16 ジャン=クラウド再来とパンツ
パンツ話も再びってお話
キンタローは、今空を飛んでいる。
(なんで、また………)
キンタローは、エルフの事を気にしつつも、日々を過ごしていた。
そんなある日、薬を仕込み終えた妖精達が、キンタローにあるお願いをする。
「飛んでみせて」
はぁ?と、キンタローは何を言い出したのかわからなかった。
どうやら、ミカンからキンタローが空に打ち上げられた日の様子を聞いたらしい。
自分達以外の人族が飛ぶ、ただそれだけの好奇心だけ。
薬を仕込み終える迄は我慢していたらしい。
「えっと……」
キンタローは、困りながらミカンを探すが見当たらない。
不意に後ろから肩をポンっと叩かれる。
キンタローが振り向くとそこには、いい顔をしたクマゴローとその陰に隠れたミカンがいた。
実は、クマゴローも飛んでいるキンタローがちょっと面白かった。
逃げようとした、キンタローを素早く捕まえる。
そして、前回とは違い、スッポ抜けではなくクルクルと回転し、砲丸投げの要領で放り投げたのである。
◇◇◇
今回は、森の中ではなく広い草原である。
キンタローは咄嗟に、せめて足からと着地に備える。
妖精達は、大いに沸いている。
その妖精の所から凄い勢いでクマゴローが走ってくる。
『トオォォォォッ!!』
クマゴローは、プロ野球選手顔負けの横っ飛びで、キンタローをキャッチした。
それを見た妖精達は拍手喝采していた。
◇◇◇
ある日、1人の男が大木から出てきた。
「どうもー、お久しぶりです!」
ジャン=クラウドだった。
あれから丁度一月経っていた。
前は飄々としていたジャンは、今日はやたらご機嫌だった。
「危ねえぇぇぇ!って違うそっちじゃねぇぇぇ!!」
急に声をかけられた方向を見ると、上からキンタローが降ってきている。
思わず、後ろに下がるがジャンが正面に目線を戻すと、クマゴローが突っ込んで来てる。
ドーーーーーン!!!!
クマゴローは、キンタローをキャッチしたが、ジャンはクマゴローに吹っ飛ばされゴロゴロゴロと転がり、カクッと気を失った。
クマゴローの中で、キンタロー投げが流行っていた。
「いやぁ、まさか仕入れに来た薬を自分で使うことになるとは」
ジャンは、目を覚まし、しかし怒ってる様子もなく、治療をしている。
クマゴローは、今、組体操の“扇”のようなポーズを取らされプルプルふるえている。
『少し、反省しろ』と正座が出来ないクマゴローは、代わりにやらされたのだ。
「お約束のものです」
ジャンは、荷物から、1枚の布を取り出しキンタローに渡す。
「ィィィィィィヨッシャァーーーー!」
キンタローは、遂に念願のパンツを手に入れた。
良く見ると、カボチャパンツだった。
どうやら、この世界は男女共にそうらしい。
早速履こうとしたが、全員がこっちを見ているので、キンタローはそそくさと木に隠れ、パンツを履く。
キンタローは、嬉しさの余り、マントを広げ、みんなに見せびらかす。
「あの………キンタローさん。お気持ちは察しますが、下着を見せるのはどうかと………」
ジャンに言われて、キンタローは顔が赤くなった。
マントを捲り、下着を見せびらかす変態さんが此処にいる。
◇◇◇
ジャンの仕事は、完璧だった。
東屋の材料に関しては、大工に依頼して後は組み立てるだけの状態である。
しかも、完成図もあり、妖精サイズのテーブルと椅子まであった。
ティーセットも、妖精サイズの特注の陶器だ。
しかも、無料だと言う。
どうやら、香草や果汁をお茶に入れるのが獣人の村で大流行らしい。
相当儲けたようで、ジャンの糸目がますます細くなっていた。
東屋の組み立ては、全員で始めた。
妖精達も、待ち遠しくて積極的に手伝う。日が暮れだした頃には、東屋は完成する。
今は、丸テーブルに5人の妖精がお茶をしていた。
その5人以外の妖精達が、ジッとキンタローを囲んで見上げている。
「あ、あ~、ジャンさん、東屋の材料の追加お願いします。」
周りにいた、妖精達は、ワァと喜んだ。
日が暮れて、ジャンは帰宅しようとしていた。
キンタローが、暗くなるから泊まっていけば?と聞いたが、ジャンは、「大丈夫ですよ」と答えるだけだった。
ジャンが、「では、また一月後に」と言って、大木に入ろうとした時。
「ちょっと待ったぁーーー!!」
キンタローがジャンの腰に飛び付く。
「服、服、服。服もお願いしまーーーす!!」
いつも読んでくださりありがとうございます。
今話で第2章本編は終わりです。
新しい短編『異世界転生て大多数こんなもんです』も投稿しました。
良かったら、そちらもお願いします。
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