第一話 事件から1年
【■▼✖~...】
女の子が、何か言っている...。15、6歳だろうか...?
「.....く....さい」
「ムニャ??」
「はやくおきなさい!」
彼は姉のそのヒステリックな声で起きる。14時31分。
「なんだ姉貴か...イイじゃん、今日土曜なんだから」
「あんたは年中休日だろうが!このヒキニート!ご飯用意してるから早く降りてきなさい!」
と言って姉は部屋から出る。
「あの手抜きで、料理ね(苦笑)...」
床に座ってスマホを眺めながらインスタントラーメンを食べている寝癖爆発してる彼の名前は難波智。東京住みで歳は15。身長180cm、体重70kg、顔はイケメンのつもりらしい。実際モデルのようなイケメンだ。だが彼は学校に行かず、家からも全くでないため、姉からはヒキニートなどというあだ名を付けられてしまっている。
そしてキッチンで食器を洗っている彼女は智の姉の難波美里。歳は俺の4つ上で19。スポーツ万能、成績優秀で立派なOLをやっている。おまけにとびきりの美人だ。智たちの親は1年前の事故で亡くなってしまったため、その時から彼女が智の面倒を見ている。智が学校に行かなくなったのもその頃だ。一年前ということは、彼は受験生。お察しの通り、彼は中学を卒業していない。履歴書を書くにしても、最終学歴が小卒になってしまうので、バイトの面接にすら行けないのだ。
飯を食べ終わった智はまた2階へと上がる。時計は15時20分を指している。彼は事実のベッドへと転がり、またスマホを眺めている。彼かやっているのはスマホゲームのチョロットランドというRPGゲームだ。
4時間後...智はまだゲームをやっている。
「智ー、晩御飯できたわよ~」
「ちょっと待って姉貴、もう少しで行く」
「早く来なさいよ~」
「おお!肉じゃが!」
「ふふ...今日はあの事件から丁度1年だから、姉さん頑張っちった!」天使の様な笑顔で姉は笑う。
可愛い...智は不覚にもそう思ってしまう。姉と言っても、彼女は智の従姉妹でしかないのだ。おまけにとびきりの美人なのだから、智は姉のことをそういう目で見てないこともない。
「智どうしたの?風邪?」
鈍感な彼女はそういって智を更に困らす。
「ち、ちげーよ!、」
と、智は照れを隠しながら、肉じゃがを食べる。
「...」
「...どう?」
「母さんの...味がする」ポロポロ
智はその懐かしい味に不覚にも泣き出してしまう。
「みさ姉...俺...ごめん」ポロポロ
「ん?」
「...この一年、こんなだらしない俺を養ってくれて...」
「....。いいのよ。お姉ちゃんは、それすらも生きがいに感じてるだから」
「みさ姉ぇえ!」
智は美里に抱きつき、一晩中泣いた。