24 ライザ=ラウザ
アレンはライザおたくってお話
キンタローの前で、正座をしているフラムとアレン。
ハンスだけは、床に転がりながら悶絶していた。
「な、なんで? なんでオレだけ?」
転がるハンスの横には、ポッキリ折れたお玉が床に落ち叩いた強さを表していた。
「なんとなく?」
「ひでーーよ……」
キンタローとハンスのやり取りを見ていたアレンが、そっと手を挙げる。
「説明……させて頂いても?」
ようやく、終わったと安堵したクマゴローが、口を大きく開けて、欠伸をするとそのまま眠りについた。
キンタローは当初の目的を思い出し、アレン達の前に椅子を置き、ドカッと座る。
そこで、初めて気づいた。
なぜかアレンの隣で、正座をして座っているミカンに。
(………なんで? 条件反射?)
◇◇◇
「え……っと、説明する前に一つ聞いても良いですか? キンタローさんは、あのナイフを何処で手に入れました?」
アレンの質問にキンタローは、自分の生みの親かもしれない人の荷物に入っていたと話した。
「出所はわかりました。それでは、説明させて頂きます」
背筋をピンと伸ばしたアレンの言葉に周りも姿勢を正す。
「まず、このナイフはお嬢様の曾祖父であるライザ=ラウザが作った物で間違いないかと。刃の所にサインもありますし、このサインも本物だと思います」
キンタローがちょっと驚きフラムを見るとフラムは軽く頷いて、補足を入れた。
「アレンは、ライザ=ラウザのファンなの。色んなライザ作の武器を見てきたのよ。私も、ウチには無いけど、一度見たわ。私も本物だと感じたわ」
「本物って事は偽物も多いの?」
「偽物もたまには有るようですが、ライザは逸品にしかサインを入れません。私も、確実にサインが本物で逸品は、魔人族の魔王殿に見せて貰った一本だけです」
「え?魔王いるの?」
キンタローが関係無いとこが気になる。
「はぁ……それは、いますよ。あ、そう言えば最近亡くなられて息子さんが継いだと聞きました!」
「魔王、まさかの世襲制かよ」
キンタローは、思わず吹き出す。
◇◇◇
アレンが一つ咳払いをし、話を続けた。
「それで、このナイフですが、先ほど話した魔王殿が持っているのと遜色無いくらいの逸品です。これと変わらない位の物を作れるのは、今は亡きお嬢様の祖父である先代、それと、父親のリベル様位しか───」
「アレン!!」
突然のフラムの怒声が家中に響く。
「お願い……両親の話はしないで……」
フラムとアレンは、黙り込んでしまった。
(うーん、やっぱりフラムの両親はいるのか。それにラウザ工房は、祖父から直接フラムが継いだんだな……)
キンタローは、後でハンスかアマンダにでも聞いてみるかと、考えていた。
「キンタローさん」
アレンが再び口を開いた。
「しばらく、このナイフお借り出来ないでしょうか?お嬢様、もう一度武器作りを始めませんか?ここにこうしてお手本があるのです。もちろん、私もお手伝いします」
「お嬢。オレも、もちろん手伝わせてもらいやす」
「アレン……ハンス………」
フラムは、涙を浮かべ二人に頷いた。
「いい加減!親方って呼んでよ!!」
アッサリと立ち直った。
◇◇◇
「さぁさぁ、お話はそれくらいにして、ご飯にしましょう」
アマンダが大きな皿を2つ持ちながら、キンタロー達の話を遮る。
「そうね。これからの事は後にして、ご飯にしましょう。ね、キンタロー」
フラムがそう話かけたキンタローは、既にいなかった。
いつの間にか椅子を戻し、テーブルに着いていたキンタローは、両足を揃え、背筋を伸ばし、手は両腿の上に置き、行儀良く座っていた。
クマゴローも、キンタローの横で胡座をかいて座り、クマゴローの頭の上にミカンも行儀良く座っていた。
全員が席に着くと、食事が始まる。
キンタローは、まずスープに手を出すと、味も良かったが、何より、この世界に来て初めての温かい食べ物に感動していた。
チラッと横を見ると、クマゴローが初めての焼いた肉を『アチッ!アチッ!』と、チビチビと食べていた。
「熊なのに猫舌……」
キンタローの呟きに、思わず吹き出しそうになるフラムとハンス。
アレンとアマンダは仲良く………
…………キンタローは、見るのを止めた。
このままでは「爆発しろ!」といってしまいそうだった。
最後に、ミカンの様子を見ると、口の周りをべとべとにし汁をクマゴローの頭に落としながら、リスの様にほっぺが木苺で膨らんでいた。
すぐにクマゴローに、はたき落とされた。
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