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193 難しいお勉強と僕の思い違い


 今度こそホントに休憩は終わり。


 僕はバーリマンさんから魔法陣の書き方を教えてもらい始めたんだ。


 でもね、


「魔法陣ってホント難しいんだね」


「それはそうですよ。普通は学校に何年か通って覚える物なのですから」


 最初にやる一番簡単な魔法陣でもかなり難しくって、もう何がなんだかよく解んないんだよね。


「ほう。魔道具の回路図は独学で理解したルディーン君でも、系統の違う魔法陣には苦戦中と言うわけじゃな」


「魔道回路図は魔力の流れが一目瞭然ですから使う回路記号の特性を理解できれば書けますが、魔法陣は法則に従って記号を当てはめて行く必要がありますもの。その違いに、最初の内はどうしても戸惑ってしまうのでしょう」


 そう、魔法陣は中に組み込む魔法によって魔力の流れや効果範囲とかを指定する記号が変わるんだけど、その記号をどこにどうはめ込んだらいいのか、何度聞いてもよく解んないんだ。


 でね、説明を聞いても解んない僕も大変だけど、教えてるバーリマンさんもどうしたらいいのかちょっと困っちゃってたんだ。


 そしたらロルフさんがこんな事を言ったんだよね。


「なるほどのぉ。ならば一度魔力の流れに沿って書いて見せてはどうかな」


「魔力の流れに沿って、ですか?」


 魔法陣って前にも言ったけどパズルみたいなもんだから規則どおり書いてかないとどうしても図形の位置がずれてきちゃうんだよね。


 だから決まった順番で円の中を埋めてくようにするんだけど、それだとどうしても魔力の流れとはまったく関係ない書き方になっちゃうんだ。


「うむ。確かに書き方を教えるという点で考えると埋める順番は大事じゃろうが、ルディーン君の場合はそれよりもまず、何故そこにその記号が置かれるのかを理解させた方がうまく行く様にわしは感じるのじゃよ」


「なるほど。確かに一つ一つを別々に書き記せばそれぞれの流れは理解しやすいですよね」


 でもロルフさんは今やってるのはお勉強なんだから、別に最後まで書けなくてもいいよねって言うんだ。


 それより、一個一個の記号が何でそこに置かれるのかをしっかりとお勉強して、それから書く順番を覚えたほうが僕にはいいってロルフさんは思ってるんだってさ。


「ルディーン君の場合は普通の学生と違って記号の理解力が高いからのぉ。じゃから一度流れを掴んでしまえば、後は自然と組み合わせるすべを身につけると思うんじゃよ」


「そうですわね。今の教え方はあくまで多くの生徒に対しては有効かもしれませんが、一対一で教える場合は、教え方も生徒に合わせたほうがいいと私も思いますわ」


 と言う訳で今まで教えた事は一旦忘れてねって言うと、バーリマンさんはロルフさんと二人で僕に教える方法のお話し合いに入っちゃった。


 まぁ、とは言っても流れを確認しただけだから、すぐにお勉強は再開されたんだけどね。



「そっか、こんな風に魔力が流れるから、この記号をここに置くんだね」


「ええ、そうみたいね。私も魔法陣の役割を分解してみて、初めて知ったわ」


 ロルフさんとバーリマンさんが考えた新しいお勉強の仕方を試してみたんだけど、そしたら凄い事が解ったんだ。


 この最初にお勉強する魔法陣なんだけど、こうやってバラバラにしてみたら魔法陣を書くための基礎が殆ど入ってる事が解ったんだってさ。


「私も学園ではただこう言う物だと丸暗記のようにして覚えたのですけど、きちんと理解すればその知識が後々まで役に立つ魔法陣だったのですね」


「うむ。人に教えると自分の知識が深まるとよく言われておるが、これはその典型じゃな」


 こんな風にバーリマンさんたちもこれでまたもっと難しい魔法陣に挑戦できるって言ってるんだよね。


 でもね、教えてもらってる僕はと言うと、


「う~ん、魔力の流れは解ったけど、その後が解んないや」


 魔道回路図に同じような記号があるやつは解るんだけど、そのほかのがよく解んないんだよね。


 例えば範囲を表す記号一つをとっても場所や物、それに空間を表す記号とかが何個かあって、それを魔法ごとに色々組み合わせて使ったりするんだって。


 そんなのが他にもいっぱいあるんだよ。こんなの、ちょっとお勉強しただけじゃ解る訳無いよね。


「それはそうじゃ。と言うより、魔力の流れだけでも理解できている事がわしとしては、ちと驚きじゃわい」


「えっ、そうなの?」


「そうですよ。先ほども言った通り、私もこの魔法陣はこう言う物だと丸暗記して記号の配列を覚えたのですから。それを記号の意味を考えながら組み合わせて魔法陣を書こうだなんて、そんなのは簡単な魔法陣でも1年は勉強しなければ書けるはずがありませんわ」


 そっか、解んなくってもよかったんだね。


「僕、これが解んないと魔法陣のお勉強ができないと思ってた」


「もしかして、私が説明した記号の意味を理解して、魔法陣にはめ込もうと思っていたのですか? あれはあくまでここはこう言う働きをしていると説明していただけなのですが……」


 僕は記号の意味を教えてくれながら魔法陣を書いて見せてくれたから、てっきりそれを全部解って無いといけないって思ってたんだよね。


 でも、バーリマンさんが言うには、魔法の系統ごとにある程度決まった魔法陣の形が色々とあって、最初の内はその中からどの魔法陣がどんな魔法にあってるかを覚えるのが普通なんだってさ。


「しかし、ルディーン君らしいといえばらしいが、まさか勉強を始めてすぐに1から魔法陣を構築しようと考えておったとはのぉ」


「そうですわね。でも魔道回路図を本を読んだだけで理解したルディーン君ですから、こう考えてもおかしくは無いと言う事を、私も授業を始める前に頭に入れておくべきでしたね」


 バーリマンさんたちは僕が考えてた事にびっくりしてるみたいなんだけど、でもさ、魔法陣の書き方をお勉強するって聞いてたら普通はそう考えるよね?


 だから、僕はおかしくなんか無いって思ったんだけど、


「ルディーン君。魔法陣の構築は私たちでもまだまだ勉強しなければいけない事がたくさんあるの。それくらい難しい事を、何の知識も無いうちから全部やってしまおうなんて普通は考えない物なのよ」


「うむ。先ほども魔力の流れを理解しただけでも驚きものじゃと言ったであろう? 今ギルマスがルディーン君に教えようとしておるのはのぉ、これから色々な魔法陣を見て、その記号の構築から大まかな流れを理解するのにその知識が必要だからなのじゃよ」


 僕は魔法陣のお勉強って聞いて、ちょっと勘違いしてたみたい。


 まったく何にも解って無いのにただ魔法陣を丸写ししても何がなんだか解んないから、これはこういう意味でここに書いてあるんだよってバーリマンさんが説明してくれてたのを、僕は全部解ってないとダメなんだって思い込んでたんだ。


 でもそうだよね。


 いっぱいある記号をどうやって組み合わせればいいかなんて、そんなにすぐに覚えられるはず無いもん。


「えへへっ、僕、間違えちゃった」


「最初の内は目の前にある魔法陣を見て、説明を受けながらそういうものだと漠然と理解すればいいのよ。幾つかの違った魔法陣の説明を聞いているうちにだんだんその違いが理解できるようになりますからね」


「そうじゃぞ。学生は皆、そうやって魔法陣を覚えて行くものじゃからな」


 ロルフさんとバーリマンさんはそう言って、魔法陣のお勉強のやり方を僕に教えてくれたんだ。


 そっか、じゃあいろんな魔法陣をいっぱい見ないといけないね。


 それでいつか、僕1人でも最初から魔法陣を書けるようになるんだ!



 読んで頂いてありがとうございます。


 ブックマークが700を越えた上に総合ポイントも2600を超えました! 本当にありがとうございます。


 もしこの話が気に入ってもらえたのなら、お気に入り登録や評価を入れていただけると嬉しいです。


 感想共々続きを書く原動力になるので、よろしくお願いします。


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