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172 大きな鶏、大発生

昨日は予約登校日を間違えてしまったので12時半過ぎに投稿しました。

12時からそれまでにアクセスされた方は、すみませんが前話から読んで下さい。


「ホント、ルディーンくんと一緒だとすごく簡単に狩れるわね」


「ええ、ビッグピジョンやグラスロビンだけじゃなく、ヒルフェザントやシェルクゥイルまで狩れるなんて思わなかったわ」


 僕が探知魔法で居場所を探してそれをみんなして遠くから矢で射るもんだから、思ったよりも安全で簡単に鳥の魔物が狩れてみんな笑顔だ。


 そりゃあレーア姉ちゃんたちのパーティーはみんなそんなに弓がうまいわけじゃないから見つけた魔物を全部狩れてる訳じゃないけど、逃げられたとしてもすぐに次が見つかるからいつもよりいっぱい狩れるんだよね。


 それに木にとまってたり川や池にいる鳥の魔物と違って、地面を歩いてて草でよく見えない雉やウズラの魔物は滅多に見つけることができないのに、今日は僕が簡単に見つけちゃうからみんな大興奮。


 だってこの二つの魔物はお肉がとっても美味しいけど、かなり警戒心が強いからお母さんたちでも見つけるのが難しいって言ってたからね。


 後ね、今日の僕たちは最初の内、獲れた魔物を持ったまま狩りを続けてたんだ。


 何でかって言うと動物と違って鳥の魔物はにおいにあまり敏感じゃないから、持ち運んでても気付かれる心配が殆ど無いからなんだよね。


 でも流石に何匹も狩ってたらだんだん持ちきれなくなっちゃって、僕たちは一度森の外にある馬車置き場まで引き換えす事にしたんだ。


 するとその途中での事、ふとエイラさんが何かに気が付いたような顔をしたんだよね。


「シッ! みんなちょっと静かにして」


 そしてみんなに静かにするように言うと、なにやら聞き耳を立てるようなしぐさをしたもんだから、僕たちもエイラさんと同じように耳を済ませてみる。


 コケェッコッコッコッコ。


 すると遠くでこんな泣き声が。


「……ねぇ、この鳴き声って」


「うん。間違いなくクラウンコッコだわ」


 その鳴き声を聞いたレーア姉ちゃんたちは、この魔物がなんなのか知ってたみたい。


 でね、そのクラウンコッコって言う魔物なんだけど、グランリルの村の人だったら知らない人はいないくらい有名な魔物なんだ。


 と言うのもこのクラウンコッコ、実は村のお祭りの時には必ず出されるって言うくらい美味しいお肉が取れる鳥の魔物だからなんだ。


 だけど普段のご飯に出て来る事は殆ど無いんだよね。


 何でかって言うと、それはこのクラウンコッコがとっても狩るのが難しい魔物だからなんだ。



 この魔物は鳥の魔物なのに空を飛べない。


 それは背がただ立ってるだけでも1メートル50センチくらいあるのに普通の鶏みたいにまんまるな体をしてて、そのうえ他の鳥の魔物と違ってからだの中にお肉がぎっちり詰まってるからなんだ。


 でもそのお肉が詰まった体が狩る時には問題になるんだよね。


 だって他の鳥の魔物と違って、体に矢が刺さってもそのお肉に阻まれて中々死んでくれないんだもん。


 それなら弱点の頭を狙えばいいって話になるんだけど、このクラウンコッコは鳥の魔物だけあってかなり素早いうえに、他の鳥の魔物みたいには無理でも木と木の間くらいなら飛びまわれるから森の中で弱点を狙うのはかなり難しいんだ。


 それに威嚇状態になると、オスは頭にある金色のトサカが王冠みたいに広がってそれで剣や飛んでくる矢を弾いちゃうし、メスはそのオスが攻撃を弾いた隙に襲い掛かって来るんだもん。


 だから強さ自体は魔石の大きさから考えてブラックボアくらいなんだろうって言われてるけど、実際に戦ってみるとそれよりずっと強く感じるらしいんだ。


 その上クラウンコッコは常に数匹固まっていて、絶対に単独で行動しないって言うのもこの魔物が狩りにくい理由なんだよね。


 だからお祭りのときは、いつもは別々に行動している幾つかのパーティーが一緒に行動して狩るんだ。


 そうしないと、危なくて手が出せないからね。



「クラウンコッコかぁ。あれ、美味しいんだよねぇ」


「うん。でも私たちだけで狩れるはず無いし、それにもし卵があったら危ないから迂回した方がいいわね」


 エイラさんとマリアさんがこんな会話をしているのは、クラウンコッコがもし卵を守っていたら危ないからなんだ。



 クラウンコッコは毎日のように複数卵を生むんだけど、でもその殆どが無精卵だから普通はそのまま放置されてて村の人たちが拾ったり爬虫類系の魔物のご飯になったりするんだよね。


 でもたまに何個かの有精卵を生むことがあって、そんな時はそこに巣を作って番で守るようになるんだ。


 クラウンコッコって鳥の魔物らしく基本臆病で人が近づくと普通は逃げちゃうから安全な魔物ではあるんだけど、こんな風に有精卵を守ってるときは攻撃的になるもんだから、クラウンコッコの鳴き声が聞こえたら念のため近づかないようにねって僕もお母さんから言われてるんだ。

 


 とまぁこんな訳で、僕たちはクラウンコッコの声がするところを大きく迂回して森の外に向かったんだけど、どうせだからって僕は探知魔法でそっちのほうを調べてみた。


 そしたら返って来たのは森に入る前に幾つかあった大きな魔物の魔力。ああそう言えば地面にいる大きな鳥なんだから、クラウンコッコだってちょっと考えれば解ったはずだよね。失敗、失敗。


 ん? でも、ちょっと待って。と言う事はこの森って今、いっぱいクラウンコッコがいるって事?


 確かあの時、探知魔法にいっぱい引っかかったはずなんだよね。


 じゃあこれからもクラウンコッコに出会う事があるんじゃないかなぁ?


 そう思った僕は、レーア姉ちゃんのパーティーに遅れないように歩きながら、周りに探知魔法を使ってみたんだ。


「わぁ! ホントにいっぱいいる!」


 そしたらホントにいっぱい周りにいて、僕はびっくりしたんだ。


「いっぱいいるって、ルディーン。何がそんなにいっぱいいるのよ」


「クラウンコッコだよ。それが僕たちの近くにいっぱいいるんだ」


 この前森に来た時はこんなにいなかったから、もしかして森で何かあったのかも?


 僕はそう思ってお姉ちゃんに話したんだけど、そしたら横で聞いてたマリアさんがもしかしたらって自分の考えを話してくれた。


「この間、魔道具を作るために村の人たち総出で森に入ったでしょ? その時の目的は猪の魔物だったけど、それでも出会った魔物はある程度狩ってきたわよね。そのおかげでこの辺りが他より安全になったから、もしかしたら卵を生むために集まってきてるのかも」


「ええっ! じゃあもしかしてルディーンがいっぱいいるって言うクラウンコッコ、みんな卵を守ってるって事?」


 それを聞いた僕はびっくりして慌ててもう一度、周りを探知魔法で調べてみたんだ。


 そしたら確かにいっぱいいるクラウンコッコは、殆どが二匹だけでかたまってたんだよね。


 って事はその殆どが番で、卵を守ってる可能性が高いって事だ。


「レーア姉ちゃん。周りにいるの、ホントにみんな二匹だよ。って事はマリアさんが言う通りかも」


「それって大変じゃない。ルディーン、どこにクラウンコッコがいるか、解る?」


「うん。ちゃんと解るよ」


「じゃあ、絶対出会わないルートを教えて。みんな、ルディーンについて行くわよ」


 一応鳴き声には注意するけど、どこで偶然出くわすか解んないもん。


 だから僕たちは探知魔法で調べながら慎重に森の外を目指したんだ。



「はぁ、やっと森の外に出られたぁ」


「ホント、緊張したわね」


 そのおかげで緊張しながら森の中を移動してた僕たちは、無事外に出られて一安心。


 みんなその場にへたり込みながら、笑顔で無事を祝ってたんだ。


 でね、安心したからなのか、ミラさんがとんでもない事を言い出したんだよね。


「そう言えばルディーン君は魔法で魔物の頭を打ち抜いて狩るのよね? ならクラウンコッコも狩れるんじゃない?」


 確かにクラウンコッコが頭を金色のトサカで守るのって威嚇状態になったときだよね。


 なら遠くからマジックミサイルを撃てば、ブラウンボアよりも脆いクラウンコッコの頭なら簡単に撃ち抜けるかも。


「ダメよ。今この近くに居るクラウンコッコはみんな番だもん。ルディーンが一匹をしとめても、もう一匹に襲われて私たちなんか簡単に全滅しちゃうわ」


「そうよね。そんなに簡単にはいかないかぁ」


 僕がそんな事を考えてたら、レーア姉ちゃんが二匹いるから無理だよって言うんだ。


 で、それを聞いたミラさんが納得したんだけど……僕、一度に二発のマジックミサイルを撃てるんだよね。


 普通なら何匹かで固まってるはずのクラウンコッコが二匹だけでいるって言うのは滅多にあることじゃ無いもん。


 一応、本当に別々の目標に向かって撃てるかどうか試してみないと解んないけど、もしできるなら狩ってみるのもいいかも。


 読んで頂いてありがとうございます。


 ブックマークが500を越えた上に総合ポイントも1900を超えました! 本当にありがとうございます。


 もしこの話が気に入ってもらえたのなら、お気に入り登録や評価を入れていただけると嬉しいです。


 感想共々続きを書く原動力になすので、よろしくお願いします。


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