表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第6章 白い竜と黒き竜と村長
68/121

58 洒落にならない親子喧嘩開始

第6章開始


空眼の白竜って、お話。


「………………はあああぁぁぁぁ!!!?」


 アンリエッタから話を聞いて、キンタローも流石に驚かずにはいられなかった。


「あの黒い竜がニナの父親……」


 キンタローは一瞬呆けたがすぐに頭を切り替え、唯一伝令役として残っていた衛兵に、緊急だと、ジャンを呼んできて貰う。

 伝令を受け、馬で駆けつけたジャンに黒い竜とニナの関係を話した。


「もしかして、ニナさんもあの黒い竜も竜人族なのかもしれません」

「竜人族? 少数種族か?」

「それ以上ですね。少なくとも見たと言う方は、聞いた事ありません。文献に出るくらいです。もしかすると妖精族の長老が知っているかも知れませんが」


 ジャンに言われて、長老長老詐欺の妖精を頭に浮かべるキンタローだったが、すぐに打ち消す。


「ニナ、父親の所へ帰るか?」

「キン……いっしょ?」

「一緒には、無理だな。帰るのはニナだけだ」

「や……キン……いっしょ……かえらない」


 ニナは、キンタローに抱きついてくる。


「ニナ、ニナもあんな風になれるのか?」


 抱きつきながらも小さく頷くニナに、優しく頭を撫でてやる。


「よし! じゃあ、父親に一緒に頼みに行くか」

「キンタローさん、ニナさんの父親は恐らく……」

「わかってるよ。ニナを取り戻すだけなら、ニナみたいに人型で村に来た方が簡単だ。それをわざわざ竜の姿で来るということは、怒ってるって事だろ?」


 ジャンは心配するが、キンタローもわかっているみたいだったので、それ以上何も言わなかった。


「ジャンは、アンを連れてクマゴローとゴルザに合流してくれ。アンは、そのままゴルザと避難の指示を。クマゴローには、なるべくオレを視界に捉える位置に居てくれと伝言を頼む」

「わかりました。アンリエッタさん、行きましょう」

「キンタロー、気をつけてね」

「ああ、それじゃニナ頼む」


 ニナは頷くと、大通りに行き、目を瞑る。頭の2本の角が輝き出すと、足元に魔方陣のようなものが浮かび出す。

 魔方陣から、竜のシルエットが現れるとニナと重なりニナが消えていく。代わりに、シルエットが実体化して、その姿を現した。


「ブルー◯イズホワイト……」


 キンタローは、前生で見たことのあるカードゲームを思い出す。

 その姿は、屈強な脚に、その巨体を飛ばせる為の大きな翼、角も伸びている。身体と(たてがみ)は、ニナの髪と同じく何よりも白く、瞳は薄い空色をしていた。


「それじゃ、行くか。ニナ、乗っても大丈夫だよな?」


 白い竜になったニナは、コクリと頷き巨体を伏せると、キンタローは、その背に飛び乗った。




◇◇◇

 丘に避難していた村人達は、突然村の真ん中に現れた白い竜に驚き、動揺する。

 しかし、見張りをしていたタカさんとクロウから、白い竜の近くにキンタローがいるのを確認したのを聞いたアレキサンダー村長が、村人の説得をした。


 ゴルザとクマゴローと合流したジャン達は、キンタローの伝言を伝えると、クマゴローとミカンはキンタローの元へゴルザはアンリエッタと共にフラム達と合流しにいく。


 フラム達も、まさか避難する方向の大通りに、白い竜が現れたのに、驚いた。




◇◇◇

「よし、行こうニナ」

「ん……」


 キンタローを背に乗せたニナは、大通りを滑走路代わりと走りだし、両翼を始めはゆっくりと、そしてその羽ばたきを強めていき、飛び立った。


 そのスピードは、想像以上でキンタローはニナの(たてがみ)にしがみつく。


「に、ニナぁ! 髪引っ張ってるけど、痛くないかぁ?」

「平気……」


 黒い竜を見ると、向こうもこちらに気付いたのか、スピードを上げて迫ってくる。


「来るぞぉ! ニナぁって、何しようとしてるのかな、ニナさん!?」


 ニナが口を大きく開けると、周りの空気が熱くなってくる。そして、体内を通り大きな火の玉が放たれる。


 ドン!!


 火の玉を放った反動でニナの身体が後方へずれる。キンタローは、空中に放り投げられそうになり、必死に鬣にしがみつく。


「に、ニナさぁん!? いきなり何やってくれって、うわあ!! 向こうも撃って来たぁ!?」


 黒い竜も火の玉を放ってくる。咄嗟にニナは、先ほどと同じように火の玉を放ち相殺する。


「ニナ、少し横にズレよう。このままだと村に当たる!」


 続く黒い竜の第2波を避けるため、放たれる前に横にズレたニナに、第2波が襲いかかる。しかし、高度を落として、ギリギリ避ける。


「あち! あち! あち! スレスレでも、熱いな! ニナ、火の玉は撃つな。森が燃えてる」

「わかった……」


 ニナが再び口を開けると、まるで周りの光がニナの口に吸い込まれるように見えた。




 キュイン! ズドーーーーーーーン!!!!




 ニナの口から光の線が走ると、当たった森と山の一部を削りとる。


「ダメー! それ、もっとダメー! 洒落にならねー!!」

「むぅ……キン……わがまま」

「え? オレが悪いの?」


 キンタローは、削られた森と山の責任を(なす)りつけられた。

 

いつもありがとうございます。


続きが気になる時は、ブックマーク。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ