74話「新たな日々」
18:新たな日々
・ステメラの封印から一週間。
仲間に正体を明かしたことで精神的にも楽になったのか
吐血しなくなったライラは久しぶりに登校する事になった。
「何ですの?怖いんですか?」
フリフリの制服を着て部屋から出たライラはしかし浮かない顔だった。
「え、ええまあ。ティラさん達を信じてないわけじゃないですが
僕が女の子じゃないと知って
女の子の制服で学校に来たら何て言われるか・・・。」
「あなたのお仲間はあなたが信じている通りの方々ですわ。
今までどおり行けばいいんです。
第一そんなことで悩んでいたらまた血を吐いてしまいますわよ。」
「・・・そうですね。分かりました。」
「なら、早く朝食を食べてお行きなさい。」
「・・・いや、あなたも行きましょうよ。」
「わ、私はX是無ハルトの業務がありますし・・・」
「・・・お友達、いないんですか?」
「そ、そんな哀しい目で私を見ないでください!
き、級友くらい私にもいますわ!」
「・・・本当ですか?」
「くっ!あなた最近本当にいい性格になりましたわね・・・!」
「ほら、さっさと学校へ行く準備をしてください。
キリエさんにだって制服はあるのでしょ?」
「ありますわよ!私だって学生なのですから!」
「なら着替えてください。」
「・・・ぐぬぬ・・・」
それから真っ赤な顔をしてキリエは自分の部屋にすっ飛んで行き、
数分後に制服姿で戻ってきた。
「これでいいのでしょ!?」
「はい。お似合いですよキリエさん。」
「・・・ぐぬぬ・・・」
それから二人で朝食をとり、スカイカーに乗って学校へと向かった。
「ところであなたひょっとして学校中の生徒全員に話すつもりですの?」
「いや、流石にそれはアルナカタタさんに怒られちゃいますよ。
本当の僕を知るってことはナイトメアカードの
秘匿命令も加わるってことなんですから。
流石にあれだけの人数がナイトメアカードのことを知ってしまえば
またユイムさんのような人が増えてしまうと思うんです。
部活の中等部の方々には伝えたいところですがそれでも人数が多いですし
まだ中学生の彼女達を巻き込みたくないので・・・。」
「・・・相変わらず真面目ですわねあなたは。」
「はい?」
「何でもありませんわ。・・・そろそろですわね。」
キリエが口にして10秒ほどでスカイカーは校門前に到着した。
二人が降りるとスカイカーは自動で空へと去っていった。
「おっはよー!ユイムちゃん!キリエさん!」
「あ、ティラさんラモンさん。」
そこでいつもどおりティラとラモンが登校して来た。
「珍しいですねキリエさんが登校とは。」
「この子がどうしてもと私を脅すので。」
「そんな人聞き悪いこと言わないでくださいよ。」
「あはは。もうすっかり元気そうだねユイムちゃん。」
それから昇降口でキリエと別れ教室へと向かう。
「おはようございます。」
「よっす。」
「あ、ケーラさんミネルヴァさん。おはようございます。」
「もうお体は大丈夫なのですか?」
「はい。ミネルヴァさんも大丈夫ですか?」
「あたしを誰だと思ってるんだい?
もうすっかり元気で今日から部活にも行けるさ。
そこで本当のあんたとやってみたいものだしね。」
「え?」
「あの後アルナカタタさんから聞いたんだ。
ま、あたしもあまり気にする方
じゃないからあんたも気にしなさんなって。」
「では、失礼します。」
ケーラとミネルヴァが自分の教室へと入っていく。
それを見送ってから3人が自分の教室に入る。
「おはようございます。シュトラさん。」
「ライ・・・ユイムさんもう平気なの?」
「はい。おかげさまで。」
「・・・なるほど。今まで何度かシュトラがライって言ってたけど
こういうことだったのか。てっきり新しい返事かと思ってた。」
「私を変人にしないでよ!」
「おはよー、シュトラちゃん。」
「おはようティラ、ラモン。・・・で、何もしてないよね?」
「へ?」
「私達をあんたと同じにしないでよ。」
「何よそれ!」
「あ、あのシュトラさん落ち着いて。」
「・・・・だってぇ・・・・。」
「おはようございます。」
今度は後ろから民子が教室に入ってきた。
「民子さん。おはようございます。」
「おはようございます、ユイムさん。
もう具合は大丈夫なのですか?」
「はい。おかげさまで。民子さんもあの後大丈夫でしたか?」
「はい。私の方は問題ありません。
ただラットンの方は攻撃性が秀ですぎた機械人形でしたので
対人装備を外す作業に手間取っているそうです。
ですがもう一週間もすれば私と同じようになれると思います。」
「そうですか。ラットンさんすごい魔力でしたから
もしパラレル部に入ってくれたら頼もしいです。」
「そこまで可能かどうかは分かりませんが彼女にも話しておきます。
・・・まあ、
その前にあなたは後ろの方をどうにかなさった方がよろしいかと。」
「後ろ?」
言われたとおり後ろを向くと何故かシュトラが唸りを上げていた。
「え、シュトラさん?」
「恐らくラットンと言う頼もしい部員が新しくは入れば
あの方のレギュラーが危うくなるからではないでしょうか?」
「・・・あー・・・」
「こら納得しないで!」
シュトラが声を上げると予鈴が鳴った。
「1時間目は体育です。早く移動しなくては。」
「そうですね。」
「いい?二人共。しっかり視線を追うのよ?」
「ラジャー。」
「今まで意識していなかったけど案外面白いかもね。」
何やら後ろで恐ろしい計画が話されている気がする。
それから体操着を持って更衣室に行く。
すっかり見慣れてしまったとは言えそれでも当然目移りはしてしまう。
「こちらKYM。ターゲットは2回ほど丹波さんの生おっぱいを見ました。」
「こちらイグレットワールド。丹波さんは体育の時ノーブラだからね。」
「こちらミドリュエスカラナイト。
それに大きさも形も中々のものだからね。」
「・・・こちら円cryン。あなた達何してるんですか。」
着替えながらメモ帳片手にヒソヒソ話をする3人を横目で睨む。
「きゃー!ユイムちゃんのエッチー。」
「て、ティラさんってば!」
ティラが大げさに声を上げると周りの生徒から笑いがこぼれる。
もちろん誰ひとりとしてライラの素性を知らないため
いつもどおり仲良しグループのお遊びだと思ってるのだろう。
シュトラはもう慣れてるしラモン、ティラ、民子もあまり気にしないからか
いつもと変わらない朝となっていた。
・放課後。
部室にやってくると中等部の後輩達に囲まれる。
皆心配の声を上げてくれた。
若干一名嬉しいのか落胆しているのか分からない微妙な表情の子もいたが。
「ユイムさん、退院おめでとう。」
「ありがとうございます、先生。」
「今度の試合はちゃんと出れるのよね?」
「はい、今のところは問題ありません。
と言っても僕が必ずレギュラーって訳でもありませんよ。
ミネルヴァさんだっていますし。」
「でも相手は実業団よ。
タイトルに名を馳せたあなたの力が必要だと思うの。」
「・・・分かりました。」
それは本当は自分ではないのだが反論する必要はないだろう。
事業団との交流試合は後2週間ほど。
「さあ、やろうか。」
ステージで構えるミネルヴァへと向かう。
「お願いします。」
ミネルヴァと練習を重ねて強くならなくては。




