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181 料理スキルって使うと美味しくなるだけじゃなかったんだね


 今日は今度こそ本当にマヨネーズ作り。


 雲のお菓子の時はスティナちゃんが次の日も作ってって言いに来たけど、今回は今日の分をヒルダ姉ちゃんに渡しておいたからその心配は無いんだよね。


 と言う訳で、僕は台所のテーブルの上にマヨネーズの材料や、作るのに必要な道具を並べて行ったんだけど、


「マヨネーズを作るのはいいとして、どんなのを作ろう?」


 テーブルの上に並べた材料を見て、僕はちょっと悩んだんだ。


 一言でマヨネーズと言っても黄身だけで作る濃厚なのや、白身も使ったあっさりしたの。それにお酢が強い物や、ちょっと減らして代わりに柑橘系の果物の汁を入れたものなんかがあるんだよね。


「それに今回は卵だけでも有精卵と無精卵があるしなぁ」


 正直言って有精卵を使ったからと言って、それで出来上がったマヨネーズが美味しくなるかは解んない。


 でも栄養は有精卵の方があるはずだし、次に何時手に入るか解んないから今回は有精卵の方を使う事にしたんだ。


「折角有精卵を使うなら、やっぱり黄身だけの方がいいよね」


 みんな初めて食べるんだから最初はあっさりしたやつの方がいいかなぁ? なんて思ってたけど、貴重な有精卵を使うのなら白身は入れない方がいいと思うんだ。



 卵は黄身だけを使う事になったんだけど、じゃあ柑橘系の果物の汁はどうしよう? 確かオヒルナンデスヨではレモンとかの汁を入れるとちょっとまろやかになるって言ってたんだよね?


 一応レモンは用意したんだけど今回は卵が普通の鶏のじゃないし、お酢の味が弱くなったら卵に負けちゃわないかなぁ?


 うん! やっぱり今回は卵とお酢、それに油と塩胡椒の基本的なマヨネーズを作ろっと。


 最初から変な事して失敗しちゃったらいやだもんね。



 マヨネーズって道具さえそろってるなら、実は結構簡単に作れるんだ。


 だからどうやって作るか決めちゃえば後は問題なくできると思ってたんだけど、やっぱり普通とは違う材料を使うと思っても見なかったことが起こっちゃうんだよね。


 まず最初に卵を割って黄身だけを取り出したんだけど、そしたらクラウンコッコっの卵って何と普通の鶏の卵とは白身と黄身のバランスが違ったんだ。


「これ、黄身がとっても大きいや」


 元々が普通のよりおっきな卵だったのに、黄身も普通のよりおっきかったから1個割っただけで鶏の黄身4個分よりちょっと多目になったんだよね。


 でもこれはちょっと嬉しい誤算なんだ。


 だって取れた有精卵はレーア姉ちゃんのお友達と分けたからそんなにいっぱい無いんだよね。


 それに黄身だけを使おうって決めた時に、お母さんから、


「獲って来たのはルディーンたちだからどっちを使ってもいいけど、今回使う卵は2個だけにしてね」


 って言われてたもんだから、あんまりいっぱい作れないなぁって思ってたんだ。


 でもこれなら1個の黄身だけで白身まで使った普通の卵2個分くらいの量があるから、結構な量のマヨネーズが作れそうだもん。


「こんなに黄身がおっきい卵を2個も使ったら、うちだけじゃ食べきれなくなっちゃうかも」


 そんなことを思ってニコニコしながら、僕はその黄身に対して鑑定解析を使ったんだ。


 何でかって言うと、魔力を多く含んだ魔物の卵だから多分大丈夫だとは思うけど、獲って来てから数日経ってるもんね。


 殺菌してくれるお酢を入れるからって言ってもマヨネーズは生で食べるものだから、一応悪くなってたり変な菌がいないかを調べないといけないんだ。


 因みに、これは鑑定解析じゃなくても錬金術師が使う解析を使えば解るんだって。


 ロルフさんみたいなお金持ちのお家だとこう言うのを調べる料理専門の錬金術師さんがいて、卵だけじゃなく全部の材料を変なものが混じってないか調べるそうなんだよ。凄いよね。



 さて、鑑定結果はと言うと異常無しでホッと一安心。


 と言う訳で、その卵にお酢やお塩、それに胡椒を入れて魔道泡だて器でかき混ぜて行く。


 でね、ある程度混ざった所でちょっと味見。


 今回も料理スキル頼みの何となくで量を決めてるけど、やっぱり確かめないと不安だからね。


 そしたらいい感じだったから、僕はその分量を用意してあった羊皮紙に書き込んで置いたんだ。


 こうしとけば、僕がいなくてもみんな欲しい時にマヨネーズが作れるからね。



 これで下準備は完了。でもここからがマヨネーズ作りの本番なんだ。


 だってマヨネーズ作りで一番失敗するのが多いのが、これからやる油を混ぜる時なんだもん。



 とは言っても、僕の場合は魔道泡だて器でボウルの中身をかき混ぜながらちょっとずつ油を入れていくだけだから失敗しようが無いんだけどね。


 ロルフさんのお家ではノートンさんが太い腕でずっとかき回してる所に他の料理人さんがちょっとずつ油を足して行ってたけど、僕の場合はそんな手伝ってくれる人はいないから、泡だて器でかき混ぜてる所におさじで油を入れてった。


 そしたらだんだん僕がよく知ってるマヨネーズの色に近づいていって、見た感じもだんだんモッタリとしてったんだけど、でもこのマヨネーズ、一つだけどう考えてもおかしな所があるんだ。


「これ、光ってるよね?」


 そう。今作ってるマヨネーズなんだけど、何でかちょっと光ってるんだよね。


 それも最初はホウって感じでちょっと光ってるだけだったんだけど、油がしっかりと混ざってマヨネーズが完成に近づいていくうちに、その光もだんだんと強くなって行ったんだ。


「これ、ピカピカだけど、大丈夫なのかなぁ?」


 でね、マヨネーズが出来上がった時にはぺかーって感じで光ってるんだもん。どう考えても普通じゃないよね。


 でも特に変わったものは入れて無いから、僕にはどうしてこうなったかさっぱり解んなかったんだ。



 と言う訳で出来上がったマヨネーズを鑑定解析。


 そしたら、


ヒールマヨネーズ


 クラウンコッコの有精卵の黄身だけを使用し、スキルを使って作られた料理アイテム。


 孵った時に収束して魔石になる程の大量の魔力を含んでいる黄身だけを使用した為、その効果は上級ポーション以上で、少量口にするだけでも傷の修復及び病気の回復や予防の効果がある。


 また、大変滋養があり普通のマヨネーズよりもかなり美味。



 ……何か凄いものができちゃったんだけど。


「これってもしかして、ドラゴン&マジック・オンラインの時みたいにバフがつくお料理ができちゃったって事?」


 ゲームの頃はスキルがある人がお料理を作ると、空腹値を満たす以外にも特別な材料を使うことで能力上昇なんかのバフ効果がある物を作る事ができたんだよね。


 でもさ、料理スキルを持ってる僕が今までいろんな魔物のお肉を料理してもバフが付くお料理が出来なかったから、てっきり現実の世界では作れないんだって思ってたんだ。


 けど、目の前にはそのできないと思ってた料理アイテムがあるわけで……。


「まぁ、できちゃったものは仕方ないよね」


 ちょっとの間どうしようかって思ってたけど、僕はまぁいっかって思ったんだ。


 だって鑑定解析の結果を見ると、このマヨネーズが料理アイテムになったのってクラウンコッコの有精卵を使ったからみたいだもん。


 そんなの、次に何時手に入るかも解んないんだから、悩んでたって仕方ないんだよね。


「あっ、良かった! あんまり光んなくなってきた」


 それにさっきまでペカーって強く光ってたのがだんだんと弱くなっていって、最後には気にならないくらいになったんだ。


「うん。これなら誰が見ても普通のマヨネーズにしか見えないよね」


 でね、光が気にならなくなってからもう一回鑑定解析してみたんだけど、やっぱり結果は変わらなかった。


 けど味は普通のより美味しいらしいし、怪我の予防になるだけで悪い効果があるわけじゃないからいっかって思った僕は、その出来上がったマヨネーズをそっと冷蔵庫の中にしまったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 ブックマークが600を越えた上に総合ポイントも2200を超えました! 本当にありがとうございます。


 もしこの話が気に入ってもらえたのなら、お気に入り登録や評価を入れていただけると嬉しいです。


 感想共々続きを書く原動力になるので、よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすく、面白いのであっという間に読んでしまいました! 続きを楽しみにしてます! [気になる点] ひとつだけ気になるがありました。 異世界だからと言われればそうなのですが、、、。 卵は有…
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