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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第3章 赤い髪と巨人とひょろ親父
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閑話3 その後のフラムとハンスの死

キンタローがドワンゴ村から旅立った翌日の話です。


サフィエル達は、ちょっとおやすみ。


※プロローグを大幅改訂しました。内容は、ほぼ変わりませんが一人称視点になっているのと、キンタロー(八雲)の蹴られた回数が二回減りました。


「はあぁぁ~~ぁ」


 フラムが一つ大きなため息をつくと、テーブルにおでこをぶつけて顔を伏せる。

 キンタロー達が旅立った昨日から、ずっとこんな感じだ。

 リベルとミネアも心配して、今日も家に来ていた。


「フラムちゃん……だ、大丈夫?」

「むり」

「フ、フラム……その、昔来たジャンっていう糸目の商人が、小さいスプーンとフォークの注文したいと来ているんだが……?」

「むり」

「お、お嬢、オレでも叩いてみますか?」

「ハンス……それはあとでやるわ」

「あ、やるんですね」


 ハンスは、自分で言って後悔をする。


「あ、あの~お取り込み中、すいません。私の注文は結局どうなりました?」


 店からひょっこり顔を出したのは、山猫の商人ジャンだ。


「す、すいません。娘がちょっとヤル気をなくしてまして」

「それは、困りましたね。そうそう、最近ここにキンタローさん、来ま──」


 フラムがその名前を聞いた途端に立ち上がり、ジャンに詰め寄る。


「今、キンタローって言った?言ったわよね。ねぇ、どうして知ってるの?あ、そうか随分前から注文してたやたら小さい食器類は妖精達用なのね。そうよね。キンタローとどこであったの?いつあったの?」

「フラム……ちゃん……落ちついて」


 フラムが捲し立てながら、ジャンに掴みかかるが、ミネアが指先でフラムを持ち上げる。

 しかし、フラムの興奮は止まらない。


「は! そういえば、注文ね。小さなスプーンとフォークね。何本いるの? 大きさは?」


 フラムは、ジャンから必要な情報を聞くとすぐに工房へ向かう用意をする。


「まだ、帰らないでね。すぐに作るから。話はそれから聞くから。あ、アマンダ。夕食食べて貰うから1人多目にね」


 そう言い残し、工房へと向かった。


「ジャンさん、娘がすいません」

「いえいえ、私もキンタローさんの事が聞きたかったので構いませんよ」


 ジャンがそう言って、出されたお茶を一口飲んだ、その10分後。


「お待たせ!」


 フラムが汗だくで、戻ってくる。


「は、早かったですね。確認させてもらいますね」


 ジャンが数と質を見ている間に、フラムは作業着から着替えてきた。


「はい。間違いなく受け取りました。それでは支払──」

「それは、後でいいわ。それよりキンタローの話、聞かせて」


 フラムの勢いに負けて、ジャンはキンタローに会った頃からの話をしていく。




◇◇◇

「──というわけで、キンタローさんと私は商売相手くらいな関係しかないのですよ」


 ジャンが一通り話をすると、フラムはちょっとふて腐れる。

 話を聞く限り、フラムの方がキンタローの事は知っている。

 しかし、フラムは今のキンタローの姿しか知らない。ジャンとキンタローの付き合いは約5年。その差が、フラムをふて腐せる原因だった。


「ねぇ、ジャンさん。5歳の頃のキンタローってどんなだった?」

「そうですね。性格は変わらないですね。あ、そうそう初めて会った時は裸でしたね」

「は、裸ぁ!?」


 当時キンタローは、裸だったが上から今もしているマントを羽織っていた。


「お、お嬢!? 大丈夫ですか? 真っ赤ですよ!?」


 ハンスの言葉で、フラムは何を想像していたか自覚し、二階へと逃げていった。

 結局、フラムは夕食後、ジャンが帰るころに一階へ降りてきた。


「あの、ジャンさん、ごめんなさい」

「いえいえ。私もキンタローさんが出発した時には会えませんでしたから。お話聞けて良かったです」


 ジャンは、そう言うと宿に帰っていった。




◇◇◇

「はあぁぁ~ぁ」


 ジャンが帰ったあと、フラムは、前と同じような状態に戻っていた。

 リベルとミネアも帰宅し、残ってるのは、アマンダとアレンとハンスのみである。

 アマンダは、意を決してフラムの肩に手をかける。


「お嬢様。どうですか? 今度キンタローさんに会うまで、お料理を練習してみては?」


 アマンダの地獄の提案に、アレンとハンスの顔が引きつったまま、固まる。

 料理を作れば、誰かが食べなくてはならない。しかも、フラムの料理は味も見た目も匂いも問題ない。

 ただ、飲み込むと喉が麻痺するだけ。飲み込まなければ成功か失敗かわからない。

 まさに、地獄の提案である。


「そ、そうね。今度こそ、ちゃんと美味しいって言って欲しいもの」


 フラムの目に生気が戻っていく。それとは逆にアレンとハンスの目が死んでいく。


「お嬢様、試食はハンスがやってくれるわ。前回の原因でもあるし」


 それを聞いてアレンの目に生気が戻っていく。そして、益々目が死んでいくハンスがいた。



 その後、ハンスを見たものはいない────

                     fin

 いつも読んで下さりありがとうございます。


 次話は、第3章の人物紹介です。それから、第4章になります。


 感想、レビューお待ちしてます。評価、ブクマしてもらえると嬉しいです。

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