454 何でそんな格好してるの?
ロルフさんたちとお話しながらごとごと馬車に揺られてるとね、あっと言う間に僕んちについちゃったんだ。
だから僕、いつものように御者さんにおろしてもらったんだけど、
「お待ちしておりました」
そしたら入口んとこにストールさんがいたもんだから、すっごくびっくりしたんだよね。
「ストールさん、こんにちわ! でも、何で僕たちが来るのが解ったの」
「それはですね、バーリマン様が錬金術ギルドを出発する前に、これから向かうとの先ぶれを出してくださったからですわ」
僕たちが錬金術ギルドから出る時、馬車にお水を汲み上げる魔道具を積んだりしてたもんだからちょっと時間がかかっちゃったでしょ?
バーリマンさんがその間に、もうすぐギルドを出てそっちに行くよって僕んちに言って来てねってお家の人に頼んでくれたから、僕たちが来ることを知ってたんだよってストールさんは教えてくれたんだ。
「そっかぁ。だから来るのを知ってたんだね」
「ええ、そうでもなければ、こうしてこの子たちと共に皆様をお迎えする事はできませんでしたわ」
ストールさんはそう言うとね、すうってちょっとだけ体を横にずらしたんだ。
そしたらそこには3人のメイドさんがいたんだけど……あれ? このメイドさんたち、だれだっけ?
どっかで見た事はあるんだよ? でも東門の外にあるロルフさんちで、僕のお部屋をお掃除とかをしてくれてたメイドさんたちじゃないんだよなぁ。
そう思いながら僕は3人を見て頭をこてんって倒したんだけど、そしたら真ん中にいた一番背の高い赤い髪のメイドさんが真っ赤なお顔でこう言ったんだよね。
「こんな格好じゃ解らないわよね。第一全然にあってないし」
でも僕、その声を聞いてその人が誰なのか解っちゃったんだ。
「あっ! ニコラさんだ!」
そう、話しかけてきた背の高いメイドさんは、僕の所属ってのになったニコラさんなんだよね。
それが解ってからもういっぺん見てみると、他の二人はやっぱりユリアナさんとアマリアさんだった。
「3人とも朝と違う格好だったから、僕、全然解んなかった! でもあれ? ニコラさんたち、冒険者をやめてメイドさんになるの?」
朝見た時はいつもとおんなじ冒険者の格好だったのに、今は何でか知らないけど3人ともメイドさんの格好をしてるでしょ?
だから僕、もしかして冒険者をやめちゃうのかなぁって思ったんだ。
「いや、そんな訳じゃないんだけど……」
「それについては、わたくしから御説明いたしますわ」
でもね、そうじゃないんだって。
朝見た時はニコラさんたち、いつもみたいに皮の防具を着けてたんだよね。
でも僕んちじゃそんな恰好しなくってもいいからって、ストールさんが脱いでって言ったんだってさ。
「そういたしましたら衣服があまりに汚れていたもので、代わりの物は無いのですかと尋ねたところ、これしかないと」
「あっ、汚れていたて言っても、昨日の晩、寝る前にちゃんと洗濯して干しておいたんだよ? でもストールさんは、それでも汚いって」
「当り前です。洗濯と言っても水ですすいだだけではないですか。せめて石鹸を使わないと」
ニコラさんたちは冒険者でしょ?
だからちゃんとしたお家に住んだことなくってずっと宿屋さんで暮らしてたもんだから、服とかは上下一着ずつしか持ってないんだって。
昨日の夜その服をちゃんと洗って、今日はそれを着てたもんだからニコラさんたちは汚いなんて言われてすっごくびっくりしたそうなんだよね。
でもストールさんはロルフさんちのメイド長さんなんだもん。
そんな人から見たら汚いって言われたってしょうがないよね。
「いま彼女たちの服はうちのメイド見習いたちに洗濯させているのですが、流石にその間、下着姿で放置するわけにもいきませんもの。そこで急遽予備のメイド服を用意して着てもらっているという訳です」
ニコラさんたちもね、流石に下着だけは何着か持ってるんだって。
でもこのお家、メイドさんたちだけじゃなくって執事さんたちや職人さんたちも出入りするでしょ?
そんなとこに洗濯が終わるまで下着だけでいたら、みんなが困っちゃうもんね。
だからとりあえず今は、メイドさんの服を借りて着てるんだってさ。
読んで頂いてありがとうございます。
かなり短いうえに、中途半端なところで終わってしまってすみません。
と言うのもこれを書いている途中で(土曜PM6時ちょい過ぎ)、急に明日の日曜、一日出張をする事になったんですよ。
なのでその準備のためこれ以上書く時間が無く、いつもの半分程度の分量になってしまいました。
その様な事情ですのですみませんが、この続きは金曜日更新分でという事で。




