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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第7章 金と銀と魔人族
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77 絡み始める世界


 妖精の森から数人妖精族を連れて、サイレントベアーに会いにいったキンタローとクマゴロー。

 集まった5世帯14頭のサイレントベアーと共に、キタ村へと向かった。


 クマゴローに慣れているとはいえ、キタ村の人々は、突然のサイレントベアーの集団に驚く。

 キンタローは、トーレスと合流した後、村の主だった者を集めて、今後サイレントベアーと妖精族と協力するように話をした。


 サイレントベアー達には3世帯がキタ村周辺に、ナギ村、ドワンゴ村に各1世帯を配置すると、一旦自宅に戻り、フラム達の様子を見たあとトーレスと2人で長老との話を相談する。


「エルフの遺体の有無……ですか? なるほど、盲点でしたね」

「トーレス、今この村は少なくとも1000人以上いる。もし、あっという間に村人を蹂躙するにはどの位が考えられる?」


 トーレスは、目を瞑り考えを巡らす。


「倍、いえ3倍は必要ですね。ですが、完全に奇襲の場合はもう少し少なく見てもいいかもしれません」


 トーレスの答えを聞いて、キンタローは完全な奇襲について考える。本来奇襲をするなら夜だ。特に月の灯りの無い夜。夢ではいつ奇襲されたかわからない。

 だけど、キンタローは1つの可能性を考える。


 それは、あまりにも非科学的な発想。しかし、非科学的な存在ならいる。それは、この地に転生してきたキンタロー自身。それに自分を転生させた者達。


 ワープ。転移。本来この地には無い方法。しかし、キンタローがこの地にいる以上完全に否定は出来なかった。


 だがこれは、あくまでも可能性の1つ。故に頭の片隅に置いとくこととした。


「キンタローさん?」


 トーレスの呼ばれ、考え事をしていたキンタローはようやく顔を向ける。


「どうかしましたか?」

「いや、何でもないよ」

「話の続きになりますが、サイレントベアーを仲間に引き入れたのは正解かもしれません。奇襲を防ぐためにも」


 もし、可能性の1つで奇襲されれば、意味はない。キンタローは首を振り、余計なことを考えるのを止めた。


「トーレス、引き続き投石機と門の強化を頼む。オレはミカンを迎えに行くよ」


 部屋を出て、クマゴローと合流すると玄関にはフラム達が見送りに集まる。


「フラム、オレが帰ってくるまで産むなよ」

「はは……そんな事はこの子に言ってよ」


 フラムは、優しく大きくなった自分のお腹をさする。


「アン、ニナ、それにアマンダ。フラムとお腹の子の事、よろしく頼む」

「安心して行ってきてください。このアマンダがちゃんとお嬢様の事は見ておきますから」


 アマンダの返事を聞きキンタローは安堵して、ミカンのいる妖精の森へ戻っていった。


 道すがらキンタローはクマゴローに聞く。


『クマゴロー、たいへんだけどオレは今幸せというとを感じている。子供も産まれるしな』

『キンタローが幸せなら、オレは嬉しいよ』

『オレの幸せの中にはクマゴローが(つがい)になるのも入っているのだけど』

『バ……バカヤロー! オレの話はコレが決着ついたらだろうが』

『そうだな……クマゴローに今身籠ってもらったら困るし』

『あ……あひぃ!!』


 クマゴローは、今までない位に変な声を出して動揺するのであった。




◇◇◇

 妖精の森の入口の着き中へと入ると、長老のいる辺りから、まばゆい光が目に飛び込んできた。


 キンタロー達は、急いで駆けつける。光の元はやはり、ミカンと長老であったが、長老は頬が痩け綺麗な銀髪は、輝きを失い白くなっている。


「こ、これは……?」


 長老がキンタローに気づく。


「もうすぐだ、キンタロー」


 ミカンは、気を失っているのか横になり、まばゆい光に包まれている。

 その光に長老が手を当てていた。


「長老……どうしたんだ、その髪?」

「ふふふ……ワタシの残っている魔力を込めたのさ。ワタシの知識や記憶を引き継いでもらうためにね」


 しばらくすると、急激に光が収縮したと思うと飛び散り、ミカンから離れた位置で再び集まってくる。


「くっ……思ったより小さいの!」


 光は徐々に人形(ひとがた)になっていくが、長老の言う通り小学生の低学年程度しかなかった。


 そして、光が消えていきその姿を現す。長老は、想像していたより小さい事を嘆き、クマゴローは唖然と見つめている。

 キンタローは…………信じられないものを見て、体の震えが止まらなかった。


 光から現れたのは少女。妖精特有の羽を持っているが髪は金色をしている。

 両サイドで髪を留めて、いわばツインテールになっていた。瞳の色は金色だが、表情は人形のように固く動かない。

 キンタローの心臓がドクンと大きく鼓動する。緊張からか冷や汗が止まらない。しかし、体の震えを乗り越え一言発する。




「お前……アリエルか?」


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