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アルツハイマートラベラー  作者: ヨシビキ
7/9

僕は名乗らない

「だ、大丈夫??そんなに驚かすつもりはなかったんだけど…」


流石の腕時計でもこの驚きようには焦ったようだ。


「いてて…何なんだこいつは、初めて見たぞ」


「失礼な!言わずと知れた腕時計様じゃないか!」


どこが言わずと知れてるんだろう。



おじさんは着けていたゴーグルを外して僕の右腕を焼き付けるように見る。


「腕時計様、まずお前に名前が無いのが気に入らないな。私みたいにスーパーカッコいい名前がないと!!」


そう言いながら適当なポーズを決める。


そういえばこの腕時計の名前なんて気にした事なかったな。

いやそもそも腕時計に名前あるほうが珍しいと思うけど。



「名前なら…ある!!」


どこかの雑誌(忘れた)の効果音が聞こえてきそうな勢いの声だった。


「俺はバジだ!バジルじゃないぞ?カタカナ2文字でバジ!これからはコーマもそう呼んでくれ」


「おー!良い名前じゃないか!ってかお前はコーマっていうんだな、二人ともよろしくたのむ!」


(この腕時計、バジっていうんだ)



僕たちは互いにお辞儀し合った。


「それでおじさんの名前はなんていうんだい?」



おじさんはニヤリと笑ったと思ったら、ダイナミックに躍動ながら自己紹介し始めたのだった。



「私は決しておじさんなんかではない!」


くるりと一回転。


「この世界を救う!」


握り拳を高く上げ、


「正義の30過ぎ!」


いや、やっぱおじさんじゃないか。



「ピースライダー!!!!」



ピースライダーと名乗るやっぱりおじさんは、ピースのポーズを恥ずかしげもなく、満面の笑みで僕たちの前に魅せつけた。





凍てつく空気に乾いた風が吹く。


(とんでもない人に出会ってしまったかもしれない)

何度もそう思うのだった。





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