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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第6章 白い竜と黒き竜と村長
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62 新村長誕生!


菅井きんかよってお話。


「え!? オンドリーが遺体で見つかった!?」


 エルフの不穏な動きを察知してから5日が経ち、行方不明だったオンドリーの報告が、ゴルザから家でご飯を食べていたキンタロー達へと入った。


「ああ、まず間違いないと思う……」

「おっちゃん、随分歯切れ悪いな。何かあったの?」

「うーん、オンドリーと特定するのが難しいんだ。まぁ、見てくれるのが一番早いが遺体は大丈夫か?」

「大丈夫な訳ないだろう。けど、見るしかないか」


『オレも行く。直接会った事はないが、キンタローを売った奴隷商のヤツだろ? 店の近くまでは、キンタローを探す時に行ったから匂いを覚えてるかもしれないしな』

『わかった、クマゴロー頼む』


 フラムとアンリエッタとニナはミカンと共に家に残し、キンタロー達の話の内容をミカンから聞いたクマゴローと、遺体を見に行く事にした。


 ゴルザの後を追い、大通りから少し外れた人目のつきにくい空き家の中に入ると、床にはオンドリーの遺体と腕を組み壁にもたれているノイルがいた。


「親父さんがどうして?」

「急いで、婿どのに遺体を見せるからと運ばされたのだ」

「それは、悪かったな。あと、婿どのは止めろ」


 キンタローは、遺体にかけられた布を外し、そのあまりにも無惨な姿となったオンドリーらしいものを見ると、固まって動かなくなる。心配したクマゴローも、何事かと遺体を見ると、目を大きく見開いた。


 オンドリーと思われるその肉塊に、キンタロー達は昔のある場面を思い出す。それは、2人から大切な人達が奪われたあの日。姿が似ている訳ではない。しかし、2人の脳裏にはその姿が重なる。


「エルフ……」


 キンタローが思わず呟くが、それ以上は何も言わずに布を被せる。

 ゴルザは、光を失い暗く深い闇のような瞳になっているキンタローを見て慌てて肩を揺らすと、キンタローはハッと気付き思わずゴルザの手を払ってしまった。


「あ、あ……ごめん、おっちゃん……」

「いや、気にするな。しかし、クマゴローの様子も見てやってくれ」

『クマゴロー?』


 キンタローの呼び掛けにも反応せず、ただただ身体を震わすクマゴロー。その目は、あの日と同じ自分を見失った目。


『クマゴローぉぉ!!』


 キンタローの怒鳴り声に、ようやく気づいたクマゴローは、それでもキンタローの方を見ない。


『あのエルフの匂いがする……』


 ポツリと一言呟くクマゴローに、一言『そうか……』と声をかけクマゴローの身体に手を添えた。




◇◇◇

「そうか、2人の様子がおかしかったのは、オンドリーと父親の亡くなり方が近かったからか」

「それに、クマゴローが言うには同じエルフの仕業らしい」


 ゴルザは、キンタローから父熊の亡くなった時の詳細を聞き、なるほどと納得すると同時に身体がブルッと震える。もし、娘のアンリエッタが同じ目にあったら……そう考えるだけで、胸が苦しくなった。


「婿どの、ちょっといいか? エルフが魔法を使ったとの話だが、本当か?」

「本当だ。無数の光の刃を飛ばして、それが相手の周りを囲んで竜巻状になる。そして、オンドリーみたいになる。あと、婿どの言うな」


 フムと顎に手を当てながらノイルは、少しの間キンタローが言う魔法について考えている。そして、意を決したようで、魔法について語り出す。


「婿どのなら構わんか。婿どの、一般的に魔法と呼ばれるものは魔人族が付けた名前だ。魔人族は、触媒の角に魔力を集め、それを放つ。それが魔法だ」

「あぁ、それは妖精族の長老に聞いた。あと、婿どの言うな」


「妖精族も魔法を使う。羽が触媒になっていて、そこに魔力を集めそして放つ。妖精族があの薄い羽で飛べるのは、そのせいだ。あ、婿どの」

「それは、知らなかったな。あと、取って付けた様に婿どの言うな」


「あと、魔法を使う種族は、ワシら竜人族だ。婿どのも見ただろうが、口から放つ火の玉。あれも魔法だ。そして、婿どのが話したエルフの魔法。あれは、ワシらの魔法に似ている……が……」


 ここまで来て、ノイルは口ごもる。しかし、すぐに頭を振って、再び魔法について語り出した。


「ワシらは、2つの触媒によって魔法を使う。1つは魔人族と同じ角。そして、もう1つは貯めた魔力を体内に通す竜鱗だ。

 ニナに乗ったキンタローならわかるだろうが、ワシらの身体は鱗で覆われておる。

 その鱗には、竜紋と呼ばれるものが刻まれていてな。竜紋を経由すると、ワシらみたいな魔法が使える」

「しかし、エルフには両方ない……か。あと、婿どのどこ行った?」


 今度はキンタローが魔法とエルフについて考える。考えられるのは、触媒を使えば魔法を使えるのではないのかという結論。しかし、一体どこから? そんなキンタローの疑問にノイルが答えた。


「考えたくないが、ワシの妻つまりニナの母親が手を貸したのかもしれん」

「本当か!? 親父さん! というか、奥さんいたのか?」

「おるわい!! ま……その……今は家出を……」


 聞くとニナが拐われる1年前に、家出したらしい。原因は、ニナの育児とノイルの父親の介護疲れで、突然出ていったらしい。

 まるで、前生の日本の闇みたいな理由だった。




◇◇◇

 それから、3ヶ月が過ぎようとしていた。


 結局、エルフに特に動きもなく、オンドリーが死んだ事によって手掛かりも失う。けれども、時は進みようやく立派な門が完成をする。そして、門の完成を祝い村の中心の広場で村中の人が集まり、宴会をする事になった。


「さぁ、村長さん。乾杯の音頭をお願いします」


 ジャンに促され、アレキサンダー村長が用意された台に立つ。


「それでは、皆、飲み物は持ったかのぉ?」

「「「持った~~!!!」」」


 村の人々が、飲み物を一斉に上に掲げる。村長は、一つ咳払いをして、いよいよ……


「重大発表~~~~~~~~~!!!!!じゃ」

「「「「は?」」」」


 突然の言葉に皆唖然となる。キンタロー達も呆然となった。


「儂、村長引退する」

「「「「は?」」」」


 皆も、キンタローも目を丸くする。


「次の村長は、キンタローじゃ!!!」

「は?」

「「「「さんせ~~~~!」」」」

「は? やだよ」


 キンタローは、速攻で断る。


「「「ブーブー、ブーブー」」」


 村の人々からブーイングがあがり、キンタローは思わず剣を抜く。


「よし、今ブーブー言ったヤツ前出ろ!」


 キンタローを中心に円が出来る様に人々が離れる中、1人の女性が前に出る。


「お前は、常にブーブー言ってるだろが!!」





 前に出たのは、もちろんプギーだった。 

いつもお読みくださりありがとうございます


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