第4話 謎の魔人
今日は2月20日。智の姉、里美は6日前に死んだ。あの不可解な事故が原因で。あの後智は叔父の家に引き取られ、今その家の2階の小さな部屋で暮らしている。あの時、智達を襲った奇妙な悪寒はなんだったのか?しかし智はそんな事を考える余裕もない。何しろ最後の生きる希望を失ったのだから。
「何もかもモノクロみてーだ...」
智には世界が白黒に見えている。
「チョロットランドやろ...」
しかし、そんな彼にも唯一色が見分けられるものがあった。それは彼がハマっているスマホゲーム、チョロットランドだ。実は彼はこのゲームの中で、5本の指の中には入る実力者だった。彼は気持ちを紛らわすために、これをやらざるを得なかったのだ。
「あれ?なんだこのキャラ?」
見知らぬキャラを見つけた彼はそのキャラに話しかける。途端...そのキャラがゲームから飛び出してくる。
「わっ!!な、なんだ!?」
ごつい。とにかくごつい。魔人というやつだろうか?
「汝、この力を望むか?」
「は?」
「ええい!ワシだってこんな力要らんのじゃ、受け取れい!」
「え、え、え、ええええ!?」
途端、その魔人の手から飛び出した光が智の口へと入っていく。
そして目が覚める。ほんの1瞬の出来事だったはずなのに、1時間も過ぎていた。
(なんだったんだ?あれ?なんか眠いや...このまま、寝ちまお...)
彼の意識が途切れたその刹那、いきなり目が覚める。そこは見知らぬ森だった。
「なんだここは?」