301 そっか、そんな使い方もできるんだね
すみません。投稿予約をするのを忘れていました。
昼間見て青くなりましたよ。と言うわけで申し訳ありませんが、かなり遅れての更新です。
お話が済んだから作業再開。
僕はクリエイト魔法で、今度こそブルーフロッグの背中の皮を切る道具を作ったんだ。
「これはまた、変な形の物を作ったんだな」
そしたら僕が作った道具を見て、お父さんがこんなこと言ったんだよね。
でもそんなに変かなぁ?
鋼の玉を使って僕が作ったのは直径3センチの筒で、その上の方には取っ手になる丸い棒が両方から突き出してる道具なんだ。
「見た感じからすると、この取っ手を持って、皮を上から押し切る道具って感じか?」
「うん。この筒はね、下んとこが刃物になってるんだ」
僕が作ったこれの元になった道具はね、ほんとは皮を切るための物じゃないんだよ。
じゃあこれが何かって言うと、元々は果物の上にのっけて上から押すことで、いっぺんに何個かに切れちゃうって言う便利な道具なんだ。
でもね、だったらそんな道具をなんで僕が知ってたのかって言う話になるでしょ?
それはね、前の世界で見てたオヒルナンデスヨって番組で、この道具の事をやってたのを見てたからなんだ。
あの番組ってお料理のやり方とかも教えてくれてたけど、こういう便利な道具もいっぱい教えてくれたんだよね。
だから僕、そこでやってたこの道具を覚えてたもんだから、ブルーフロッグの皮を思った形に切るためにこれを作ってみようって思ったんだ。
「それじゃあ、やってみるね」
道具ができたから、僕はとりあえず一回切ってみる事に。
貰ったブルーフロッグの背中の皮の中で傷がついてないとこを探して、その上に刃物になってる方を下にして置くと僕はよいしょって上から押してみたんだ。
「あれ? 切れないや」
でもね、一生懸命押してもブルーフロッグの皮はへこむだけで、何でか全然切れなかったんだよね。
だから僕、これは失敗しちゃったかなぁ? って思ったんだけど、
「ルディーン。それじゃダメよ。解体する時も言ったでしょ? 刃物は上から押さえるんじゃなく、滑らせるようにしないと切れないのよ」
そしたらお母さんがこう言って、僕の手から皮を切る道具を取り上げたんだ。
でね、お母さんがそれを皮に乗っけると、
「ほら、見てて御覧なさい」
取っ手をもって、筒をくるって回したんだよ。
そしたらさっきはへこむだけだった皮の表面が切れて、そこからは回すたんびに筒がすーって中に入って行っちゃったもんだから僕、びっくりしちゃった。
でもそんな僕を見たお母さんは、刃物なんだからこうして切るのが当たり前でしょって笑ったんだ。
「とまぁ、見ての通りこの道具を使ってもこんな風に使えば切れるけど……でも、ちょっと面倒よね。ルディーン、この筒の刃の部分、ちょっと形を変えられる?」
「できるけど、どうするの?」
その上、お母さんはもっといい形があるんだよって僕に教えてくれたんだ。
だからね、どんな形にしたらいいの? って聞いたんだけど、
「あら、ルディーンも見た事があるでしょ? セリアナの実の殻をくりぬく、あれよ」
「っ!? あっ、そっか!」
そう言えばお母さんがセリアナの実に穴を開ける時も、同じような道具を使ってたよね。
確かあれでセリアナの実に穴を開ける時って、僕がさっきやったみたいに上から押し込んでたもん。
だったらセリアナの実に穴を開ける道具とおんなじ形にすれば、皮だって上から押せば切れるはずだ。
でも……あれ? そう言えばあの道具って、どんな形してたっけ?
僕、お母さんが使うとこは見てたけど、自分で使ったわけじゃないから形をよく見てなかったんだよね。
だからどんなのだっけ? ってお母さんに聞いてみたら、下の刃の部分が斜めになってるんだよって教えてくれたんだ。
「要は剣の先端と同じ事なのよ」
刃が斜めになってたら,入ってく時にナイフで切るみたいになるでしょ?
だからこういう道具も、下の刃のとこは斜めにしないとダメなんだって。
「それと、この道具だと直径が大きすぎるから、斜めになってる先端に剣の切っ先みたいなものを付けた方がいいかもしれないわ」
そっか。最初に刺さるとこがあればそこから切れてくもん! お母さん、頭いい!
と言うわけで、さっそくクリエイト魔法で筒の下んとこを作り変えて再挑戦!
「ちょっと待って」
しようとしたんだけど、そしたらニールンドさんが僕を止めたんだ。
だから僕、どうしたの? って聞いてみたんだけど、そしたら、
「それだと、刃が斜めになってるから皮が最後まで切れないでしょ? 捨てる皮をもう一枚貰ってくるから、実験するのはそれを下に敷いてからの方がいいんじゃない?」
そう言って捨てるはずの皮を持ってきてくれるって言ったんだよね。
「手伝いますよ、ニールンドさん」
でも濡れてる皮ってとっても重たいでしょ? だからお父さんがニールンドさんについてって、代わりに運んできてくれたんだ。
と言うわけで、今度こそ再挑戦。
でもね、持ってきた濡れた皮を下に敷いて、その上にさっきの皮をのけるとせっかく乾かしたのにまた濡れちゃうでしょ?
だから僕、下に敷く皮にもドライをかけてから、その上にさっき貰った皮をお父さんに置いてもらったんだ。
「じゃあ、いくよ」
僕はそう言うと、取っ手を持ってよいしょって上から押してみたんだよね。
そしたら今度は大成功! お母さんが言った通り、この形にしたら刃がすーって入って行って簡単に切れちゃったんだ。
「おっ、やったな、ルディーン」
「うん! ありがとうね、お母さん」
「どういたしまして」
だから僕、うれしくって飛び跳ねながら喜んだんでたんだけど、
「ところでこれ、何に使うものなんだ?」
お父さんが、今度はくりぬいた皮を持ちながら僕に聞いてきたんだよね。
だからその使い方を教えてあげようとしたんだけど、
「解った! これ、酒樽とかの栓に使うつもりでしょ?」
そしたらその前に、ニールンドさんがこんな事を言いだしたんだ。
「なるほど。確かにこれなら適度に縮むからちょうどいいかもしれないな」
お父さんたちが飲んでるお酒の樽は下んとこに木の栓がしてあって、それを抜いて中からお酒を出すんだよね。
でも、木の栓だと使ってるうちにゆるくなっちゃうでしょ? だからニールンドさんはこれをその樽に使う栓の代わりにしたらいいんじゃないかって思ったんだって。
「あら。でもこれだと、この柔らかい所がお酒を吸ってしまうんじゃないかしら?」
「ああ、それなら問題ありません。今は下茹でだから濡れてますけど、この皮はなめしたら水を通さなくなるんです」
下茹でしたブルーフロッグの皮って、いっぱい水を吸ってるからとっても重たくなってるでしょ?
でもね、これは下茹でしただけだからなんだって。
だけどちゃんとなめしてから乾かすと、この背中の皮もお腹の皮みたいに水を通さなくなるんだよってニールンドさんは教えてくれたんだ。
「それに、なめしてもほんの少し硬くなる程度だから十分に栓としても使えると思いますよ。おまけにこれなら柔らかくて傷つける事もないだろうから、樽の方の穴も銅で作れば酒樽も今以上に長持ちするようになるんじゃないかしら」
今は木の栓のを抜き差しをしているうちにそこが痛んで樽を修理しなきゃいけなくなるけど、これを使えばその心配はなくなるってニールンドさんは言うんだよね。
それを聞いたお父さんも、それはいいって大喜び。
いいものを考えたなぁって僕をほめてくれてるんだけど、
「これ、栓に使うんじゃないよ?」
僕がやろうと思ってたのは別の事だから、そんなの全然考えてなかったんだよね。
でも、それを聞いたニールンドさんは、あれ? って顔したんだ。
「そうなの?」
「うん。だって僕、この皮がなめしたら水を吸わなくなるなんて知らなかったもん」
「そう言えばそうよね」
僕もお母さんと一緒で、この皮は水を吸うんだってさっきまでは思ってたもん。
だからね、酒樽の栓にしようなんて全然思ってなかったんだ。
「あっ! でも、それだったらお風呂とかの栓にするのもいいかも」
「なるほど。確かにいい考えかもしれないわ」
村で使ってる大浴場のお風呂ってお湯を捨てる穴に銅で作った蓋を使ってるんだけど、そのせいで重たいし、蓋をしててもちょっとずつ水が抜けてっちゃうんだ。
でもこのブルーフロッグの背中の皮を使えばちゃんと栓ができるから、水が抜けてっちゃうなんて事も無くなると思うんだよね。
だからそれを聞いたお母さんは、僕の意見に賛成してくれたんだ。
それにね、うちに作った水道だって木の栓を使ってるもん。
それをこれに変えたら、多分もっと便利になると思うんだ。
だってこの皮、ゴムみたいに使えそうなんだもん。
読んで頂いてありがとうございます
ルディーン君が前の世界で見ていたオヒルナンデスヨは、料理のやり方やいろいろなところへ出かける旅のコーナーだけじゃなく生活に便利な道具もいろいろと紹介してくれていました。まさに主婦の味方! って感じですね。
しかし、今日でこの話は終わるはずだったのに、余談だった話が長引いて本来の使い方が出ずに終わってしまったなぁw
まぁ、流石に次回で終わるとは思いますけどね。
そしてその後は、いよいよ幻獣との決戦(?)だ!




