35 ブタブタこぶたお前に決めた。ブゥ
※この回には、ブタブタと書いてありますが、決して悪口ではありません。
「やかましいぞ、店主!」
どうやら、ニワトリの獣人は店主らしい。
客がいたのか、ニワトリの店主は怒鳴られた。
「どうだ、珍しい奴隷は入ったのか?」
「オーガの旦那、やかましくて申し訳ありません。何せ活きの良すぎて、やかましくて……」
(オーガ!? オーガって、あのオーガか? 日本でいう鬼みたいな……)
キンタローは、もし想像したような相手に買われでもしたら、逃げずらくなる。
今は、剣もない。
ギシギシと、床が軋む音で相手の重さが伺い知れる。
そして、それはキンタローの前で、仁王立ちになる。
キンタローは、恐る恐る相手を見上げる。
気に入られたら、買われてしまう。
相手をすぐ見極めて、嫌われる態度を取るしかないと慎重に慎重に確認した。
背丈は、かなり大きそうだ。
体つきもがっしりとして、筋肉質に見える。
顔の色は薄いピンク色をしている。
牙は、無いみたいだ。
かなり、特徴的な鼻をしている。
髭が二本。貴族みたいに先がクルリと巻いてある。
眼光もなかなか鋭い。
角……は無い。
キンタローは、思わず叫んでしまった。
「ブタじゃねぇーーーーかぁーーーー!!」
「誰が! ブタだ!! ワシは、キタ村の大富豪ピッグ=オーガだ! ブヒ」
「オーガって、名前かよ! 紛らわしわ! というか、ピッグって言ったよね? ブタだよね? ブヒって鳴いたし確定だよね? 大体、その髭何? 何で鼻より上に生えてんの? 付け髭? 何? そんなんで偉い雰囲気だすつもり? 無理だよ、諦めなよ。だってブタだしさ」
ピッグは、キンタローの猛攻に苦虫を噛み潰したような顔をする。
隣では、魔人族の少女が床をバンバン叩き腹を抱えて笑っていた。
「パパ、そんなに騒いでどうしたの?」
「おお、やっときたか。ブヒ」
そこに、ピッグを父と呼ぶ1人の少女が現れる。
赤いハイヒールを履き、フリフリのピンクのドレス。
目はクリッとしていて、頭には白いリボンを着けたブタの顔。
「ブヒ。いや、この奴隷がオーガ家の主であるワシをブタ扱いしよったのだ、プギーよ」
「まぁ!? 本当なの? ブヒ」
プギーと呼ばれた少女は、キンタローを見下げる。
「パパ、この奴隷震えてるわ。後悔してるみたいね。ブヒ」
キンタローは、必死だった────笑いを堪えるのに。
「ふ、ふふ……あはははは! やっぱりムリムリムリ!」
とうとう、堪えきれず笑いだしてしまう。
「目以外、同じ顔じゃねえか。区別つかねー! ははは! 血液検査しなくてもDNA検査しなくても、間違いないなく親子だわ。くくく……そ、それにリボンとスカートなかったら性別もわからないし! というか、そのリボン。髪の毛無いのにどうやって付いてんの? 直貼り? 接着剤で直貼り?」
キンタローに言われ放題で、プギーの肩は震えだし涙目になっている。
(あ、やり過ぎたか?)
キンタローが少し反省すると、突然プギーは背中から皮のムチを取り出し、木の牢に打ちつけて威嚇する。
「パパ! こいつに決めたわ! こいつ、買って!! 私が直々に調教してあげる。ブヒ」
プギーは、皮のムチを舌で舐め再びキンタローを見下げる。
「ははは! 調教って、そのムチでぶって『この、豚野郎!』とか言うの? ブタの獣人に言われたくねー!」
「こ……の! 言わせておけば! おい、店主! この生意気なヤツとそこのさっきから笑い転げてる魔人族の娘、頂くぞ。その娘は、ワシが直々に可愛がってやる。ブヒ」
ピッグは、魔人族の娘を見て、ジュルリと口元を手で拭う。
キンタローは、隣で過呼吸になりかけてる娘を巻き込んでしまったと、大いに反省する。
魔人族の娘は、過呼吸気味になりながらも、笑っていた。
キンタロー達の購入の手続きが終わったのか、牢から出され、首輪に縄を付けられる。
どうやら今いる場所は、店の地下らしく階段を昇り裏口から出ると目の前に木の牢の付いた馬車が停まっていた。
「ほら! さっさと乗って。ブヒ」
「イテェッ!」
キンタローは、皮のムチでプギーに叩かれる。
もちろん、ダメージは無いが痛みはある。しかも、ムチは相手に傷を負わせるというより、痛みを与えるのに有効だ。
ある意味キンタローには、有効な武器だった。
キンタローが、馬車の牢に入ろうとすると、後ろにいた少女が急にしゃがんだ。
どうやら、蟻を見ているみたいだった。
「何してるの!さっさと乗りなさい。ブヒ」
プギーのムチが少女に向かって伸びる。
キンタローは咄嗟に、少女とムチの間に体を入れる。
「ッツ!!」
「なっ何を!」
キンタローは、少女の代わりにムチに打たれプギーをキッと睨んだ。
「こんな小さい子どもを叩くな!」
今までとは違い、真剣な表情のキンタローに、プギーは少し頬を染めて目を反らす。
「だ、だったらあなたが乗せれば!ブヒ」
そう言って、馬車の先頭へ移動していく。
「ほら、行くよ」
キンタローは、少女の肩を掴んで優しく立たせて馬車の牢に入った。
牢が閉められ、プギーが馬の手綱を握りゆっくり馬車が動き出す。
ニワトリの店主が手揉みしながらピッグに定例の挨拶をする。
「また、オンドリー商会をよろしくお願いします」
馬車がスピードを上げていく中、キンタローは叫んだ。
「やっぱり、オンドリで合ってるじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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※サブタイトルを少し変更しました。




