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122 僕、パーティーでどう動けばいいのかなぁ


 次の日。


 朝ごはんを食べた後、もしパーティーを組むとしたらどうしたらいいんだろうって僕は一人、部屋で考えてたんだ。


「賢者が使える魔法で、補助の代表って言ったらプロテクションみたいな強化魔法や、パラライズみたいな弱体魔法だよね」


 回復や攻撃魔法の威力はそれに特化して補正が付く神官や魔法使いの上位職には及ばないけど、その2系統の魔法に関しては賢者も負けて無いんだよね。


 だからこそ、そっちの方向で考えた方がいいと思うんだ。


「でもなぁ。お兄ちゃんたちの狩りって、なるべく怪我をしないように安全を第一に考えてるからなぁ」


 待ち伏せして狩ったジャイアントラビットにしても、不意打ちでまず一番危険な後ろ足を使えなくなるようにしたのに、その後も不用意に近づかないで牽制をしながら片方が気を引いて、その間にもう一人が攻撃してたもん。


 そんな狩りの仕方をしてるお兄ちゃんたちに、プロテクションみたいな防御力を上げる魔法をかけても仕方ないんじゃないかなぁ。


「もっとずっとレベルが上がればヘイストが使えるようになるけど、今はまだ使えないし……」


 こう考えると強化魔法はあまり意味がなさそう。


「じゃあ、パラライズやスリープなら! って、その二つは成功すればいいけど、失敗したら魔物に気付かれて不意打ちできなくなるんだよね」


 さっきも言った通り、お兄ちゃんたちは魔物に不意打ちをして自分たちに有利になるような狩りの仕方をしてるんだから、そんなのを使っても邪魔をするだけなんだよね。


「なら戦ってる最中にかける? でも下手にかけてレジストされたら、僕の方に向かってくるよね」


 お兄ちゃんたちみたいに前に出て戦ってる人たちは連携して狩りをしてるのに、その途中で魔物が僕のほうに向かってきたらかえって迷惑をかけちゃうんじゃないかなぁ? そう考えると、これもちょっとどうかって思うんだ。


「う~ん、考えれば考えるほど僕がパーティーでできることが無いんだよなぁ」


 そう思いながら、僕は賢者が10レベルまでに使える魔法を眺める。


 でも、ステータス画面に並んでるそれらは、ゲームの中で使う事を想定されてる魔法だからなのか実際の狩りで使うとなるとみんな微妙に使いづらいんだよね。


 それに実際の狩りでも使えそうな便利な魔法を覚えるのって、実はみんな高レベルになってからなんだ。


 それはそうだよね。だって、ゲームを始めたばっかりの時から便利な魔法がそろってたらおかしいもん。


 で、そのゲームであるドラゴン&マジック・オンラインの10レベルと言うのは本当にまだ始めたばかりのころで、パーティーで行動するよりも1人で弱いモンスターをバンバン狩っていったほうがレベルが上がりやすい時期だから、自分を守ったり攻撃する魔法は多いけど他の人の戦いを補助するような魔法はまだ無いんだよね。


「20レベルとかになれば前衛の武器を強くするエンチャント系の魔法も使えるようになるんだけどなぁ」


 ゲームの時みたいに魔物が無限に湧くわけじゃないし、レベルが上がるたびに適正の狩場に移動できるわけでも無いから20レベルになんてそう簡単になれるはずないんだよね。


 だから、今そんな事を言っても意味は無い。


 うん、やっぱり賢者の魔法を眺めててもダメみたいだ。そう思った僕は、図書館に行って魔法の本を……。


「ルディーン。そろそろお昼ご飯だから部屋から出てらっしゃい」


 読みに行こうと思ったんだけど、お母さんからこんな声をかけられちゃった。


 どうやら思ったより長い時間考えてたみたいだね。と言う訳で僕は部屋を出て、みんなでご飯を食べる居間に移動したんだ。



「ルディーン。司祭様がお前のポーションを使った途中経過を手紙にしたから届けて欲しいって持ってきたぞ」


 ところがそのお昼ご飯の時に、お父さんからこんな事言われちゃったんだ。


「え~、今日はお昼から図書館に行こうって思ってたのに」


「図書館? なんだ、また行くのか。この間行ったばかりじゃないか」


「ルディーンは本当に本が好きなのね。それで今日はどんな本を読みに行くつもりなの?」


 だから僕は図書館に行くつもりだったのにって言ったんだけど、そしたらお母さんからこんな事を聞かれたんだよね。


 そっか、僕がどうして図書館に行きたいのかを話せば、そっちの方が大事だって解ってくれるかも。


 そう思った僕は、今の魔法で遠くから獲物を狩るようなやり方だと一緒に行った人が強くなれないって事と、だからそうならないようにマジックミサイルを使わずに他の人の補助をしながら魔物を狩れる魔法が無いか調べに行くんだって話したんだ。


 ところがお父さんは僕の話を聞くと不思議そうな顔をして、


「なぜ魔法で狩りをしちゃいけないんだ?」


 なんて言い出したんだよね。


「だって僕が遠くから魔法で魔物を倒しちゃうと全部僕の手柄になっちゃって、一緒にパーティーを組んでる人はその魔物を倒したらもらえるはずの強くなる何かがもらえなくなっちゃうもん。それだと困るでしょ?」


 だから僕は、お父さんにもう一度何が悪いのかを教えてあげたんだ。


「えっと、強くなる為には魔物を倒すともらえる何かが必要で、魔法で狩ると一緒に居るメンバーにはそれが入らないからルディーンはマジックミサイルって魔法を使わないって事でいいか?」


「うん、そうだよ」


 そしたら今度はちゃんと解ってくれたみたいで一安心。


 ところが。


「ルディーンって、頭いいけど馬鹿だなぁ」


 横で聞いてたディック兄ちゃんがいきなりこんなことを言い出したんだよね。


「なんで? 何で僕が馬鹿なの?」


「だってさ、俺たちが森に行くのは狩りをする為なのに、簡単に魔物が狩れる方法を捨てて面倒な事をしようって言うのなら、それは馬鹿としか言いようが無いんじゃないか?」


 そんなお兄ちゃんに僕が怒りながら何でって聞いたら、こんな答えが帰って来たんだ。


 だから僕は、そうなの? って周りにいるみんなの顔を見たら、全員がディック兄ちゃんの意見に頷いてたもんだからびっくり。


 でもさ、僕はどうしてみんながディック兄ちゃんの味方をするのか解んなかったんだよね。だって、僕が倒しちゃったら、みんな強くなれないんだよ? そしたら、困っちゃうはずだもん。


 そんな、どうして家族みんなでそんな事を言うの? って顔をしてる僕を見たお父さんとお母さんは、


「ルディーンは優しいから、他の人の事を必要以上に考えちゃったのね」


「それもあるんだろうが、まだ小さいうちに冒険者ギルドなんかに連れて行ったから、狩人と冒険者がごっちゃになってしまったんだろう。これは俺たち親の責任だな」


 お互いの顔を見合わせながら、反省するような顔をしたんだ。


 そして、


「ルディーン。よく聞きなさい。冒険者ギルドに所属はしているが、俺たち家族は皆冒険者じゃなく狩人なんだ」


 お父さんは一旦食事をやめて僕の方に向き直り、真剣な顔で言い含めるようにこう言ったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。

 

 ブックマークが260を越えた上に総合ポイントも1000を超えました! 本当にありがとうございます。


 次の目標は日間ファンタジーの100位以内! まぁ流石に一日で100ポイント近くは難しいかもしれませんが、もし応援していただけるのでしたら、下にある評価を入れて頂けると本当にありがたいです。

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