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アルツハイマートラベラー  作者: ヨシビキ
4/9

今は覚えていなくても

コーマが目にした景色はごく普通の商店街だった。

八百屋、文房具屋、どこか風情のある駄菓子屋、どれにもこれといった特徴はない。


しかし、そこを彷徨っている人間は違った。


言うなれば、自我は無くただ脳からの指令に従っている肉塊のよう。下を向いて一言も発さず歩いていたのだ。


「何なんだ、この人たちは…?」


腕時計に聞きそびれた質問のことなんて、もはや僕の頭にはなかった。目の前に広がる光景に不安と衝撃を受けている。


「ネガティブの世界の住人は、その名の通りみんなネガティブなんだ!」


「なんだよそれ…そもそもこんなところにお母さんなんているわけないじゃないか!僕のお母さんはもっと明るくて…ってあれ?」


(何で僕のお母さんが明るいって思ったんだろう?)


「…何も覚えていなかったのに」


「早速記憶が少し戻ったんだね!これもこの世界に来たおかげかな〜?」


煽るような口ぶり。






「…ったよ」



「え?」


この腕時計はまだ信用できないけど、旅をしていたら記憶が本当に戻るかもしれない。


「わかったよ」

「腕時計の言うことに、今は従っておく」


腕時計の声色がさらに高くなった。


「ほんとうに!ほんとうに!ほんとうに!?君なら分かってくれるとおもってたよー!やっぱり君は…うんぬんかんぬん…」


とりあえずはこの世界を旅しよう。


怖いけど。


不安だけど。


不本意だけど。












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