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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第3章 赤い髪と巨人とひょろ親父
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20 ドワーフ族


赤い髪=ドワーフってお話。


「あ、あの……私の顔に、な、何か付いてますか?」


 じっと見てくるキンタローから視線を外し、頬を朱に染めた。


 フラムは、身長こそ130cmと今のキンタローと同じくらいだが、典型的なドワーフのイメージとは違い細身で、スラッとした体型をしていた。

 白いワンピースで真っ赤なストレートのロングヘアがよく映える。

 日の光が髪にキラキラと反射していた。


 実はキンタローは、初のドワーフとの遭遇にじっくりと見たかったが、髪の反射に少し眩しく、目を細めてただけだった。


「ねぇねぇ、この人苦しそうだけど放っておいていいの?なの~?」


 いつの間にか、馬車の荷台の上にいたミカンが声をかけた。


「「よ、妖精!?」」


 フラムとハンスは、突然現れた妖精に驚いた。妖精など、ほとんど森から出ない為、二人とも初めて見たのであった。


「ア、アレン!!」


 フラムは、ハッとして荷台にいるアレンを覗きこむと、アレンはうなされていた。


「あ、あの妖精さん。もし、良かったら妖精さんが作る傷薬を譲って頂けませんか?お願いします。」


 フラムは、ミカンに向かって頭を下げた。


「ミカンなの」

「へ!?」


 思わず頭を上げミカンを見る。


「妖精さんじゃないの、ミカンはミカンなの」

「あ、えと……ミカンさんお願いします」


 再び頭を下げた。


「でも、ミカンは持ってないの」


 えっへん、と胸を張るミカンに、フラムは頭を下げたまま怒りに震えている。


(あぁ~、このままじゃ不味いな……)


 キンタローは、そう思うとリュックから餞別に貰った妖精の傷薬を、フラムに渡す。


(持っているじゃない!!)


 フラムは、文句の一つも言いたかったが、グッと堪えて顔を引きつらせながら、キンタローとミカンに礼を言うのだった。


「ね、ミカンは持ってないの。持ってるのは、キンタローなの。」と益々胸を張るミカン。


(紛らわしいのよ!!)


 そう、心の中で怒鳴るフラムだった。


 アレンを手当てしたフラムは、改めて礼をキンタロー()()()言った。


「本当に助かりました。お礼がしたいので、ドワンゴ村まで来てくれないかしら?えーと、あ、名前伺ってもいいかしら?」


「オレはキンタロー。このサイレントベアーが兄弟のクマゴロー。で、さっきから人の眼前でブンブン飛び回ってる蝿みたいのがミカン」

「蝿はあんまりなの!」


 飛び回るのをやめ、キンタローの方を振り向いて、プリプリと頬を膨らませ怒っている。


「キンタロー……さん、ですね。それにサイレントベアーが兄弟………それに蝿………」

「だから、蝿じゃないの!!あんまりなの!そろそろ本当に泣くの!」


 こんな道のど真ん中に、いつまでもいるのは御免だと、キンタローはミカンを捕まえ、自分の懐に入れて落ち着かせた。




◇◇◇

「お嬢!いつでも出発できますぜ」


 ハンスがそう声をかけると、フラムは「お嬢じゃなくて、いい加減親方と呼んでよ」と文句を言うと「はい、わかりました。お嬢!」と力強くハンスは答えた。


 この二人のやり取りで、フラムとハンスが長い付き合いで親しい関係なんだと見てとれた。




◇◇◇

「そう……クマゴローさんのご両親に………」


 馬車と並走しながら、キンタローは、自分の生い立ちをフラムに話していた。

 フラムがジーッとキンタローを見る。


「気になったんだけど、キンタローさんの黒髪は珍しいわね。いえ、珍しいというより黒髪自体見ないわね」


 そう言い、フラムはハンスの方を見るとハンスは首を横に振る。


(そういえば、長老も同じような事言ってたな……)


「知ってるとは思うけど、種族によって色んな特徴があるわ。例えば、私達ドワーフは、他の人族に比べて低身長で、赤っぽい髪の毛が特徴ね。ま、私は赤過ぎるけど……」


 フラムは、そう言うと真っ赤な髪を指先で弄りながら、不機嫌そうな顔をした。


「あれ?自分の髪、嫌いなの?オレは綺麗だと思うけど?」


 フラムは、キンタローの言葉に驚き、思わず顔を伏せる。


「そ、そう?ありがと……」と小声で言ったのだった。


 ちょっと気まずい空気になったが、それを払う様にハンスとクマゴローが同時に「『ごほん!』」と咳払いをした。

 

「え、えーと、あ、種族の特徴ね。ドワーフはさっき言った通り。獣人は、髪の毛は様々だけど、何型の獣人かによってその特徴が出るわ。だけど、やっぱり黒髪はいないわね。魔人族は、分かりやすいわ。頭に角が生えてるもの。エルフはやっぱり耳ね。めったにエルフ自体は見ないけど、黒髪のエルフは聞いた事無いわね」


 やはり《人間》だからだろうと、考えていた矢先、

「お嬢。この方、もしかしたら少数種族じゃないですかね?」


 ハンスがそう言いだした。


 少数種族──こういう場合、珍しがられるならまだマシで、迫害などを受ける場合が多い。


 キンタローはこの世界初の《人間》である。間違いなく少数種族である。


「まあ、それでも私は気にしないわ。大体キンタローさん自身、赤ん坊の時に捨てられたのよ。本当に少数種族かどうかもわからないわ」


 キンタローは、その言葉を聞き、ホッとする。

 迫害よりも、迫害されたキンタローを見てクマゴローが黙ってる筈がない。


 キンタローは、そっちの方が怖かった。




◇◇◇

「あ、見えてきたわ。ドワンゴ村よ」


 フラムが指差した先を見ると、アーチ型の入り口があり、村を囲うように木の柵があった。

 あちこちに家がある雑多なイメージだったが、外から見る限り区画整理がされた感じに家が並ぶ。


 その家々の屋根は、ドワーフを示す様に全て赤色だった。 

 

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