゃんとおんなじで甘いものが大好きでしょ?


 なのにそんなレーア姉ちゃんがちっともお菓子を食べないもんだから、僕とキャリーナ姉ちゃんはちょっと心配になってどうしたのって聞いたんだよ。


 そしたらさ、何でか知らないけどディック兄ちゃんが僕たちにお返事したんだ。


「お前らは、お父さんたちがどんな話をしているのか、気にならないのか?」


「お父さんたちのお話? 僕んちのお話じゃないの?」


「いや、そうなんだろうけど……でもそれがどんな話なのか、気になるじゃないか。ルディーンはそうじゃないのか?」


「うん。だって僕、お父さんたちのお話を聞いてもよく解んないと思うもん」


 ディック兄ちゃんに続いて、テオドル兄ちゃんもお父さんたちがどんなお話をしてるのか気になるって言うんだけど、大人のお話は難しいから多分僕が聞いても解んないでしょ?


 それにこのお家の事はストールさんに任せとけば、きっと上手にやってくれるはずだもん。


 だからお父さんたちがどんなお話をしてるのかなんて、僕、全然気にならないんだよね。


「なるほど、そういう考え方もあるのか」


「でも、ルディーン。ここはあなたが買った家なんだから、少しは自分でも考えないとダメよ」


 その事を話したらね、テオドル兄ちゃんはそっかって納得したみたいなんだけど、レーア姉ちゃんからは僕が買ったお家なんだからお父さんたちに任せっぱなしじゃダメでしょって言われちゃった。


「そっか。じゃあさ、お父さんたちが帰ってきたら僕、何話してたのか聞いてみるね」


「う~ん、本当ならそれが正しいのだろうけど、今回はわざわざこの部屋を出て行って話をしているところを見ると、多分聞いても教えてくれないんじゃないかしら」


 だから僕、お父さんたちに後で聞いてみるねって言ったんだけど、そしたらレーア姉ちゃんは多分聞いても教えてくれないよって。


「え~、レーア姉ちゃんが聞きなさいって言ったのに!」


「私は聞きなさいなんて言ってないわよ。少しは自分でも考えなさいと言っただけ」


 レーア姉ちゃんはね、人の話はちゃんと聞かないとダメよって笑顔で言いながら、僕の頭をぽんぽんってしたんだ。



 コンコンコン


「あっ、お父さんたちが帰ってきた!」


 それからちょっとしたらね、誰かが僕たちのいるお部屋のドアをノックしたんだよ。


 だから僕、お父さんたちが帰って来たって思ったんだけど、


「お帰りなさい、ルディーン君」


「あっ! ニコラさんたちだ。ただいま!」


 急いでドアのとこに走ってって開けてみたら、そこにはお父さんたちじゃなくってニコラさんたち3人が立ってて、僕におかえりなさいって言ってくれたんだ。


 だから元気にただいまってお返事したんだけど、僕、その時にニコラさんたちがいつもと違う格好をしてるのに気が付いたんだ。


「ねぇ、ニコラさん。何で今日はきれいな服着てるの?」


 ニコラさんたちはね、いつもの冒険者の格好でもたまに着てるメイドさんの格好でもなく、前にストールさんと一緒に行った服屋さんで買って来たきれいな服を着てたんだよね。


 だから何でそんな格好してるの? って聞いてみたんだけど、そしたらストールさんに言われたからだよって教えてくれたんだ。


「ああそれはストールさんから、初めてご家族に会うのだから、冒険者の姿ではなくルディーン君が買ってくれた服を着て出迎えなさいと言われちゃってね」


 そう言えばあの服って、僕がお金を出して買ったんだっけ。


 ニコラさんに言われてそれを思い出した僕は、だから今日はきれいな服着てるんだねって言おうとしたんだけど、


 ガタン!


 その前に後ろで急におっきな音がしたもんだから、僕、びっくりしてそっちの方を見たんだよ。


 そしたらさ、何でか知らないけどディック兄ちゃんがすっごくびっくりしたお顔で立ち上がって、僕たちの方を見てたんだ。


「どうしたの? ディック兄ち……」


 だから僕、ディック兄ちゃんにどうしたの? って聞こうとしたんだよ。


 でもね、


「るっ、ルディーン。この人たちは誰……じゃなかった。どなたなんだい?」


 全部言い終わる前に、お兄ちゃんがいつもと違う変な言い方で僕にこの人たちは誰? って聞いてきたんだ。


「ああ、そう言えば先にご挨拶をしなくちゃいけなかったですね」


 そしたらさ、僕がお返事する前にニコラさんたちが自己紹介を始めちゃったんだよね。


「まずは一番年下の私から。アマリア・エクルースです。よろしくお願いします」


「ユリアナ・ハットネンです。ルディーン君には、本当にお世話になってます」


「そして私がこの3人のリーダーで、ニコラ・キルヴィと申します。ルディーン君には森で危ない所を助けて頂き、その時の治療で借金奴隷……」


「えっ、奴隷!?」


 でもね、ここまで言ったところで、ディック兄ちゃんが急にすっごく怖いお顔になって僕の方を見たもんだからニコラさんはびっくり。


 両手を前でぶんぶん振りながら、大慌てでディック兄ちゃんに違うよって。


「勘違いしないでください。治療費によって本来なら借金奴隷になるところを、ルディーン君のご厚意と冒険者ギルドの特例措置のおかげで免れて、その代わりにルディーン君預かりという立場になったのです」


「まぁ立場的には借金奴隷と同じようなものなんですけど、ルディーン君預かりになったおかげで辛い労働につく事も無く、それどころか冒険者時代よりいい生活をさせてもらってるんですよ」


 ニコラさんに続いて、一番年下のアマリアさんがにっこりと笑いながらこういたもんだから、ディック兄ちゃんはててへへって笑いながら僕にごめんねって謝ってくれたんだ。


「勘違いしてごめんな。奴隷と聞いてつい、かっとなって」


「うん、いいよ!」


 怖いお顔になった時はちょっとびっくりしたけど、ディック兄ちゃんはニコラさんたちを借金奴隷にするなんて! って勘違いしたから怒っただけだもん。


 それが違うって解ってすぐにごめんなさいしてくれたから、あっという間に仲直り。


 でね、そんな僕たちを見てたアマリアさんは、くすくすって笑いながらディック兄ちゃんにご挨拶したんだよ。


「初めまして。あなたはルディーン君のお兄さんですよね?」


「はい。お……じゃなかった、僕はルディーンの上の兄でディックと言います」


「アマリアです。ルディーン君とは、とても仲がいいんですね」


 アマリアさんに僕のお兄ちゃんだよね? って聞かれたディック兄ちゃんは、何でか知らないけどピンってなって、いつもと違う変な感じでお返事したんだよ。


 だから僕、あれ? って思って、近くにいたレーア姉ちゃんに聞いてみたんだよ。


「ねぇ、レーア姉ちゃん。ディック兄ちゃん、なんか変じゃない?」


「ええ、そうね。でもまぁ、あの様子じゃ仕方がないんじゃないかなぁ」


 そう言いながら、アマリアさんとお話してるディック兄ちゃんを見るレーア姉ちゃん。


「へぇ、ユリアナって子の方が元気で気が合いそうな気がするけど、アマリアさんみたいなおとなしそうな子の方がねぇ。ちょっと意外」


 でね、レーア姉ちゃんはこんなよく解んない事を言った後に、


「村にはいないタイプの子だから、そういう所にひかれたのかもね」


 僕には聞こえないくらいちっちゃな声でなんか言いながら、一人でうんうん頷いてたんだ。



 読んで頂いてありがとうございます。


 ディック兄ちゃんのひとめぼれ、実はこれを思いついたのが最初にニコラさんたちを出そうと思ったきっかけだったりします。


 相手がアマリアさんなのも最初からで、次にニコラさんたちが登場した後、初めてカールフェルト家がイーノックカウに行く時にこのエピソードを入れようと思いつきました。


 ただ、この先はほとんど何も決まっていなかったりするんですよねw


 とりあえず案はあるのですがイーノックカウとグランリルは結構離れているし、何よりディック兄ちゃんは一目ぼれしてますが、アマリアさんは今の所なんとも思ってないんですよ。


 さてさて、どうなっていく事やら。


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― 新着の感想 ―
[一言] >アマリアさんは今の所なんとも思ってない わはははw ディック兄ちゃんがんばろうなw(町に来る回数が増えたり引っ越したいって言い出したりするのかなぁ
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