28 後継者
5000PV突破記念で、もう一回投稿しました。
キンタローの体調を考慮して、ギャグ少なめ( ´・_ゝ・)
キンタローが目を覚ましたのは、既に翌日の早朝だった。
「酷い目にあった……まさか《胃腸強化》にこんな弱点があるとは」
キンタローに寄り添うように、クマゴローとミカンがいる。
「心配かけたみたいだな……それに……」
フラムの事が気にかかる。
「やっぱり、それがいいかな……」
「だからね、この後何があってもお嬢様を嫌いにならないであげて下さいね」
昨日の朝にアマンダに言われた事を思い出す。
『クマゴロー、ミカン、起きてくれ』
クマゴローを揺すり起こし、ミカンをベッドから転がり落とす。
『ふわぁ~、どうした~キンタロー?』
『痛いの!な、何事なの!?』
『実はな、昨日あった事を触れないでやって欲しい』
クマゴローは驚き、顔を険しくする。
『なんでだ! お前!危うく──』
『しーっ! 声が大きい。クマゴローの言いたい事もわかるけど、オレは無事だし、わざとじゃないだろう?』
『それは、わかってるが……』
まだ、納得のいかない様子のクマゴロー。
もちろん、その理由はただ一つ“キンタローを守る”それだけ。
『頼む。クマゴロー。その鬱憤は、ハンスで晴らせばいいさ』
ハンスの災難は、まだ続いていた。
『ミカンも、頼むよ』
すや……すや……
ミカンは、クマゴローの頭の上で眠っていた。
キンタローは、ミカンの服を掴んで振り回しベッドに叩きつけた。
『痛いの! な、何事なの!?』
クマゴローとミカンは、渋々だが黙ってくれる事になった。
◇◇◇
キンタローが顔を洗いに部屋から出ると、バッタリ、フラムと出会ってしまった。
フラムは、キンタローの顔が見れず、うつ向いていた。
「フラム、おはよう」
キンタローが、軽く挨拶をする。
フラムは挨拶されるとは思っておらず、その場から逃げ出したい気持ちで、いっぱいだった。
「あ……あの……あの、き、昨日は……」
フラムは勇気を振り絞り、謝ろうとしていた。
「そう! そうなんだよ。オレ、いつの間に寝てたんだろ? 結局、フラムの手料理食べ損なったみたいだし」
キンタローは、昨日の出来事を知らないフリをする。
「じゃ、顔洗ってくるわ!」
そそくさと一階に降りたキンタローの気遣いに、フラムが気づいていない筈がなかった。
「ありがとう、キンタロー。また、練習して今度こそ……」
キンタローの災難も、まだ続いていた。
◇◇◇
それから、数日が過ぎた。
クマゴローが、ハンスを後ろから、じわじわと羽交い締めをしていた頃、キンタローはアレンを裏口にある馬小屋に呼び出していた。
「キンタローさん、どうしたんですか? こんな所で?」
「いや、剣造りはどうかなって?」
キンタローの質問にアレンは、首を横に振る。
キンタローは、前々から聞きたい事があったが、しばらくは、剣造りの様子を見ていた。
しかし、剣造りの完成の目処は立たず、キンタローは別の道を探ることにした。
「アレン、そろそろフラムの父……いや、両親の事を教えてくれないか?」
やっぱりそうかと、アレンは目を瞑り悩みだす。
しばらく考えるが、フラムの為ならと話す事にした。
「わかりました、お話します」
◇◇◇
「まずは、先代が亡くなった直後からになります。今から、三年程になりますか、先代が亡くなった為に、このラウザ工房は本来お嬢様の父、リベルが継ぐ筈でした」
「フラムの父親は、生きてんだな?」
「はい、ご存命です」
キンタローは、やはり何かしらの理由でここを出て行ったのかと、そしてその理由が無くなったら、戻ってくるのではないのかと当たりを付けている。
アレンは話を続けた。
「実は、このドワンゴ村には、職人の組合があるのです。そして、新たに親方を継ぐ場合、半分の賛成が必要になるのですが、旦那様は、半分の賛成を得られませんでした」
「? 聞いている限りじゃ、職人として優秀なんだろ? また、なんで……」
「はい、それはもう。先代に劣りません。ですが、反対されたのは別の理由なんです。実はその頃、旦那様は再婚をお考えでした。その……私からは言いにくいのですが、お相手が少し事情がございまして……組合は、その為に反対したのです」
「事情?」
「はい。その……お相手が少数種族の血が入っておりまして、それを嫌った組合の方々が反対されたのです」
キンタローは、ふと思った。
確かに、そういう他の種族を嫌うのもあるだろう……しかし、リベルの次はフラムがいるし特に問題無いように思える。
「リベルの次はフラムだろう? 問題無いのでは?」
「はっきり申し上げると、お嬢様には武器造りを苦手にされております。ドワーフは、作る才能自体はありますが、得手不得手の分野がございます。残念ながらお嬢様には……」
「なるほどな。リベルの次は、もしかしたら混血になると組合は考えたってこたか」
「そうですね。そこで、お嬢様が自分が跡を継ぐと言い出しまして」
「ん? なら、なんでリベルは出て行ったんだ?」
「詳しくは……恐らく再婚にお嬢様が反対なさってからでしょう」
「それで、今リベルは何処にいる? 遠いのか?」
「昔工房の一つとして使われてた小屋におります。この村の西側から抜けて15分くらい歩いたところにあります」
「いや、近すぎるだろ! すぐそこじゃねえか!」
◇◇◇
その夜、キンタローはベッドに寝転びながら、考えをまとめていた。
(ラウザ工房の後継問題……これは、簡単だな。要は親方が純血のドワーフなら問題無い)
(あとは、フラムと父親のリベルとの問題だな……恐らくフラムは……そうなると、あとはリベルの………)
気がつけば、そのまま眠ってしまった。
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