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158 足りない石と慣れてないクリエイト魔法

 アクセス数が40万PVを超えました! これも皆、いつも読みに来て頂いている皆様のおかげです。


 実を言うと月曜日の時点で越えていたのですが、折角なら記念すべき令和最初の投稿の日にこの報告をしたかったので、今日発表する事にしました。


 これからも細々とですが続けていくので、お付き合いいただけたら幸いです。


「う~ん、流石にこれだけじゃ足らなかったか」


 カキ氷を食べた後、これからの準備では僕が手伝える事は無いから遊びに行ってもいいよってお母さんが言ったんだ。


 だから僕はスティナちゃんと一緒に台所を出てお庭に行ったんだけど、そしたらお父さんとお兄ちゃんたちが川から台車に乗っけて持ってきた大きな石を使ってかまどを作ってたんだよね。


「庭をちょっと掘ればなんとかなるかと思ったが、これだと木組みをして鍋を吊るすならともかく、串打ちした肉を焼くには流石にかまどが低すぎるだろうなぁ」


「そうだね。もうちょっと高さが無いと肉に火が直接当たるから、火が通る前に周りが焦げちゃうよ」


「でもどうするの? 村の川にある石で、大きいのはあらかた持ってきたよ」


 でも、どうやら持ってきた石だけじゃかまどを作るには足らなかったみたいなんだ。


 おまけに村の中を流れてる川にあった大きな石はみんな持ってきちゃったらしくて、もう一度取りに行ってもダメみたい。


「そうだな。これは村の外に出て、川の上流から持ってこないとダメか」


「でもさ、今から行くとなると、かまどを作る時間がなくなっちゃうんじゃない?」


 だからお父さんは村の外に行っておっきな石を取ってこないとダメかなぁって言ったんだけど、ディック兄ちゃんがそれだと間に合わないって言ったんだよね。


 確かにもうご近所のおばさんたちが台所に来てお料理の準備を始めちゃってるのに、今から村の外まで行ってたら絶対に間に合わないと僕も思うんだ。


「ルディーンにいちゃ、おじいちゃんたち、こまってゆの?」


「うん。何か大変みたいだね」


 でもさ、僕には何にもできないんだよね。


 だってかまどに使うようなおっきな石はとっても重いから、僕じゃ持てないもん。


 だからジャンプの魔法を使っても、ここに持ってくる事はできないんだ。


「おや? ルディーン、お母さんたちのお手伝いはもういいの?」


「うん。もう僕がやれる事は無いから、スティナちゃんと遊んできてもいいよって言われたんだ」


 僕とスティナちゃんがそんな話をしてたら、その声に気が付いたテオドル兄ちゃんが話しかけてきたんだ。


 だから僕は川から持ってきた石だけじゃ足りないの? って聞いたら、そうみたいって言われちゃった。


「でもかまどが無いとお母さんたちが準備してるお肉、焼けないよ」


「そうなんだよなぁ。でも、小さな石をいくら持ってきてもかまどにはできないし」


 お兄ちゃんが言う通り、かまどを作ろうと思ったら土台になる石や、その上に積み上げる石も結構大きな石を使わないといけないんだよね。


 だってそうしないと、上に物を置いた時に崩れちゃうもん。


「そっか。ディック兄ちゃんも、川にはもうおっきな石、無いって言ってたもんなぁ」


「そうなんだ。だからお父さんも困ってるんだよね」


 テオドル兄ちゃんが言うには、お父さんはちょっと石が少ないけど、お庭に穴を掘ればなんとかなるんじゃないかなぁって考えてたんだって。


 だけど実際にかまどを組み始めてみたら思った以上に高さが出なくて、これだと煮炊きには使えるけど、お肉を焼くにはちょっと低すぎるらしいんだ。


「これ以上穴を深くすると空気が流れないから火が消えちゃったり、煙だらけでうまく肉が焼けなかったりするからね。どうにかしてかまどの高さを出したい所なんだけど……」


 資材置き場に行けば木材はいっぱい置いてあるけど、火を使うかまどにそんな物は流石に使えないんだよなぁってお兄ちゃんも困り顔だ。


「おや? ルディーン、居たのか」


 結局どうしたらいいのか解んなかった僕とテオドル兄ちゃんが二人してう~んって唸ってたら、それにお父さんとディック兄ちゃんも気が付いた見たいなんだ。


 でね、そのディック兄ちゃんが僕の顔を見ていきなりこう言ったんだ。


「そうだ。ルディーンは遠くから一瞬で帰ってこれる魔法が使えるんだろ? なら、ルディーンに石を運んでもらえばいいじゃないか」


 でもさ、それは無理なんだよね。


「ディック兄ちゃん、ジャンプの魔法は僕が持てるものしか運べないんだ。だから一個くらいならなんとか持ってこれるけど、いっぱいは無理だよ」


「そうか、いい考えだと思ったんだけどなぁ」


 僕の答えを聞いたディック兄ちゃんは本当にがっかりした顔になったんだけど、その横で聞いてたお父さんが急に、


「そうか、魔法と言う手があったか」


 って言い出したんだ。


「えっ? なに? どうしたの?」


「だから魔法だよ。ルディーン。お前、魔法使いが使う魔法が使えるんだよな。なら壁を作る石が作れるんじゃないのか?」


 お父さんは前に冒険者ギルドでルルモアさんが言ってた、イーノックカウの壁は土から石を作る魔法で作られてるって話を思い出したみたいなんだ。


 だからその魔法を僕がもし使えたら、かまどに必要な石なんてすぐに作れるって思ったんだって。


 でもさぁ、あの時ルルモアさんは魔法をいっぱい練習した魔法使いなら簡単に覚えられる魔法なんだよって言ってたよね? でも僕はまだ10レベルなんだから、流石に無理なんじゃないかって思ったんだ。


「どうなんだ、ルディーン。土から石を作れないか?」


「う~ん、ちょっと待ってね」


 でも確かめもしないでできないって言うのもなぁって思った僕は、とりあえずステータスを開いて一般魔法の欄を見てみたんだよね。


 そしたら。


「あっ、できるみたい!」


 なんとクリエイト魔法の項目の中に石材ってのがあったんだ。それも作るのに必要なレベルはなんと2レベルだったからびっくり。


 そりゃあ魔法をいっぱい練習した魔法使いならこの魔法を”簡単に”覚えられるはずだよね。


「おお、そうか。なら頼むぞ」


「うん!」


 僕にも石を作る魔法が使えるって聞いたお父さんは、早速かまど用の石を作ってって言ったんだ。 


 魔法自体はよく使ってるクリエイト魔法なんだからそれ程難しくないよね。


 だから僕はそう思いながら、作りかけのかまどの近くの土を使って石を作り出したんだけど、


「ルディーン、流石にこれはでかすぎるぞ。軽くできる魔道具を使ったとしても、俺やテオドルどころかお父さんでもこれを持ち上げるのは無理なんじゃないか?」


 僕がクリエイト魔法で作り出した石は、イーノックカウの周りの壁に使われてるくらい大きな物だったんだよね。


 確かにこんなに大きな石だと重さを軽くする魔法をかけても、大人が二人がかりで担ぎ棒を使わないと動かせないと思うんだよね。


「えへへっ、失敗しちゃった」


「とにかくだ。もうちょっと小さいのが欲しいんだが、作れそうか?」


「うん。やってみるね」


 お父さんに言われて、僕はもう一度石を作るのに挑戦。


 さっきは多分、石を作るクリエイト魔法を使った時にイーノックカウの壁を作る魔法だって考えてたからあんなに大きくなっちゃったんだと思うんだよね。


 だから今度はもっと小さな、ブロックくらいの大きさのものを頭に浮かべてクリエイト魔法を使ってみたんだ。


「う~ん、ちょっと小さくはなったけど、流石にこれだけ大きいと動かすのも一苦労だろうなぁ」


 ところが、できたのはさっきのよりは小さいけど、それでも1人では持ち上がらないくらいの四角い石だったんだよね。


 あっ、そっか。これを見て解った気がする。


 あの時のルルモアさんは多分使えるようになるレベルじゃなくって、この魔法を使いこなせるようになるには魔法の勉強を一杯しなきゃいけないって言いたかったんだね。


「でもさ、これくらいの大きさなら魔道具を使えば俺やテオドルでも運べるんじゃない?」


「まぁそうなんだが……でもこれを積んでかまどを作ったら、流石に大きすぎて邪魔だろ」


 そう言いながらお父さんが眺めてる僕が作った二つ目の石は、一辺が50センチくらいある表面がごつごつした正方形。


 これだと1個じゃ高さがたんないけど二個積むと今度は高くなりすぎちゃうし、何より石の幅がありすぎるからかまどを作るには向かない大きさなんだよね。


「かと言って、この石の上に川から拾ってきた丸い石を積んだら不安定そうだしなぁ」


 お父さんとお兄ちゃんたち、それに僕はそんな大きな石を見ながら、どうしたもんかなぁって考え込む事になったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 クリエイト魔法は前に出てきたとおり、加工する物質の性質が良く解っていなければうまく使えません。


 今回の場合、ルディーン君は金属や木材の性質については知っていますが、流石に前世で石の加工をした事は無かったのでうまく調節できなかったと言う訳です。


 後、ルディーン君は勘違いしてますが、この世界における魔法使いは殆ど戦いに出ないので見習い魔法使いから正式な魔法使いになり、なおかつ2レベルまで上がっている人は十分に熟練した魔法使いだったりします。


 戦士などより上がりやすいとは言え、魔法の行使だけで得られる魔力は魔物を倒した時に比べてかなり少ないので。


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[一言] 重量軽減ロープ魔道具の出番?
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