27 事件解決!
フラムさん、料理作るの、やめるってよ
事のあらましは、今から5時間ほど、前に遡る。
キンタロー達は、夕飯まで村を散策に出ることにした。
このドワンゴ村は、中央を走る大通りを中心に直線的に枝分かれした小道で出来ている。
村の中でもラウザ工房は、村の入口から中央通りの突き当たりにありドワンゴ村一の大きさを誇っていた。
工房を出ると、すぐ近くにあった小さな平屋の一軒家から、この村の爽やか村長が出てきた。
「こんにちは、たしか……キンタローさんでしたよね」
「あ~村長なの~」
「はい、こんにちは妖精さん」
村長がその爽やかさをフルに発揮した笑顔で、声を掛けてくる。
村長は、フレデリックがその後何かしてきていないか、クマゴローに関して村のほとんどに説明してあるから問題無いなど、キンタロー気遣ってくれた。
三人は村長と別れた後、色々な店を覗いていった。
服や家具をはじめドワーフの村らしく“作る”に特化した店が多いが、一方で食料や飲食出来る店は少なかった。
「あ、フレデリック」
フレデリック工房のそばでキンタローが、フレデリックを見つけると、そそくさと店の中に隠れた。
あれだけ、キンタロー達に絡んだフレデリックが何もしてこないのを疑問に感じていた。
その後、クマゴローが《活きのいい大工あります》の看板を見つけるとお店のショボくれたドワーフを再び脅かしてからかったり、ミカンを売って欲しいと自称人形収集家の男のドワーフにハァハァ言いながら迫られたり。
時には職人気質を感じる男性のドワーフ達が「いい足腰をしている」と、代わる代わるキンタローの足を、ベタベタ触ってくるので、それならばと、その足で蹴っとばすなど少なくとも退屈はしなかった。
◇◇◇
夕飯時になり、キンタロー達がラウザ工房に帰ってくると、白いエプロンを腰に巻いたフラムが、パタパタと走って出迎えてくれた。
「あ、お帰りなさいキンタロー。クマゴローさんもミカンさんも、お帰りなさい。もうすぐ夕飯出来るから、ちょっと待ってて」
フラムはまた、パタパタと足取り軽く台所に戻っていく。
テーブルに様々な料理が置かれてる中、一つだけ、キンタローの席の前に置かれてある料理があった。
ハンスは、椅子に座りながらニヤニヤとキンタローを見ている。
キンタローは、既にハンスの企みに気が付いていた。
目の前の料理は、肉を煮込んだもので、いい匂いがしており食欲もそそる、見た目もいい。
(あぁ、味がヤバい方か……ハンスは、後で覚えてろ!)
全員がテーブルに着くと、キンタローはチラッとフラムの手を見る。
5時間かけて1品である。
やはり、慣れないのか手には布が巻かれていた。
全員が見守る中、キンタローが恐る恐る料理を一口食べる。
────!旨い!
肉も柔らかく、仄かに柑橘の香りがアクセントとなって
────!の、飲み込めない!?
キンタローは、首、いや喉に猛烈な痺れを感じ、呼吸困難に陥った。
「──かっ!は!」
そのまま椅子から転げ落ち、苦しみだす。
キンタローの持つ《胃腸強化》は、胃と腸で毒物を無効にする。
喉元を通さず発揮するフラムの料理があることをキンタローは、その身をもって知る事になったのである。
ハンスは、キンタローの様子から立ち上がり笑おうとしたが、その前にフラムが立ち上がる。体を縮ませて、口に手をあて涙目になりながら、震え出す。
ハンスは、そのフラムの様子に、ただただ茫然としていた。
『てめぇぇ────!!』
クマゴローは、怒りに震え立ち上がると、殺気を全開にして、物凄い形相で襲いかかろうとする。
ミカンは、咄嗟に、クマゴローの眼前に行き止めようとする。クマゴローはミカンが視界に入ったことで、辛うじて跳びかかりはしなかったが、ゆっくりとフラムへ近づいていく。
「手伝ってなの~~!」
ミカンの声にすぐにアレンとアマンダがクマゴローを止めに入る。
「クマゴローさん!クマゴローさん!キンタローさんは大丈夫です!だから落ち着いて下さい!!」
アレンは必死に叫ぶが、クマゴローには人族の言語はわからない。
『クマゴロー!キンタローは大丈夫なの!良く見るの!!』
ミカンが通訳して、呼びかけると、クマゴローはキンタローの様子を見る。
先ほどまで、苦しんでいたキンタローだったが、だんだん痺れが取れ、まだ呼吸は荒いが落ち着きつつあった。
アレンから、二階で休むように言われ、クマゴローはキンタローを抱えて二階へ上がり、ミカンも後ろを着いていく。
フラムは、とうとう耐えきれなくなり、泣き出すと、そのまま、自分の部屋に閉じ籠ってしまった。
そこからの、アレンとアマンダの行動は素早かった。
テーブルの料理をさっさと片付けて、アマンダが裏口からハンスを蹴り出すと、ズボンを取り上げる。アレンがパンを一つ投げつけて、裏口を締め鍵をかけた。
ハンスは、ズボンを履かずに村に出る訳にはいかず、一晩外で過ごす羽目になった。
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