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189 魔法陣のお勉強、始めました!


「さて、お土産も頂いた事ですし、そろそろ隣の部屋でお勉強に移りましょうね」


「は~い!」


 そろそろお勉強を始めましょうねって言うバーリマンさんに、僕は元気よく手を上げてお返事をしたんだ。



 隣の部屋に入るとそこには大きなテーブルがあって、その上にはちょっと薄めの本や何かを書くための道具、それに羊皮紙とペンが幾つか置かれてて、バーリマンさんはそのテーブルに近づくと、その中から二冊の本を手に取って僕のほうに見せてくれたんだ。


「ほら、これが魔法陣の教科書よ。此方には魔法陣に使われる記号や簡単な書き方が書かれていて、まずはこの本で基本的なことを学んで行くのよ」


「じゃあもう一冊のほうは、難しい魔法陣の書き方が書いてあるの?」


「いいえ。それは学園でも、もっと上級生になってから覚える内容ですわね。こちらはその前に習得するべき内容であり、なおかつ後々までずっと使い続けることになる魔法陣に使われている文字を覚えるための教科書なの」


 バーリマンさんが言うには、いろんな魔法陣を書けるようになるには二冊目の文字の書き方を絶対覚えないといけないらしいんだ。


「魔法陣と言っても魔法で何かに刻むまでは、ただの絵ですもの。だから学園では最初に魔法陣の書き方の基礎を教え込むのよ。それさえあっていれば、覚えるのが大変な文字に関しては丸写しでも大丈夫ですからね」


 けど、とりあえず1冊目の記号や書き方が書いてある本をある程度覚えちゃって起動できるところまで書けるようになったら、中心に書く魔法を表す文字は見本を見ながら書き写しても魔法陣は動くんだって。


「じゃあまずは魔法陣の書き方や記号が書いてある本からお勉強するんだね」


「ええ。その方がいいと私も思うわよ」


 と言う事で、僕はバーリマンさんからその教科書を受けてとって、お勉強を始めることにしたんだ。



「そっか。魔法陣って、属性によって使う記号が違うんだね」


「基本的にはそうね。この本では火、水、土、風、光、闇の6つと無属性の記号の説明が載っているわ。でもね、これはもっと上級にならないと教わらないんだけど、魔法によっては複数の属性を使うものがあるからその時はまた別の記号を使ったりもするのよ」


 魔法陣って言うのは何重かの円の中に記号や文字をを使って書くんだけど、その中でも特に重要なのがその魔法陣で発動させたい魔法の属性らしいんだ。


 でもね、いっつもその属性にあった記号を使うわけじゃないみたいで、時にはまったく逆の属性記号をわざと使うことがあったりするんだって。


「例えば力を放出するタイプの魔法ならただ属性に合った記号を使えばいいだけなんだけど、魔力を内包する魔法陣を作るのなら力が強すぎてはうまくいかない事もありえるでしょ? だから大きな魔力を使うような魔法の時は相対する記号で力が外に出ないよう封じ込めて、その他の補助記号を使ってその力が魔法陣の中を循環するようにしたりするのよ」


「そっか。魔法を使うときと違って、流れてる魔力の方向とかも考えないといけないんだね」


「そう。魔法陣には意思が無いから、それを別の物で補ってあげる必要があるのよ」


 いつも使ってる魔法だと体の中を循環させてる魔力をこうしたいって思って発動させればいいだけなんだけど、魔石なんかの魔力を使う魔法陣だとこうしたいって言うのはちゃんと記号を組み合わせて命令してあげないといけないみたいなんだ。


 何と言うかなぁ。魔法陣って図形パズルみたいって言うか、前の世界にあった、いろんな記号が書かれたパーツを組み合わせて動かすロボットのおもちゃみたいだよね。


「これを覚えるのは少し大変だけど、最初は簡単な魔法陣で練習をするから大丈夫。内包型と違って放出型は魔力の流れや循環をあまり考えなくていいから、初めはそこからやりましょう」


 放出型の魔法陣だと、刻んだ魔石から魔力を取り出して魔法を使うだけだから書く図形の数も少なくてすむんだって。


 それに書いた魔法陣がちゃんと動くかどうかも動かしてみればすぐに解るから、最初はみんなこっちから始めるんだってさ。


「放出型? って事はマジックミサイルみたいな、攻撃魔法の魔法陣を書くの?」


 でね、僕は放出って聞いて真っ先にマジックミサイルみたいな魔法を思い浮かべたんだ。


「ああ、放出って言葉を聞くとそう勘違いしてしまっても仕方が無いかもしれないけど、そうじゃないのよ。実はね、攻撃魔法のように、魔法を飛ばすタイプの魔法陣は完成したものが殆ど存在しないし、例え書けたとしてもまずまともに作動しないのよ」


 でもね、バーリマンさんはそんな魔法陣は書けないよって言うんだ。


 だから僕は、なんで? って聞いたんだけど、そしたら発動しても上手く飛ばせないからよって答えが返って来たんだ。


「魔法陣はね、さっきも言った通り魔法を発動させるのに記号を使って魔力の動きをきちんと書き込まないといけないのよ。でもそれはあくまで魔法陣の中だけで完結してしまうから、そこから先の動きまでは制御できないの」


「えっと、どういう事? よく解んない」


「そうねぇ。例えば弓で矢を撃つにはまず弓を引いて、それから狙いを定めて的に当てようとするでしょ? この場合、魔法陣は弓を引いて撃つ作業はしてくれるけど、狙いをつける作業はしてくれないのよ」


 バーリマンさんも上手く説明できないみたいなんだけど、どうやら魔法陣から魔法を飛ばそうとすると、どうも狙った方向に飛んでかないみたい。


 と言うのも魔法陣は魔石とか魔力を通しやすい素材とかに刻んで使うんだけど、その素材が完全にまっ平らとかじゃないと刻む時にどうしても微妙に歪んじゃうんだよね。


 その程度の小さなゆがみじゃ魔法の発動自体には問題ないらしいんだけど、それを使って魔法を飛ばそうとすると、そのゆがみで変な方へ飛んでっちゃうらしいんだ。


「さっきも言った通り魔力には意思が無いから、魔法陣に書かれている記号の通り発動しちゃうのよ。でも、例えば魔石に刻むと上下左右どころか360度どの方向にずれて刻まれるか解らないし、魔石自体も何のゆがみも無いものなんて存在しないから、本当にどっちへ飛ぶか実際に使ってみるまで解らないのよ」


「でもさ、一度実験してみて、それでちゃんと前に飛ぶように魔道具を作れないの?」


「確かにそれを思いついた人もいるわよ。ところが、その時魔法陣に注がれた魔力の量がほんの少し違うだけでも、微妙に飛ぶ方向が変わってしまうらしいのよね」


 ああ、それじゃあ飛ばすタイプの魔法は使えないか。


 そりゃあ前にはちゃんと飛ぶだろうけど、狙ったところに当たんないなら魔力を無駄にするだけだからね。


「だからね、攻撃型の魔法は剣を斬れやすくしたり、炎や冷気を宿したりするような武器の威力をあげるエンチャント系の魔法陣しか存在しないのよ」


「そっか。そう言えば武器屋さんにはそういう魔法の武器が在るって言ってたもんね。あっでも、飛ばせないならキュアみたいなお怪我を治す魔法も使えないね」


「ああ、それなら大丈夫よ。飛ばさなければいいだけで、炎や冷気と同じようにキュアの魔法を纏わせたワンドやロッドで怪我をした人を軽く叩けばきちんと発動するもの」


 でも、そんな魔道具は神殿が作ってくれないけどね。


 バーリマンさんは笑いながら、僕にそう言ったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 ブックマークが680を越えた上に総合ポイントも2500を超えました! 本当にありがとうございます。


 もしこの話が気に入ってもらえたのなら、お気に入り登録や評価を入れていただけると嬉しいです。


 感想共々続きを書く原動力になるので、よろしくお願いします。

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