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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第4章 ぶたとブタと少女
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42 ニナはクマが好きになりました。

ミカンを蜜柑のように投げるってお話。


 決闘裁判が終わり、観衆は帰って行く。


「はぁ……まさかこんな結末になるとはのぉ……前代未聞じゃ」


 アレキサンダー村長が、ガックリと肩をおとす。


「しかし、これで良かったのかも知れません。少なくとも、キンタローさんは今の奴隷の現状を変えてくれたのかも」

「ジャン殿、お主はずっと奴隷に反対しとったしのぉ」

「全てとは、言ってませんよ。少なくとも犯罪を犯した者への罰や、あまり感心はしませんが借金に対する身売りなどはともかく、今回のような無理矢理奴隷にというのは頂けません」


 ジャンは、飄々としながらもアレキサンダーに奴隷の今後について話し合っていた。

 そこに、ゴルザがプギーとプギーの母親をしばらく拘束という形で衛兵に引き渡し、アレキサンダー達のところへやってくる。


「ふ~、久々に疲れましたな、村長。とりあえず、坊主や魔人族の嬢ちゃんの首輪を外さなけらばならんですからな。今、衛兵をナギ村にやってオンドリー商会を連れて来させてますが、ま、明後日以降になるでしょうが」

「私の友人の為にすいません。あんな、()()()()までしてくださって」

「流石に金貨200、いや50でも驚いたが、それもあの嬢ちゃんを手放さなければならない状況を作る為だろ? しっかし、あの坊主ナニモンなんだ。サイレントベアーも懐いているみたいだし」


 ゴルザが頭を掻きながら、キンタロー達を見ると裁判中の緊張感が嘘のように和んでいる。ジャンは、そんなゴルザとお疲れ気味のアレキサンダーに、キンタローに関して知っている事を話した。


「なんと、妖精族の庇護をか!? だとすると儂らは、危うく妖精族と敵対する事になってたのか!?」

「敵対、と迄は申しませんが少なくとも今後私達に関わろうとは、しないでしょたいね」

「しかも、ラウザ工房の親方と婚約だと!? 下手すればドワーフとも事を構える羽目になってたぞ! はっ!もしかして剣のつ──いたぁーっ」


 ゴルザは突然、ミカンを投げつけられる。


「聞こえてるぞ」

「はっはっは! 耳いいな坊主!」

「おっちゃんの声がでかいんだよ!!」


 ゴルザが豪快に笑っていだす、その横でジャンがミカンに話しかける。


「だ、大丈夫ですか?」

「ぐすっ……最近、扱いがひどいの~」


ミカンは、よろよろと起き上がり、それでもキンタローの方へ飛んでいった。




◇◇◇

「くま…………」

「ああ、クマゴローって言うんだ」

「くま……かわいい……好き」


 ニナは、すっかりクマゴローに懐いている。今はクマゴローの頭に顔を乗せ、肩車をしてもらっていた。


「あ~! そこはミカンの場所なの~」

「違う……ニナの……」


 ゴルザに投げつけられたミカンが戻って来て、早々ニナに絡みだす。自分の頭の上で、ギャーギャー騒ぐミカンを掴まえると、キンタローの頭の上に乗せた。


『そこが、あるだろうが。特等席だろ?』


 ミカンは、ニヘラと頬が緩み頭にしがみつく。その顔が

を見たニナが、クマゴローから這い降りると、キンタローの服を引っ張る。


「キン……ニナも……」

「いや、流石に頭の上は無理だから」


 ニナが、キンタローを見上げお願いするも無理だと言われ頬をプクッと膨らますと、クマゴローがニナを抱え、肩車してやった。


『ここで、我慢しろ』

「むぅ……わかった……がまん」


 まだ、むくれてはいたが、再びニナは頭の上に顔を乗せた。


(あれ? 今、ニナのやつ、クマゴローと会話出来てなかったか?)


 そんな考えが、頭に過るがすぐに忘れてしまう。


ぐうう~~っ


 この場にいた全員のお腹が鳴った事で。




◇◇◇

「おーい、坊主!」

「何、おっちゃん?」

「おっ……俺はゴルザだ」

「知ってるけど?」


 キンタローを呼び寄せたゴルザは、その不遜な態度に苦笑いするが、すぐに元の表情に戻り背中をバンバン叩いて笑う。


「はっはっは、まぁいい。それより、泊まる所あるのか?」

「は? 奴隷として連れて来られてあるわけ無いだろ?」

「なら、俺の家に来ないか? 俺の家は宿屋なんだ。腹も減ってるだろ? 隣に食堂も併設してるから、そこで食べればいい」


 ありがたい話だが、キンタローは疑いにかかる。


「本音は?」

「今、坊主のそして嬢ちゃんの首輪を外す為に、オンドリーを呼びに行かせているが、それはまだ後だ。それにな、オーガ家の財産整理もあるから、それまで嬢ちゃんは村預かりという形を取ることになる」

「なるほど、見張りってわけね……って、オレ、金がない!」


 キンタローは、自分の荷物の中にお金が無い事に今気づいた。


「もしかしたら、オンドリーか、オレを拐ったやつが持っていったのかも?」

「わかった、その辺も調べといてやる。金は、ずっとっていう訳にはいかないが、財産整理が終わる位まで宿泊も食事もタダでいい」


「「『お世話になりまーす』」」


 キンタローとクマゴローとミカンが直立し、頭を丁寧にさげた。




◇◇◇

「聞いたよ。ジャンにも世話をかけたみたいだな。ありがとう」

「いえいえ、此方も儲けさせてもらいますから問題ないですよ」

「へ? 儲け? 何で?」

「闘技場の入口と村の入口の門の修理を、私の商会が引き受けたのですよ。それをキンタローさんに請求させて──はて? 何かを忘れているような? まぁ些細な事でしょう」


 何かを思いだそうとしているジャン他所に、キンタローは、首だけをクマゴローに向ける。


『クマゴロー。門って、何のことかなぁー? 聞いてないけどー』

『あ、いや、その……』

「ああ、キンタローさん。大丈夫ですよ。全ては財産整理が終わってからの話です」


 キンタローは、顔に青筋を立ててクマゴローに質問するが、それにジャンが気付き仲裁に入った。


「あ、思い出しました」


 ジャンは、そう言いながら手を一つ叩いた。




「ジャン様~~! オラを早く迎えに来てくださ~い!」


 衛兵に囲まれた中心でリリが叫んだ。


いつも読んで下さりありがとうございます。


第4章の本編はこれで終わりになります。


次、オマケを入れて第5章 栗鼠と赤い髪と黒き竜 に突入です。


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