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閑話2 アリエルさんのご趣味は何ですか?


「一番の趣味はアルメイダ殴ること」だそうです。ってお話


「異議あり!」


 机をバンッと叩いて、アリエルが叫んぶ。


「ほほう、今の証言に何か問題でも?」


 腕を組み、顎をしゃくり上げ、見下ろすアリエルが問いかける。


「裁判長、この資料を証拠品として提出します」


 何かの紙を渡すアリエル。それを受け取るアリエル。


「いいですか、被害者の死亡時刻は午前9時です。ですが、この写真の被害者の後ろをよーく見てください。時計があるのです。その時間は、10時17分。つまり、この証人の話は嘘なのです!」


 バーーンと、指を差すアリエル。ひぃっ、と怯えるアリエル。


「いや、この写真どうみても夜だろ?」


 呆れるアリエル。ガーーンと驚くアリエル。



 ここは、アルメイダ、サフィエル、アリエルの部屋である。

 今、この部屋には、アリエル1人だ。

 アリエルは、明らかに何かに影響受けまくりの裁判ごっこで遊んでいた。

 入り口の向かいのアルメイダの席を裁判長、アリエルの席を弁護士、サフィエルの席を検事、ドア前を被告席にして、役どころにより移動するのだ。


「うぬぬぬ、えーい、犯人は貴方だ!」


 アリエルは、裁判長の席を指差し叫ぶ。

 無茶苦茶である。アリエルにとって、内容には意味はなく、ただ、言いたい事を言う、それだけだった。


「ヒイィィッ!」


 被告席のドア前に移ったアリエルが、怯える振りをする、その時。


 ガチャ───ドンッ!


「おい、アルメイダ、いるか?」


 サフィエルが部屋に入ろうと、ドアを急に開けたものだから、ドア前にいたアリエルに、ノブが当たりアリエルは倒れた。


「ん?アリエル。こんなとこで何してるんだ?」


 アリエルは、黙って起き上がり、服の埃を払った。

 アリエルは、下を向いたまま、ツカツカとサフィエルの前に寄ってくる。


「ああ。また、あれかごっこ遊───へぶっ!」

 ───ズドン!!!!


 アリエルの必殺の右が、サフィエルの腹に突き刺さった。

 アリエルは親指で、自分を差すと叫んだ。


「犯人はワタシだ!!!!」




◇◇◇

 アリエルと目が覚めたサフィエルは、部屋の片付けをしていた。

 先ほどまで、アリエルが部屋の中を素早く移動していたせいで、あちこちにぶつかり、部屋の中は散乱している。


「おい、何やってんだよ。片付けろよ」


 サフィエルがアリエルを見ると、アリエルはアルメイダの席に座りパソコンみたいな機械を弄っていた。


「今、アルメイダの弱みを探してて忙しい」


 サフィエルは、呆れつつも自分も混ぜろとアリエルの隣に移動する。


「ぬう、パスワードがわからない」


 アリエルは、パスワードを入力するが開かないファイルを前に苦戦する。


アルメイダ(あいつ)の事だから、女神の昇格試験の番号じゃないか?」


 サフィエルがそう言うと、アリエルが打ち込んでいく。


「開いた」


 アリエルがザーッと、画面をスクロールさせていく。


「ちょ、ちょっと待った!少し戻してくれ!」


 アリエルが慌てて、画面を少し戻し、二人はその画面を見て、驚愕した。


 サンプリングNo.257

 《八雲恭二》男 享年17予定(完了)

 イズーリア大陸に転生予定(完了)

 加護システム 調整中

 スキルシステム 稼働中

  《不運》スキル 稼働中

  《足腰強化》スキル 稼働中(現在微調整)

  《衝撃耐性》スキル 稼働中

  《胃腸強化》スキル 稼働中

  《異界言語》スキル 稼働中


「な、なんだよ……これ……?」


 サフィエルは、ずっと見てきた少年の写真から目が離せなくなっていた。


 (《不運》スキル……?そうか、これのせいで、回避しようとしても出来なかったのか!)


「あらあら、人の物を勝手に触るのは、感心しませんね」


 サフィエルとアリエルが前を見ると、ドアの前に立っているアルメイダがいた。


「アルメイダ!!お前───」


 その時、サフィエルの横でドサッと音がした。

 サフィエルは、アルメイダから目線だけを横に向けると、アリエルが倒れているのが見える。


「おい!アリエル!大丈──かはっ!」


 アリエルの容態を見ようとしたサフィエルの首に強烈な痛みが走った。

 サフィエルは、気を失いかけながらも自分の背後を振り返ると、そこにはいつの間にか、真っ白な仮面とマントの人がいる。


「───ッ!………っ……備……………隊?……なん………で?」


 サフィエルは、気を失ってしまう。


「迂闊だぞ」

 

仮面マントが、アルメイダに注意する。


「それが売りですからねー」


アルメイダがそう答えると、仮面マントは「芝居だろうが………」と呆れて肩を竦めた。


「あ、その二人、もう要らないんでそちらで処分してください」


 アルメイダが冷たい声でそう言うと、部屋の中に同じ真っ白な仮面とマントの二人入って来て、サフィエル達を連れて行った。

 その後、元々いた仮面マントも部屋から出ていく。


 今、部屋にはアルメイダ一人だ。

 アルメイダは、自分の席に座ると、さっきまでサフィエル達が見ていた画面を、更にスクロールさせると、目的のページで手を止める。


「ふぅ……まさかバレるとは思ってませんでした」


 アルメイダは、画面を見ながら独り言を呟いた。

 その画面には───


 サンプリングNo.17

 《サフィエル》女 享年8予定(完了)

 イズーリア大陸に転生予定(完了)

 加護システム 調整中

  妖精の加護 トライアル完了

 スキルシステム 稼働中

  《魔力集積》スキル トライアル完了

  《魔力保存》スキル トライアル完了

  《神格化》スキル トライアル完了

  《記憶操作》スキル トライアル完了

  《異界言語》スキル 稼働中


「なかなか、楽しかったですよ」


 アルメイダは、そう呟いてデリートのボタンを────押した。

 

いつもお読み下さりありがとうございます。

次話から第3章に入ります。


※誤字脱字などもご報告ください。

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