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48 秘密なのに話しちゃていいのかなぁ?

ブックマーク数が100を超えました! 本当に嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。


「どうしたのおじいさん?」


 その後しばらくの間お爺さんの顔をじっと見てたんだけど、一向に帰ってこないようだったから僕のほうから声を掛けたんだよね。


 そしたらお爺さんは搾り出すような、ちょっと擦れたような声でこう言ったんだ。


「ぼっ坊や、今使ったのはもしや鑑定解析のスキルか?」


「ん? そうだよ。ぼく、かんていかいせきってスキルも使えるんだ!」


 そんな僕の返事を聞いて、お爺さんはまた口をあんぐりと開いて固まったったんだよね。


 でも僕は同じ失敗は二度続けたりしないよ。今度はちゃんとすぐにお爺さんに声を掛けてあげたんだ。


「おじいさん、どうしたの? なんかびっくりすること、あったの?」


 でもさぁお爺さんは僕の言葉に耳を貸す事無く、ぶつぶつと独り言を呟き始めたんだよね。


 だから僕はその独り言に返事をすれば気が付いてくれるんじゃないかな? って考えて耳を済ませたんだけど……。


「まさかそんな。こんな子供がローグや密偵のジョブを得ているなどありえん。じゃがしかし、鑑定解析は熟練の斥候ジョブでなければ取得できないはずじゃし。それに、そもそも……」


 ありゃ? もしかして鑑定解析って習得してるのを秘密にしておかないといけないスキルだったのかな? そう言えば、ドラゴン&マジック・オンラインでも盗賊のレベルが5レベルにならないと習得できないスキルだったっけ、これ。


 そこまで思いだして、僕はちょっとあせる。


 盗賊って泥棒の事だよね? って事は僕、悪者だと思われてる!?


「おじいさん! ぼくね、わるもんじゃないよ!」


「む? ああ、そんな事は解っとるよ」


 慌てて僕は悪者じゃないよ! って言ったんだけど、それを聞いたお爺さんは一瞬何を言ってるんだ? って顔をした後、そうやってあっさりと返事したんだ。


 う~ん、どうやらお爺さんは初めから僕が悪者だなんて少しも考えていなかったみたいだね。


「なんで? かんていかいせきって、わるもんしか使えないんじゃないの?」


「おや、これはすまんかったのぉ。わしの独り言で坊やを不安にさせたようじゃわい」


 だって僕がそうやって疑問をぶつけたら、お爺さんは僕の頭をなでながらそう言ったもん。


 僕の頭をなでるお爺さんの顔はお兄ちゃんやお姉ちゃん、それにお母さんと同じ様な笑顔だから、僕はお爺ちゃんの言葉を素直に信じる事ができたんだ。


「悪い事をしてる者はのぉ、どうしても目に出るんじゃ。そりゃあ長年悪い事を繰り返すうちにそれを隠すのがうまくなる者もおるが、坊やくらいの歳ではさすがに無理だと言う事は解るじゃろう? じゃから坊やが悪人ではないと、わしには解るんじゃよ」


「そっか、よかった!」


 それを聞いて一安心。だって悪者だって思われたら錬金術の事、もう教えてもらえなかったかも? って僕、思ってたもん。


 でも僕の事を悪者だと思っていなかったと言う事が解っただけで、お爺さんの疑問は何も解決してない事に僕は気が付いてなかったんだ。


 だからかな? 次のお爺さんの質問を聞いても、僕は何の事か解んなかったんだよね。


「ところで坊やは一体どこの家の子なんだい?」


「どこの家の子?」


 どこのって事はお家のある場所を聞いてるんだよね? って事は村の名前を言えばいいのかなぁ? でも、それだとどこに住んでるのかって聞き方をするよね?


 質問されたことがよく解らなくて、僕は腕を組みながらう~んと唸っちゃったんだ。


 ところがそんな態度をとるなんて思ってなかったのか、ひたすら首を左右に振って唸ってる僕の姿を見て、お爺さんは慌ててさっきの言葉をもっと詳しく説明してくれた。


「そんなに悩むとは思わなんだ。その様子からすると、ワシの言葉が足らんかったようじゃな。坊やはその歳でもう魔力の操作を覚えているくらいなのじゃから、貴族か大きな商会の御子息なんじゃろう? それに鑑定解析なんて特殊なスキルをすでに覚えていると言う事は、さぞ特殊な家の子なんじゃろうとわしは考えたのじゃが……その様子では違うのかのう?」


「うん。ぼく、おきぞくさまじゃないし、商会の子でもないよ。グランリルって村にすんでるんだ」


 それを聞いたお爺さんは何でか解んないけど、なんとも不思議そうな顔をしたんだよね。


「グランリル……と言うと、強い魔力溜りがある森が近くにあると言う、あのグランリルの村かのぅ? じゃがワシが知りうる限り、あそこは狩りを生業にするものばかりで魔法使いもいなければ斥候を養成するような機関も無いはずじゃが?」


「うん! しさいさまはいるけど、まほう使いはいないよ。それに、せっこう? ってのもいないと思う。ぼく、そんな人知らないもん」


 もしかしたら僕が知らないだけかもしれないけど、村長さんや司祭様、それに図書館の司書さん以外の村の人たちはみんな僕の家と同じで魔物を狩って生活してるはずだから、多分そんな聞いた事ないような仕事をしてる人は居ないと思うよ。


 だから僕は自信を持って、お爺さんにそう教えてあげたんだ。


「ふむ。ならば坊やは鑑定解析を自力で覚えたという事か。しかしどうやって? あれは秘匿スキルのはずなんじゃが」


「ひとくいスキル?」


「これこれ、間違えるでない。人食いでは無く秘匿スキル、習得方法が隠されているスキルの事じゃよ。鑑定解析の本来の使い方は隠し部屋やその仕掛け、それに隠れている者を探すスキルでのぉ、これを使えば抜け道や隠し部屋の開き方などがすぐに解ってしまうんじゃ。それだけに皇帝や貴族などの要人、あ~つまり偉い人の事じゃな。その者たちを守る為にはあまり広まってしまうと困るタイプのスキルじゃから存在は知られておるが、その習得方法は秘伝と言う事になっておる」


 そう言うとお爺さんは僕の顔をまじまじと見つめて、興味深そうに聞いてきたんだよね。

 僕がどうやって鑑定解析を覚えたのかを。


 でもさぁ、隠されてるんでしょ? なのに教えちゃっていいのかなぁ?


「おぼえ方ってひみつなんだよね? ならぼくが話しちゃたら、えらい人におこられないかなぁ?」


「おお、そういう考え方もあったか。じゃが大丈夫じゃろう、わしもこのスキルの重要性は十分に理解しておるつもりじゃからのぉ。坊やから聞いても誰にも話すつもりはない。これは神に誓ってもよいぞ」


「神さまにちかうの? なら話してもだいじょうぶだね」


 神様は本当にいるんだから誓った事を破ったらきっと罰が当たるもん! そこまでするってお爺さんは言ってくれたから、僕はどうやって覚えたのかを教えてあげる事にしたんだ。


「あのねぇ、ぼく、まずはえものをさがすまほうを作ったんだ。でねぇ、そのまほうが、かいせきってのとよくにてたから、かいせきっぽくそのまほうを使ったら、かんていかいせきのスキルがついたんだよ!」


 どうだ凄いでしょって、僕は胸を張っておじいさんにそう教えてあげたんだけど、どうやらお爺さんはその説明ではよく解んなかったみたい。


「獲物を探す魔法? それは一体どう言う物なんじゃ? それが解らん事にはその後の事もよく解らんから、もう少し詳しく教えてはもらえんかのぉ」


 そっかぁ、獲物を探す魔法の事が解んないのかぁ。僕が思いついたくらいだから、魔法使いがいっぱいいるイーノックカウの人なら同じ様な魔法を知ってると思ったのに。


 でもお爺さんが解らないって言うんだから、僕は意地悪せずに教えてあげる事にしたんだ。


「あのねぇ、ぼくたちの周りにはまりょくがあるでしょ? それを前に向かって波にして動かすんだよ。そしたらね、人とか、えものとかのまりょくを持つものにあたるとその波がはねかえって来るから、それでどこにいるのか、わかるっていうまほうなんだ」


「なるほど、やり方は違うようじゃが、サーチと同じようなものと言うわけじゃな」


 サーチ? なんだそれ? 僕が使っている物とは違うみたいだけど、似たような方法があるって事なのかなぁ? それにサーチって名前、どう考えても僕の前世の記憶にある言葉だよね? 意味も同じみたいだし。


 って事はこのサーチってのは魔法なのかな? でも、僕の記憶にあるドラゴン&マジック・オンラインにはそんな魔法は無かったはずだし。


 って事は魔法じゃない? う~ん、解んないや。 


読んで頂いてありがとうございます。


30話を超えて、皆さんがこの作品をどう考えているのか気になっている今日この頃です。

できたら感想を頂きたいのですが、それが無理なら評価だけでも入れていただけるとありがたいです。

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