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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第3章 赤い髪と巨人とひょろ親父
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22 ラウザ工房のアマンダさんは、スルースキルを取得済み


そもそも、活きのいい大工ってなんだ?ってお話。


 ドワンゴ村の中央の大通りを進むキンタロー達。

 左右には、様々な店が並んでいた。

 食器や調理器具を売る店、服を売る店、人形を売る店、食料品を売る店、挙げ句に大工を売る店まで。

 立て看板には《活きのいい大工あります》と書いてある。

 その横で、ショボくれたドワーフが1人、陳列棚らしいところに座っていた。


(絶対に詐欺だ!!)


 ショボくれたドワーフが手でキンタローを招いている。

 キンタローは、クマゴローに乗ったまま、そのドワーフに近づくと、慌てて店の中に隠れて行った。

 どうやら、馬車に隠れてクマゴローが見えていたかったらしい。

 

「何やってるんですか?さっきから。さっさと行きましょう。ご馳走も用意しますから」


 フラムは、呆れて先へ促した。


「「ご馳走!」なの!」


 キンタローとミカンが目を輝きだす。

 それを見たクマゴローも、察して目を輝きだした。


「お嬢、大丈夫なんですか?」


 ハンスはチラッとクマゴローを見る。


「大丈夫、大丈夫……のはず。商売してきたばっかりだし、大丈夫…………多分」


 フラムは、クマゴローを見るとお互い目が合い、フラムは一つウインクをした。


(食べるの控え目にね)


 そう、思いこめて。


『いっぱい食べてね、か。いいヤツだな、フラム』


 クマゴローには、全く通じてなかった。


 大通りをしばらく歩いていると周りと比べて、かなり大きい店があった。


《フレデリック工房》


フレデリック(あいつ)の店かよ!」


 その店は、大きさもそうだが何かを妙に主張してくる。

 特に店の色が派手な訳ではない。

 キンタローは、気になり、店を見回すが違和感だけが残る。

 変わってるのは、窓の形くらいだ。

 細長い(しずく)の様な形をしており、(しずく)形の細くなる先が、それぞれ外側になるように、一階と二階に2つずつ付いていた。

 

 ────!!


 キンタローは、急いで店から離れて正面から店を見据える。

 二階の窓がまるでキツネ目に。

 一階の窓がまるでちょろ髭に。

 そして、入り口のドアがまるで大きく口を開けてるように───

 

フレデリック(あいつ)の顔かよ!!』




◇◇◇

「大丈夫?」

「大丈夫なの?」

『大丈夫か、キンタロー?』


 キンタローは、色々疲れはて、クマゴローの上でうつ伏せで、寝転んでいる。


「着きましたよ」


 ハンスが馬車を止めると、クマゴローも足を止め、キンタローは目の前の建物に目を向けた。


《ラウザ工房》


 そう書かれた小さな看板が、入り口横に張り付けられていた。

 しかし、その建物は、流石、名工ライザ=ラウザの工房だけあって、フレデリックの工房より大きかった。


「申し訳ないけど、裏口からお願いします。ほら、クマゴローさんは、大きいし、正面からじゃ無理だから」


 フラムに促され、馬車と共に裏口へまわると、キンタロー達はフラムの言った意味を理解する。


 工房の裏口の扉は大きかった。

 いや、明らかに大き過ぎる扉だった。

 横幅もそこそこ大きいが、それはわかる。

 フラムはともかく、恰幅の良いドワーフにとっては必要なのだろう。

 しかし、高さが半端なかった。


『クマゴロー、ちょっと立ってみて』


 キンタローに言われてクマゴローが立ち上がると、扉の高さはクマゴローを越えていた。


 そこへ、フラムが馬車小屋から戻って来た。


「お待たせしました」


 大きな扉に手をかけ開けようとするフラムに、キンタローは疑問を投げかける。


「なあ、なんで、この扉こんなにデカ───」

「アマンダーー!今帰ったわよ!」


 キンタローの質問は、フラムの帰宅の挨拶により、遮られる。


「お嬢様、お帰りなさいませ。ご無事でなによりです」


 アマンダという女性なのだろう、ドタドタと二階から降りてくる音が聞こえた。


「無事、というわけではないわ。エルフに襲われてアレンが怪我してるのよ。だけど、危ない所を助けてもらってね。その人にお礼をしようと連れてきたわ」


 フラムがそう言って、キンタローの方を見るがキンタローは扉の前で突っ立っていた。


「どうしたの?どうぞ、入ってください」


 フラムは、笑顔でキンタローを中へ迎え入れる。


「いや、その、あの扉って───」

「アマンダ!喉が渇いたわ!お茶を淹れてちょうだい」


 また、遮られた。




◇◇◇

 キンタロー達が中に入ると、アマンダが出迎えに寄ってきた。


「この度は、お嬢様がお世話になったようで、ありがとうございます」


 アマンダが一つ頭を下げると、すぐにキンタローからマントを受け取り、壁掛けへ掛けた。


「改めて、自己紹介させて頂きますね。私は、このラウザ家に雇われているアマンダと申します。良ければ、お名前、伺ってもよろしいでしょうか?」


 アマンダは、中年の恰幅の良いドワーフで給仕するためのエプロンをしていた。


「キンタローです。こっちが兄弟のクマゴローで、これがミカンです」

「よろしくなの~」


 アマンダはニッコリ微笑んだ。


「何か御用があれば、なんでもお申し付けください」


 そう言い残し、そそくさと台所へと向かった。



 まさかのクマゴローとミカンをスルーするアマンダに、全員が口を開けたまま、動けなかった。


いつも読んでくださりありがとうございます。


※誤字脱字などもご報告ください。

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