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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第3章 赤い髪と巨人とひょろ親父
31/121

28 後継者

5000PV突破記念で、もう一回投稿しました。


キンタローの体調を考慮して、ギャグ少なめ( ´・_ゝ・)


 キンタローが目を覚ましたのは、既に翌日の早朝だった。


「酷い目にあった……まさか《胃腸強化》にこんな弱点があるとは」


 キンタローに寄り添うように、クマゴローとミカンがいる。


「心配かけたみたいだな……それに……」


 フラムの事が気にかかる。


「やっぱり、それがいいかな……」


 「だからね、この後何があってもお嬢様を嫌いにならないであげて下さいね」

 昨日の朝にアマンダに言われた事を思い出す。


『クマゴロー、ミカン、起きてくれ』


 クマゴローを揺すり起こし、ミカンをベッドから転がり落とす。


『ふわぁ~、どうした~キンタロー?』

『痛いの!な、何事なの!?』

『実はな、昨日あった事を触れないでやって欲しい』


 クマゴローは驚き、顔を険しくする。


『なんでだ! お前!危うく──』

『しーっ! 声が大きい。クマゴローの言いたい事もわかるけど、オレは無事だし、わざとじゃないだろう?』

『それは、わかってるが……』


 まだ、納得のいかない様子のクマゴロー。

 もちろん、その理由はただ一つ“キンタローを守る”それだけ。


『頼む。クマゴロー。その鬱憤は、ハンスで晴らせばいいさ』


 ハンスの災難は、まだ続いていた。

 

『ミカンも、頼むよ』


 すや……すや……


 ミカンは、クマゴローの頭の上で眠っていた。

 キンタローは、ミカンの服を掴んで振り回しベッドに叩きつけた。


『痛いの! な、何事なの!?』



 クマゴローとミカンは、渋々だが黙ってくれる事になった。




◇◇◇

 キンタローが顔を洗いに部屋から出ると、バッタリ、フラムと出会ってしまった。


 フラムは、キンタローの顔が見れず、うつ向いていた。


「フラム、おはよう」


 キンタローが、軽く挨拶をする。

 フラムは挨拶されるとは思っておらず、その場から逃げ出したい気持ちで、いっぱいだった。


「あ……あの……あの、き、昨日は……」


 フラムは勇気を振り絞り、謝ろうとしていた。


「そう! そうなんだよ。オレ、いつの間に寝てたんだろ? 結局、フラムの手料理食べ損なったみたいだし」


 キンタローは、昨日の出来事を知らないフリをする。


「じゃ、顔洗ってくるわ!」


 そそくさと一階に降りたキンタローの気遣いに、フラムが気づいていない筈がなかった。


「ありがとう、キンタロー。また、練習して今度こそ……」


 キンタローの災難も、まだ続いていた。




◇◇◇

 それから、数日が過ぎた。


 クマゴローが、ハンスを後ろから、じわじわと羽交い締めをしていた頃、キンタローはアレンを裏口にある馬小屋に呼び出していた。


「キンタローさん、どうしたんですか? こんな所で?」

「いや、剣造りはどうかなって?」


 キンタローの質問にアレンは、首を横に振る。


 キンタローは、前々から聞きたい事があったが、しばらくは、剣造りの様子を見ていた。

 しかし、剣造りの完成の目処は立たず、キンタローは別の道を探ることにした。


「アレン、そろそろフラムの父……いや、両親の事を教えてくれないか?」


 やっぱりそうかと、アレンは目を瞑り悩みだす。

 しばらく考えるが、フラムの為ならと話す事にした。


「わかりました、お話します」




◇◇◇

「まずは、先代が亡くなった直後からになります。今から、三年程になりますか、先代が亡くなった為に、このラウザ工房は本来お嬢様の父、リベルが継ぐ筈でした」

「フラムの父親は、生きてんだな?」

「はい、ご存命です」


 キンタローは、やはり何かしらの理由でここを出て行ったのかと、そしてその理由が無くなったら、戻ってくるのではないのかと当たりを付けている。


 アレンは話を続けた。


「実は、このドワンゴ村には、職人の組合があるのです。そして、新たに親方を継ぐ場合、半分の賛成が必要になるのですが、旦那様(リベル)は、半分の賛成を得られませんでした」

「? 聞いている限りじゃ、職人として優秀なんだろ? また、なんで……」

「はい、それはもう。先代に劣りません。ですが、反対されたのは別の理由なんです。実はその頃、旦那様(リベル)は再婚をお考えでした。その……私からは言いにくいのですが、お相手が少し事情がございまして……組合は、その為に反対したのです」

「事情?」

「はい。その……お相手が少数種族の血が入っておりまして、それを嫌った組合の方々が反対されたのです」


 キンタローは、ふと思った。

 確かに、そういう他の種族を嫌うのもあるだろう……しかし、リベルの次はフラムがいるし特に問題無いように思える。


「リベルの次はフラムだろう? 問題無いのでは?」

「はっきり申し上げると、お嬢様には武器造りを苦手にされております。ドワーフは、作る才能自体はありますが、得手不得手の分野がございます。残念ながらお嬢様には……」

「なるほどな。リベルの次は、もしかしたら混血になると組合は考えたってこたか」

「そうですね。そこで、お嬢様が自分が跡を継ぐと言い出しまして」

「ん? なら、なんでリベルは出て行ったんだ?」

「詳しくは……恐らく再婚にお嬢様が反対なさってからでしょう」


「それで、今リベルは何処にいる? 遠いのか?」

「昔工房の一つとして使われてた小屋におります。この村の西側から抜けて15分くらい歩いたところにあります」


「いや、近すぎるだろ! すぐそこじゃねえか!」 




◇◇◇

 その夜、キンタローはベッドに寝転びながら、考えをまとめていた。


(ラウザ工房の後継問題……これは、簡単だな。要は()()が純血のドワーフなら問題無い)

(あとは、フラムと父親のリベルとの問題だな……恐らくフラムは……そうなると、あとはリベルの………)



 気がつけば、そのまま眠ってしまった。


いつも読んで頂きありがとうございます


感想も、ブクマも増えて、励みになります。


レビューは上からか最新話の下から書けますヽ(=゜ω゜)人(゜ω゜=)ノ


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