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アルツハイマートラベラー  作者: ヨシビキ
9/9

上に登れば落ちる距離も高くなる

この変な世界に滞在して約1時間が経とうとしていた。


「いやー、歩き回っても何もないなぁ」


建物や公園などはいたって普通であった。そのため余計に人々の異様さが際立っていたのだ。

公園からだいぶ長く歩いたため、目端に流れる風景が都会風になってきた。


バジはどこか落ち着かないようすだった。


「急にソワソワしだしてどうしたの?」


聞いてはみたものの、反応はない。


(無視されると、それはそれで寂しいな)


この暇な時間を使って、色々考えてみる。

僕の記憶はほぼないし、どこから来たのかもわからない。

(でも一般教養?はあるんだよな〜)

人がヒーローのような格好をしているのが変だということはわかるし、時計が話すことが変だというのもわかる。

元々はちゃんと僕が生きていた世界があったのかな?


しばらく考えても、謎は深まるばかりであった。



ゆっくり雲が太陽を覆い隠していく。黒とも言い難いそれは水を落とし始めた。


「傘もっていないな、どこかで買ってこようかな」


近くにコンビニを探すため、ビルが立ち並ぶところをまっすぐ進んでいると、一つの建物に人が沢山集まっているのが見えた。


ずっと下を向いていたのが嘘みたいに、人々は建物の屋上を見上げ、叫んでいる。


「やめろー!後悔するぞー!いやぁぁ!」


様々な怒号にも聞こえる声に僕たちは近づかざるを得なかった。


走って近づいていく。


「屋上の上に両手を広げて誰か立ってる!?もしかして飛び降り!?」


左胸の脈拍が徐々に早くなっていくのがわかる。

群がっている人々の声に雨音が混ざり、僕の身体に滴り落ちた。


現場に着くと、そこには驚くべき光景が広がっていた。


「…え、なんで?」


顔は腫れていて、


服はボロボロ、


目は絶望に染まっている、




ヒーローのすがたがそこにあった。




「ピース…ライダー…!?」

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