表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒキニートの夢想日誌(メモリーレコード)  作者: 船橋亮太
プロローグ
3/6

第3話 動き出す物語(後編)

 美里に連れられ、智は夜の東京の街を歩く...。バレンタインデーという事もあって、何か空気が和やかだ。

「今日は、智に行ってもらいたいところがあるんだっ♪」

「?」

 智は美里に連れられ、また歩く。


「着いたよ...。」

「ここは...?!」

 そこは電車の踏切(ふみきり)だった。一年前の2月11日、忘れもしないあの悲惨な事故。智は学校帰りに見てしまったのだ。両親がここの踏切で電車に()ねられるのを。。智は両親が何故はねられたのかを知らない。しかし、15歳という子供の心を病ませるには十分すぎる出来事だった。智はあの光景を思い出し、何か熱いものが腹からこみ上げて来るようだったが、それをぐっと堪えた。

「みさ姉、なんで...なんでだよ!今日は俺の誕生日だろ!?なんでこの場所なんだよ!!」

「ううん。誕生日だからよ。。あれを見て...。」

 そこには両親の名前が綴られた慰霊碑があった。

「なにこれ...?」

 智はそこにある石を知らない。何故なら、あれから1年間、一度もここへ来なかったからだ。

「智も今日で16歳でしょ!身体だけじゃなく、心も大人になったってこと、おじさんとおばさんに伝えなさい!」

「うん...」ポロッ


「そろそろ行こっか♪」

 智が踏切の中間点に差し掛かろうとした時、踏切の警報機(けいほうき)が鳴った。

「やばやば、急げ…」

 その時、背筋にとてつもない悪寒が走った。

(体が動かない??)

「なに...これ、動けない...」

(やばい、電車が来る。このままじゃ2人とも...)

 ドン!

「あ、」

 美里が智を突き飛ばし、そして遮断機が智と美里の間に割り込む。足はまだ動かない。

「智..生きて...」

 グワッシャーンン!!!

 以前にも聞いたことのあるような効果音とともに、美里の姿が見えなくなり、ただあるのは電車の下にあるモノから吹き上げる血しぶきだけ...。

 智は顔についた姉の血を舐める。。そして彼は完全に壊れてしまった。冬の夜に、救急車の音がなり響く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ