乙女ゲームですか……
「……知らない天井だ」
きゃー!きゃー!本当に言っちゃった!!絶対に言う事は無いと思ってたセリフなのに、この日が来るとは!
消毒液の匂いがするから、多分ここは高校の保健室なんだろう。
たしか体育館でいきなり倒れた筈だからね。
頭ははっきりしているので熱も出てないし、大丈夫そうだ。
にしても、私が転生していたとはね。しかも、乙女ゲームの世界に。うわぁ、マジかぁ。
小説で何度もこういうタイプ読んできたけどあんまりだわ……これ
乙女ゲームは乙女ゲームだけど、この世界は前世で読んでいた『乙女ゲームの悪役に転生したんだって』っていうネット小説の世界なんだよね。何というビミョーな位置にいる私。
という事は、『乙女ゲームに転生した』と思い込んでいる娘が居るって事だよね。わぁ、痛い子。私も客観的に見るとそうだけど。
前世で一番好きだった小説なので、内容は理解している。
ふふふっ。なら、傍観者としてトコトン楽しんでやろう!!そして幸運な事に特色入試で入った私はヒロインや攻略対象、悪役令嬢(転生者)と同じ特進クラスなのだぁ!!
いやぁ、今から楽しみです。グフフフ「もう起きましたか?」
男性の声が聞こえるとベットの周りを囲っていたカーテンがシャッと開かれた。
あ、そうか。なんか浮かれてたけどまだここは保健室だった。……という事は……
「気持ち悪くは無いですか?」
優しい声色のさっきカーテンを開けた人。この人こそ、小説の中のゲームの攻略対象者の……って、ややこしい!……とにかく!攻略対象者の小金井 透。保健室の先生だ。白衣着てるし、小説に書いてあったとうり色素の薄い髪色で琥珀色の瞳をしているから間違いないはず!
「あの……、なにがあったか覚えていますか?」
あ、無視してた。スンマセン。てか、めっさイケメン。
「気分は良くなりました。たしか、体育館で倒れてしまって……」
「ええ、入学説明会の途中に倒れていたので保健室に運ばれて来たんです」
ああ、やっぱり。
「熱は出てないようなので、保健室で様子を見るようにしたのですが、その様子なら大丈夫そうですね」
「はい。ありがとうございます。ご迷惑おかけしました…………ったい!」
とくに何ともないのでベッドから降りようとしたら、足に痛みが走った。
「きっと倒れた時に足を捻ったのでしょう。歩けますか?」
もう一度足を付けて立ってみようとしたら思いの外痛い。捻挫ってこんなにも痛いものだっけ?
うわーこれから傍観する下準備に動きまわろうとしてたのにー。
残念。うっわ。これ、帰れんのかな。タクシー代も高いし、バス停までも少し距離がある。どうしよう。
「もし、歩けないのならば、家まで送りましょう。」
「ふぇっ!?」
なっななななななんですと!?それは、それはまるでゲームのイベントの様ではないか!
「時間が時間ですし、元から家まで送ろうと思っていたんです。足も辛そうですし、ね。」
「は、はい。おねがいします」
ヤバい!今きゅぅーんとした。なに今の、ちょーかっこいい。さり気ないウインク最高です。小説以上です。
ていうか、この捻挫マジ痛い。これ、ステータス表示なら状態異常に捻挫ってなるな。何それダサい。笑笑
あ、転生者特典みたいのでステータスって見れないのかな。小説の中ではそーいうのは書いてなかったけど。
私を送る準備をしている小金井先生に聞こえない声で「ステータス」と言ってみる。
名前︰小林 恵
性別︰女 年齢︰15
レベル︰1(182)
HP︰12/15(689/690)
MP︰10/10(800/800)
筋力︰8(452)
攻撃力︰5(560)
防御力︰5(620)
魅力︰15(999)
運︰30(999)
状態異常︰捻挫
スキル︰隠蔽MAX、鑑定MAX、料理9、裁縫9、楽器MAX、歌唱8、集中7、護身術7、マナー9、魔力操作MAX
称号︰転生者、神の暇潰し材料、八百万の神の加護を持つ者
はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
取り敢えず、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?