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264 レーア姉ちゃんって欲張りさんだよね


「キャリーナは石と羽を使ったアクセサリーを作ってもらうのね? じゃあ私は何を作ってもらおうかしら?」


 僕が村に帰ったらキャリーナ姉ちゃんにアクセサリーを作ってあげるよって約束してたら、それを聞いてたレーア姉ちゃんまで作ってよって言いだしたんだ。


「レーア姉ちゃんのも作るの?」


「あら、キャリーナには作ってあげるのに、私には作ってくれないの?」


「作ってあげるのはいいよ。だけどね、さっきキャリーナ姉ちゃんにも言ったけど、昨日レーア姉ちゃんが買って来たみたいなすごいのは僕、作れないよ」


 キャリーナ姉ちゃんは昨日も木でできたお花の髪飾りを買って来たし、さっき僕が作ってあげるねって言った簡単に作れるのでもいいよって言ってたから大丈夫だけど、レーア姉ちゃんが欲しがるようなのだと僕の魔法じゃ難しいんじゃないかなぁ?


 そう思ったから、僕じゃレーア姉ちゃんのアクセサリーは作れないよって言ったんだけど、


「大丈夫よ。いくら魔法を使えるからって言っても、ルディーンが何でも作れるなんて私も思ってないから」


 そしたら、レーア姉ちゃんもそんなにすごいものを作ってほしいわけじゃないから大丈夫だよって言われちゃった。


「そうなの?」


「そうよ。だってもしルディーンが魔法で何でも作れちゃうんだったら、この街に乗ってきた馬車だってお父さんやお兄ちゃんたちに手伝ってもらわなくてもできたはずでしょ? でもルディーンが魔法で作ったのはパーツだけじゃない」


 僕は今までいろんなものを作ってきたよね?


 でもその殆どは僕が魔法でパパッて作ったんじゃなくって、いっつも魔法で作ったいろんな部品を組み合わせて作ってたから、きっと難しいのは作れないんじゃないかな? って、レーア姉ちゃんは思ってたんだって。


「でもね、ルディーン。あんたさっき、石と羽のアクセサリーなら作れるって言ってたでしょ? なら、ペンダントトップくらいだったら魔法で作れるんじゃないのかな? って思ったのよ」


「ペンダントトップ?」


 レーア姉ちゃんは、これなら作れそうだなぁって思うものの事を言って来たらしいんだけど、僕はアクセサリーの事なんてあんまり知らないもんだから、名前だけ言われてもよく解んないんだよね。


 だから僕は頭をこてんって倒しながら、そう聞いたんだよ。


 そしたら、


「ああ、ペンダントトップって言っても解んないか。ちょっとこっち来て」


 僕はレーア姉ちゃんに手を引かれて、小さな丸テーブルの所まで連れてかれちゃった。


 でね、お姉ちゃんはそのテーブルの上に乗ってるものを指さしながら、


「ほら。このネックレスの先っぽに小さな飾りがついてるでしょ? これがペンダントトップよ」


 そう言って僕に教えてくれたんだ。


「へぇ、これがそうなのか」


 レーア姉ちゃんに連れてかれたテーブルの上には、ネックレスがいっぱい並んでたんだよね。


 それはみんな昨日お姉ちゃんが買って来た奴みたいに金色の細い鎖でできてたんだけど、その先っぽについてる飾りはきれいに磨いた石に金具がつけてあったり、果物の形をしたひらぺったい金属だったりと全部違うデザインだったんだ。


「どう? これならルディーンでも作れるでしょ」


「うん。これくらいなら僕でも作れるよ。でも、これだけあってもしょうがないんじゃないの?」


 石を磨くのはさっきキャリーナ姉ちゃんに言ったみたいに作れるかどうかやってみないと解んないけど、それに金具をくっつけるのはそれほど難しくないし、金属でできたちっちゃな飾りを作るだけならもっと簡単なんだよね。


 だからそれを作るのは大丈夫なんだけど、でもこれだけを作ってどうするんだろう?


 そう思った僕はレーナ姉ちゃんに聞いてみたんだよ。


 けど、そしたらお姉ちゃんはこれが作れればいいんだよって言うんだ。


「ほら、ここ見て。ここに並んでるネックレスはみんな、こんな風に鎖をペンダントトップについてる小さな輪っかに通してあるでしょ?」


「あっ、ほんとだ」


「これだけいろいろな種類があるけど、首にかける鎖はみんな同じものなのよ。だからペンダントトップさえあれば、それだけでいろんなネックレスに変わっちゃうんだから」


 ここのお店って、ネックレスの鎖が切れちゃった時のためにそれだけでも買う事ができるんだって。


 でね、その鎖を買うと、つないで輪っかにする時に使う先っぽが切れてる小さな輪っかも一緒にくれるそうなんだ。


「ペンダントトップが作れるくらいだから、そのつなぐときに使う小さな輪っかも作れるんでしょ? なら鎖が1本あれば、いろんなネックレスを買ったのと同じことになるじゃない」


「そうなのかぁ」


 レーア姉ちゃんにそう言われてもういっぺんテーブルを見てみると、確かに並んでるネックレスの先っぽについてる飾りはみんな鎖に通してあるだけなんだよね。


 これならお姉ちゃんが言う通り、先っぽに付ける飾りをいっぱい持ってればいろんなネックレスを持ってるのとおんなじだもん。


 ならそれだけでもいいから作ってってレーア姉ちゃんが言うのも当たり前だよねって僕、思うんだ。


 それにさ、レーア姉ちゃんは先っぽの飾りを変える時に鎖をつないでる輪っかを作らなきゃって言ってたけど、それもちょっと変えるだけでそんな事しなくてもよくなるんだよね。


「レーア姉ちゃん。ネックレスの先っぽを変えられるようにすればいいんだよね? なら、わざわざ鎖を切らなくてもいいんじゃないの?」


「えっ、そうなの?」


「うん。鎖をつなげる輪っかをちょっと変えるだけで、簡単に飾りを変えられるようになると思うよ」


 前の世界にはね、二つの輪っかをつなげるように針金を二重に巻いて作った特別な輪っかがあったんだ。


 それをつなぎ目に使ってその二重の輪っかにくっつけるようにすれば、わざわざ鎖を切らなくっても先っぽの飾りを変えられるようになるはずなんだよね。


「それって、簡単に作れるの?」


「うん。ペンダントトップ? ってのを作るより簡単だよ」


 ただ針金を二重に巻くだけだし、真鍮って言う材料が買えるならそんなに難しくないんだよね。


 だからその事を教えてあげたんだけど、そしたらレーア姉ちゃんがとんでもない事を言い出したんだ。


「そっか。ならルディーンには、いろいろなペンダントトップを見ておいてもらわないとね」


「えー、僕、そんなにいっぱい作んないとダメなの?」


「だって、簡単に付け替えられるようになるんでしょ? だったらいっぱい欲しいじゃない」


 キャリーナ姉ちゃんは石と羽のアクセサリーだけだったのに、レーア姉ちゃんはペンダントトップってのをいっぱい作ってって言うんだよ。


 だから僕、そんなのヤダって言ってやろうって思ったんだけど、


「レーア姉ちゃんばっかりずるい! ルディーン、私も鎖買ってくから、作ってね」


 なんと、キャリーナ姉ちゃんまで一緒になって作ってって言いだしたんだよね。


「あら、いいわね。それなら私も作ってもらおうかしら」


「えー、お母さんも?」


 おまけにお母さんまでこんな事言いだしたもん。僕、困っちゃった。


「そりゃあ、お母さんだっておしゃれしたいもの。それともルディーンは、お姉ちゃんたちには作ってあげてもお母さんには作ってくれないのかな?」


 それにね、お母さんたら悲しそうな顔してこんなこと言うんだよ。


「そんな事ないけど……」


「ありがとう。ルディーンは優しいね」


 でも、お母さんだけ仲間外れにしたらかわいそうでしょ? だから僕、お母さんの分も作ってあげる事にしたんだ。


 だけどさ、レーア姉ちゃんに連れてきてもらったテーブルにあるネックレスは、みんなかわいいのばっかりなんだよね。


 そんなのだとお母さんには似合わないよね? って思った僕は、他にないかなぁって店の中を見渡したんだ。


「あれ?」


 そしたら別のテーブルの上に乗ってるあるものを発見して、ちょっとびっくり。


「あれって、もしかして!?」


 そう思った僕は、ちょっとドキドキしながらそれが乗ってるテーブルに走っていったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 先ほど久しぶりにアクセス解析を見てみたのですが、いつの間にか200万アクセスを大きく超えて、210万アクセスを突破していました。本当にありがたい事です。


 また、ついでの様な書き方で申し訳ありませんが、いつも誤字脱字を報告していただいてありがとうございます。大変助かっております。


 感想を書いて下さる方々、レビューをくださった方、誤字脱字報告をして下さる方々、そしてこの私の書くつたない文章を読んでくださっている方々。そんな人たちに支えられて私はこの物語を書いています。


 皆様、これからも細々と更新し続けていくつもりなので、引き続きお付き合い頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人格はそのままで知識だけ異世界(現実)という設定はあまりないが、よく描けていて面白い。主人公が純真なのもいいし、読みやすくて引き込まれる。 [気になる点] スティナちゃんを甘やかしすぎて、…
[良い点] 帰ったらルディーン宝飾品店開業してしまいますね! 何かを見つけて駆け寄ったがいったい何があったのか、気になります! [一言] 女の子達は目ざといからおねえちゃんたちが頻繁に違うの身に付けて…
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