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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第5章 栗鼠と赤い髪と黒き竜
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48 恋愛フラグ? 死亡フラグ? どっちがいいですか?


恋愛フラグと死亡フラグは、一緒にたつ。ってお話。


「と、取り敢えずオンドリーさん。キンタローさんとニナさんの首輪外して頂たいのですが?」

「わかったよ。この子供どもの首輪と今後奴隷を扱わない事で今回は見逃してもらえるんだね?」


 黙認とはいえ、何の罪もないキンタローや、魔人族のニナを奴隷とした事で、オンドリーは捕まったのだが、取引をしていたみたいだった。


 ガチャン


 キンタローとニナは首輪を外され、キンタローは首を二、三度ひねり解放感を確かめる。


「あー、スッキリした~」

「キンタロー、キンタロー、ニナが変なの~」


 ミカンに言われニナを見ると、地面に座り込み外れた首輪をまた着けようとしている。


「ニナ? どうした? もう着ける必要ないんだぞ?」

「キン……キラキラ……取れた」


 ニナが寂しそうにキンタローを見上げる。


「もしかしたら、ニナさんはネックレスかなにかと思ってたんではないですか?」


 キンタローは、ニナが奴隷当初から悲壮感は全くなく、むしろ楽しんでいるようにも見えていた。

 もし、首輪をネックレスだと思いこんでいて、それが嬉しかったのだとしたらと思うと、ちょっとは合点がいく。


「うーん、わかった。今度もっとキラキラしたやつ買ってやるから我慢しろ」


 その言葉を聞き、ニナの目が輝きだす。

 その言葉を聞き、ジャンの糸目が光る。


「毎度ありがとうございます、キンタローさん」

「は?」

「いえいえ、ネックレスをお求めなら、是非ジャン=クラウド商会へ。あ、でもニナさんだけでいいのですか? フラムさんやアンリエッタさんも欲しがりませんかね?」

「ミカンも欲しいの~」


 ミカンが手を挙げると、クマゴローまで続けて手を挙げた。


『おい! クマゴローお前まで!』

「毎度ありがとうございまーす。ミカンさんやクマゴローさんだと、特注になりますね。大丈夫ですよー、特注も受けております。クマゴローさんの場合、ネックレスよりブローチみたいなのが良いかも知れませんね。構いませんか?」


 ミカンから説明を受け、よくわかってはいないがクマゴローは頷く。すっかり置いてきぼりを食らったキンタローは、取り敢えず値段を聞いてみることにする。


「お、お高いんでしょう?」

「そうですね、今回はキンタローさんが取引先なので、2割引いて、小金貨8枚で」


 2割引がなければ金貨1枚である。


「本当に高いな!! ビックリだわ!!」


 その後、実は小金貨1枚だと聞かされたキンタローは、完全にジャンに遊ばれていた。




◇◇◇

「あ、そういえば、オレの金貨!」


 キンタローは、フラムの父親のリベルから貰ったお金を思い出した。


「さっきも聞かれたがね、あんた無一文だったよ。大方あんたを連れてきたエルフが持って──! な、何でもないさね!」

「なに!!!?」


 オンドリーの話に、キンタローの目付きが鋭くなる。その気配に反応したクマゴローも殺気を放つ。辺りに緊張が走り、オンドリーはエルフと取引をした事を明かした。


 オンドリーに、エルフの行方や面識などあったのか問い質したが、それ以上は何もわからなかった。


(オレが捕まった時感じた電気のような痺れ……やはり、魔法なのか?)


 無事だった事に安堵する自分と、両親の仇でもあるエルフに生かされた自分、そしてエルフに何も出来ず不甲斐ない自分に複雑な感情が渦巻いていた。




◇◇◇

「キンタロー、ナギ村にエルフの調査を出したいのだが、いいか?」


 ゴルザが何故そんなことをキンタローに聞くのか、わからなかった。


「え? 何で、オレ?」

「俺は村の中、お前は村の外の事に警備する担当だろ。ピッグは柵や門を作るくらいしかしなかったが」

「わかった……調査を頼む。あ、それと……」


 キンタローは、以前フラム達がエルフに襲われた事を話した。


「だから、キタ村の人達だけでなく、ナギ村の人達にも道中、警戒するように伝えてくれ」


 ゴルザは、衛兵に指示を出しにこの場を離れた。


 ゴルザが離れたのを確認したかのように、ジャンがキンタローに近づく。


「キンタローさん、ちょっといいですか?」

「ジャン、ネックレスの話なら後で聞くよ」

「違いますよ。実はプギー親子の事です」


 完全に忘れていた。

 ピッグの娘プギーとその母親は、今は、村預かりの状態だ。


「このまま、放り出すとピッグに恨みのある者が2人に何かを仕出かすかもしれません」


(何か嫌な予感しかしないんですけど)

「……続けて」

「はい。それで、キンタローさんの所で女中をさせながら賠償に足りない分を少しでも補うようにするのが、一番かと」

「はい! 嫌な予感、的中!!」


 キンタローは、頭を押さえ天を仰ぎ見る。


「なんで、オレなの? 絶対2人に恨まれてるよね!?」

「そうですね。ですが、キンタローさんなら寝込みを襲われても大丈夫かと。クマゴローさんもそばにいますし」


「ちょっと待って! なんで、寝込み襲われる前提なの!? 恋愛フラグ!? 死亡フラグ!? どっちもイヤだあぁーーーーーっ!!!!」


 再び頭を押さえ天を仰ぎ見るキンタローが叫ぶ。


「では、放り出しますか?」

「ぐっ…………」


 キンタローは、しゃがみこみ頭を抱えて悩むと小さな声で「わかった……」と呟いた。

いつも読んでくださり、ありがとうございます


新たに素敵なレビューをいただきました。


ブックマークも100になりこれからも頑張ります。


あ、別にもう要らない訳では無いですよ?



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