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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
最終章 金と神とエルフ
112/121

98 暫しの休日②

“森を、木を調査し、青い布が巻き付いている木を全て切り倒せ。その青い布の木の根元から赤い布が巻かれた木が見えたら、それも切り倒せ”


 調査から戻ったキンタロー達はすぐに行動に移す。キンタローの名でキタ村を中心に各村に連絡を飛ばした。


 ナギ村、ドワンゴ村などは、すぐに行動を移したが、キンタローの事を知らない村など、中には反対するものもいたが、トーレスやクロウ、ジャンなど交渉事の得意な者を送り込み、切った木は復興に使うという名目で買い取ると説得させた。


 復興を進めるに辺り、キタ村周辺の森は復興の為に切り取られ、伐採された跡地には、魔人族達などの増えた住人の為の家々が建てられた。


 足りなかった人手も、ナギ村やドワンゴ村からの救援でどうにかなったものの、キタ村の復興も含め、準備を整えるまでに実に三年以上の歳月がかかった……


◇◇◇


 以前より遥かに広く大きくなったキタ村。上位魔族などプライドの高い者たちと、元の住人との間でイザコザなどあったものの、それも昔の話。今はすれ違えば、気安く話かけたり飲みに行くなど、交流は盛んに行われていた。


 魔王であるゾリディアは、魔王を辞めたものの復興の際には、自ら斧や鍬を持ち、伐採や農作業に従事していた。


 魔人族領域にあるエルフがこちら側にくる木の伐採には、各村から志願者を募り、ゾリディアも自ら志願して参加するほどで、キンタローから全てが終われば魔人族領域の復興に手を貸すと約束させる。


 三年の歳月には、嬉しい出来事も多々あった。


 まずはクマゴローの復活である。光の竜巻に突っ込んだ右手の損傷は酷く、ろくに動かせないが体の傷は癒えた。


 クマゴローは、キンタローを背に乗せ歩く事が出来ないと嘆いていたが、キンタローはそんなことより生きていてくれた事が何より嬉しかった。


 更に協力関係のあったサイレントベアーから、クマゴローの婿候補として用意されたのが、まだ子熊のサイレントベアー。

今回の戦争で数を減らしたサイレントベアーの為にも是非たくさん子供産んでくれと言われて、クマゴローは戸惑いを見せる。

子熊はクマゴローになついており、周りで見ていた者たちは、まるで親子だと冷やかすし、キンタローも『早く子供見たいなぁ』と冷やかされ、クマゴローは照れ隠しに怒鳴ってみたものの、周りの人達はニヤニヤしているだけであった。


 復興半ば、キンタローが村長就任から一年が経った。つまりは十五歳となったのだ。


 フラムとアンリエッタと式を挙げようと周りは言うものの始めはキンタローは復興途中だと、反対していた。

しかし、トーレスに宴会で復興作業をしている人達の、疲れを癒す理由をつけられ、やむなく了承した。


 式は、花の冠を頭に被り、式用の赤い衣装に身を包んだフラムとアンリエッタに挟まれ、執り行われた。


 元々式などは、一定の金持ちくらいしかせず、周囲の人達は祝福したものの、大勢の目的は宴会である。

村を挙げ、宴会が行われると、キンタローは復興の手伝いに来ており、酔っ払ったフラムの父リベルに絡まれていた。


 キンタローの手を取り「フラムをよろしく、よろしく」と何度も繰り返すのだ。しかし、キンタローは逃げようとはしない。いや、出来なかった。


 キンタローの背後から、これまたアンリエッタの父であるゴルザに首を太い腕で絡まれ頬擦りされていたから。もちろん、酔っ払っている。


 そうなると黙っていないのがノイルだ。キンタローの襟元に掴みかかり「次はニナだぞ。婿どの」と、頭を揺らしてくる。


 三人の酔っ払いに絡まれ、やはり反対しとけばよかったかなと、ちょっと後悔するキンタローだった。


 最後の嬉しい出来事。それはアンリエッタの懐妊、出産。アンリエッタは、元気な男の子を産む。その子は黒髪黒目とキンタローの特徴を継いでおり、逆に獣人族の特徴はなかった。


 それでもゴルザは両手を上げて喜び涙する。ゴルザに、早速名前をと急かされたキンタローは、シルビアの時の二の舞を演じないように、前々から考えていた名前を挙げた。


「「「きゃーっか!!」」」


 その場にいた全員から反対され、部屋の隅で落ち込むキンタロー。ネーミングセンスを何処かに置いてきたキンタローが考えて考えて考えぬいた名前は“ゴンザレス”。


 勿論これは、ゴルザから一字取って考えた名前。女の子だったらアンリエッタから文字って“アンタレス”だったて事を知る者は、生涯居なかった。


 キンタローは頼りにならず、話合いを行った結果“アル”とトーレスの意見で決定した。


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