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185 クラウンコッコのガラスープと、うっかりしてた僕


「ルディーン、これでいいか?」


「う~ん、もうちょっと掃除しないとダメなんじゃないかなぁ」


 お父さんが洗ったガラはまだちょっと血みたいなのが残ってたから、僕はもっとしっかりやらなきゃダメだよって教えてあげたんだ。



 クラウンコッコの解体祭りから数日後、僕たちは今日もまた村の中央広場に集まっていた。


 そこで何をしているのかって言うと、クラウンコッコの骨を煮出してのスープ作り。


 実はね、この前解体した時に鑑定解析したらクラウンコッコのガラでも鶏と同じようにスープが取れるって解ったんだよね。


 だから、それをお母さんたちに話したら一度作ってみようってなったんだ。


 でも、クラウンコッコはいっぱいあったから、当然そのガラもいっぱいあるんだよね。


 だからその全部を女の人たちだけで作業するのは大変だからって、今回はお父さんたち男の人も狩り出されてるって訳。


 でね、僕はと言うと、洗う作業のお手伝いはできないけどちゃんと出来てるかは解るから、お父さんたちの下処理をお母さんに言われて見てるんだ。


「ルディーン。こっちの下処理はある程度終わったし、そろそろ煮込み始めるからちょっと来て頂戴」


「うん、解った!」


 あんまりやった事無い下処理に苦戦してるお父さんたちと違って、いっつもお料理をしてるお母さんたちはもうできちゃったみたいで、次の作業に移るからこっちに来てって言われちゃった。


 実はね、下処理と違ってクラウンコッコのガラからスープを取るなんてお母さんたちもやった事無いから、煮始める時はそっちを手伝ってって言われてたんだよね。


 と言う訳で、僕はトコトコとお母さんたちのところへ移動したんだ。



 クラウンコッコは鶏の魔物だから、多分鶏がらのスープを取る方法と同じなんじゃないかな?


 じゃあその鶏がらスープはどうやって取ったらいいの? って話になるけど、そのやり方はオヒルナンデスヨでちょっとふくよかな女の料理人さんが意外と簡単なんだよって教えてたのを、僕が覚えてたんだ。


 その作り方ってのは、鶏がらをまず水で洗いながら内臓とか血の塊なんかをしっかりと取っちゃって、それをねぎの青い所と生姜とを一緒に水に入れて、それから火をつけて煮込むんだって。


 そしたらいっぱい灰汁が出るからそれを丁寧に掬って行って、無くなったら弱火にして1時間半くらい煮込んだら最後に布でこして完成なんだってさ。


 ね、簡単でしょ?


 それに灰汁が出なくなるまでの火加減はずっと強火でいいって言ってたし、それならかまどの火にかけっぱなしでいいって事だから灰汁をしっかりと取るって事だけ気をつけておけばいいんだもん。


 それに灰汁がなくなった後に弱火にするのも、かまどの火を崩せばいいだけだから楽ちんで、いっつも料理をしてるお母さんたちなら全然難しく無いんだ。



 ただ生姜はこの間見つけたからいいけど、うちの村はネギを作って無いんだよね。


 だからどうしよっかなぁって思ってたんだけど、それをお母さんに話したら、


「そこは煮る時に使うだけで食べないのよね? なら玉ねぎは作ってるから、その上の青い所じゃダメなの?」


 って言われちゃった。


 そう言えばネギも玉ねぎも名前がよく似てるから使えるかも知れないね。


 そう思った僕とお母さんは近所のおばさんたちに相談してみたんだけど、そしたら多分大丈夫だと思うって言われたから、玉ねぎの上のところを使って作る事になったんだ。



 と言う訳で作業開始。


 今回は大きなお鍋を何個か使っていっぱいスープを作るからって、予め僕がクリエイト魔法でかまどをいくつか作っておいたんだよね。


 でね、その中の一つにはもう水が入ったお鍋が置かれてたから、お母さんはまずは下処理を済ませたクラウンコッコのガラをその中に入れてから、


「生姜とネギはこれくらいでいい?」


「うん。大丈夫だと思うよ」


 僕に聞きながら玉ねぎの上んとこのネギみたいなやつと、スライスした生姜を入れて鍋の中身はこれで準備完了!


 って事で僕がかまどの中に入れてあった薪にイグナイトの魔法で火をつけると、あっと言う間にお鍋がグツグツいいだして灰汁もいっぱい出てきたんだ。


 その灰汁をお母さんと近所のおばさんたちが丁寧にすくってるうちに、もうあんまりでなくなったから下でボウボウ燃えてる薪を崩したんだよね。


 でね、後はこのまま1時間ほどほっとけば出来上がっちゃうから、僕とお母さんたちはまた別の鍋に取り掛かることにしたんだ。



「ルディーン、そろそろ最初の鍋がいい感じなんじゃない?」


 こうして何個かの鍋で同じ作業を繰り返してるうちに、お母さんがそろそろ最初の鍋が煮えたんじゃない? って言ったんだよね。


 だから僕とお母さんは次の鍋の準備をしているおばさんたちから離れて、最初の鍋んとこに移動。


 その鍋からガラや一緒に煮てたお野菜を取り出してから、布を張ったざるを上に置いた別の鍋に煮えた汁を入れてこして行ったんだ。



「それじゃあルディーン。ちゃんとできてるか確かめて」


「うん!」


 そして全部こし終わった煮汁に、僕は鑑定解析をかけてみたんだ。そしたら大成功! 


 クラウンコッコのガラスープって出て、その説明にはガラから取ったスープで魔力をいっぱい含んでるから体にいいし、お料理に使えばとってもおいしくなるって出たんだよね。


「やった! お母さん、ちゃんと美味しいスープが取れたって出てるよ」


「そう。良かったわね」


 だからそれを教えてあげたらお母さんも嬉しそうに笑ってくれたんだ。



 と言う訳で、とりあえずみんなを呼んで味見。


「へぇ、骨を煮るだけでこんなに美味しいスープが取れるのね」


「なるほどねぇ。確かにこれなら野菜や肉を入れて、後は塩で味を調えるだけで一品ができそうね」


 そしたらみんな、美味しい美味しいって言ってくれたんだ。


 それを聞いて僕はにっこりとしてたんだけど、でもね、1人の人が言った次の言葉でちょっと困っちゃったんだ。


「ところでこのスープ、どれくらいもつの?」


 そう言えばそっか。


 僕はクラウンコッコのガラからスープを取ることだけを考えてたもんだから、いっぱい取ったそのスープをどうしたらいいかまでは、まったく考えてなかった事にこの時始めて気が付いたんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 ブックマークが600を越えた上に総合ポイントも2300を超えました! 本当にありがとうございます。


 もしこの話が気に入ってもらえたのなら、お気に入り登録や評価を入れていただけると嬉しいです。


 感想共々続きを書く原動力になるので、よろしくお願いします。

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