表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
4章:遠き日より来りて
89/158

88話「拝啓”F”」

1:拝啓”F”


・季節は12月。

すぐ次の土日には地区大会がある。

「・・・ふう、」

今日も部活の練習を終えてライランド・円cryンは

汗を流すためシャワーを浴びる。

今年の3月にユイム・M・X是無ハルトと

出会って海上エキシビジョンで戦って

交換チェンジのカードの効果で体が入れ替わって早8ヶ月以上。

憧れの少女ひとの体も最初は戸惑いしかなかったが

今では結構慣れてきた。

7月と10月に1度ずつ元の姿に戻ったこともあったが

基本この姿で過ごしてくればそりゃ慣れるというものだ。

そのユイムとも10月に会った時に無事告白に成功して

同じく自分の事情を知りユイムの事が

好きな少女シュトライクス@・イグレットワールドと3Pを交わし、

無事昨日二人共妊娠に成功という結果が医者から正式に診断された。

試験管養育に移すのは早いほうがいいとのことなので

すぐに二人の子宮から成長した受精卵を取り出して試験管に移された。

ユイムの姉であるキリエ・R・X是無ハルトはやや困った表情だったが

既に了承はとっているため否定的な言動は一切せず見守ってくれた。

この事は自分の事情を知るパラレル部の仲間である

ティライム・KYM、赤羅門・ミドリュエスカラナイト、ケーラ・ナッ津ミLクにも伝えた。

政府議会から交換チェンジを含むナイトメアカードの存在を

なるべく秘匿にするよう命令が出ているため事情を話せる人数が少ないのが

未だ悩ましい限りだが無責任ながらそんな生活にも慣れてきてしまった。

「・・・妊娠を経験せずに出産出来るって中々すごい時代ですよね。」

「まあ、厳密に言えばどっちもしてるっていうかどっちもしていないっていうか・・・。」

ライラの言葉にシュトラが返答を詰めらせる。

一夜を共にした仲ということもあってか

もはやさも当然のように一緒にシャワーを浴びている。

尤もそれ自体は今年の5月の時点で既に経験済みだったが。

とは言え比較的早めにライラの事情を知ったシュトラはともかくとして

遅めに事情を知ったケーラ達3人までもが

さも当然のように一緒にシャワーを浴びているというこの状況はちょっと歪だった。

中身はともかく体は女性ユイムのものだからかケーラとラモンは

全く気にしていないようだがティラの方は明らか気にしている。

それも羞恥というよりは興味という方向性で。

「ティラは昔からムッツリだったからね。

だからそんな胸がでっかく育ったんだよ。」

「そ、そんなことないもん!」

昔馴染みであるラモンとティラは相変わらず仲が良さそうだ。

「しかしお二人共本当に受精卵摘出後間もないというのに

すぐに公式大会に参加してよろしいのですか?」

「お医者さんは大丈夫だって言っていました。」

「摘出手術だってレーダーで的確に子宮内の受精卵を

捕捉してからムーブのカードで直接試験管に移動させただけだし。」

「ならいいのですが・・・。」

こういう時いつだってケーラは心配してくれていた。

・・・もちろん他のみんなが心配していないというわけではないが。

「・・・・」

雨のようにシャワーのお湯が自分の体を打ち付けてくる。

自分の体を見下ろせばかつての姿よりも小さな胸、

そして申し訳程度に繁る陰毛とそれに囲まれたスリットが目に入る。

2か月前にここを自分の虚像が貫いたのだと考えると

やはり申し訳なさや猜疑に襲われる。

「・・・ライラくん、どうかしたの?」

「あ、いえ。もうすっかりユイムさんの姿に慣れてしまったんだなって。」

「まあ、全く他人の姿だものね。

今思えば最初の方は記憶喪失って言われててもどこかおかしかったわ。」

「でもライラくんも大変だったでしょ。

男の子なのにいきなり女の子の体になっちゃって。」

「あ、それは慣れていたので大丈夫でした。」

「へ?」

ティラの言葉から返って来たのは違和感ある言葉。

「慣れていたってライラくんひょっとして

ユイムちゃんより前に付き合ってた子とかいたの?」

「いやいや、妹さんのことでしょ?リイラちゃんの面倒とかで。」

きっと悪気は一切ないのだろう。

純粋に無知なだけ、自分が言っていないだけだから

この二人はそれを言える。

「・・・。」

ケーラは何かを察したのか黙ったまま何かを考えている。

事情を知るシュトラは何とか話題を逸らそうとしていたり

自分の顔を見やったりしてくれている。

そして、

「大丈夫ですよシュトラさん。

ティラさん、ラモンさん、ケーラさん。

ちょっと長かったり暗かったりするかもしれませんが

僕の話、聞いてもらっていいですか?」

「・・・ライラくん?」

「・・・私は構わないよ。」

「・・・私もライランドさんがよろしいのでしたら。」

「・・・ありがとうございます。

シュトラさんも・・・いいですか?」

「・・・うん。私もユイムさんも憶測しか出来てないから。

直接ライラくんの口から話してくれるのなら・・・。

でも、無理はしないでよ?」

「・・・はい。では、お話します。僕の、本当の僕の話を。」

シャワー室。

そこにあるのは

雨のように降り注ぐ水の音と一糸まとわぬ姿の5人の少女だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ