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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
3章:鋼鉄の謀略
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70話「パラレル収束する日・前編」

14:パラレル収束する日・前編


・ライラが入院することになった翌日。

ケーラが指揮してパラレル部は今日も活動された。

「ユイム先輩は大丈夫でしたか?」

「うん・・・。まだ時々血を吐いちゃうことがあるみたいだけど

ゆっくりおとなしくしていれば自然と治る病気だって言うから。」

シュトラが後輩達に説明をする。

ライラ、引いてはユイムのいない部活はかなり久しぶりだった。

実際はまだライラが入ってから半年も経過していない、

去年はほぼまる一年間ユイムはいなかった。

ティラ、ライム、ケーラの

3人だけで来る日も来る日も練習をするだけの日々。

あの時と違うのはシュトラや後輩が居ることだ。

「ユイムさんが帰ってくるまでにもっと腕を磨いて驚かせましょう。

特にパルフェ、あなたは最近めきめきと強くなってきているから

もし仮にこのままユイムさんが戻らずに来月の練習試合を迎えた場合

あなたにシングル戦入ってもらうことになるからそのつもりで。」

「は、はい。」

中等部2年生のパルフェ・可憐DOWが走り込みをしながら返事をする。

(・・・あなたがいない間もしっかり時間は動くもの。

だから慌てないで体も心も治してね・・・。

そしてその時が来たらでいいからあなたの口から話すのよ。

それまで私から告げることはしないわ。

だからなるべくでいいから早めに帰ってきてね、ライラくん。)

心の中で期待の言葉を送りシュトラもまた自分自身のトレーニングに入る。

僅かしか教わることがなかったが

ミネルヴァから聞いたトレーニング法を試してみる。

当然ミネルヴァが過去経験した陰惨な練習法を漏らしたわけではない。

この2年間事業団にいた際のトレーニング法だ。

格闘技に似ている。

呼吸法や重心の置き方、歩法から目線の刺し方。

どれも対人戦における基礎中の基礎だという。

今までは体力作りやプロレス技のかけ方などを重点的に行なって来た。

けど、

「あんたが教わってるのはただの格闘の技。

そりゃ素人相手には有用だけど専門家には通用しない。

体術というのは体力と攻撃技さえあればいいというわけじゃないんだ。

あたしが持ってる漫画じゃそれぞれの分野に特化した

6人の達人を師匠に持ちながらも最初は一切体術を教わらずに

基礎中の基礎の歩法だけで初陣を乗り切った主人公がいる。

今のあんたらじゃその状態の主人公にすら勝ててないよ。」

と、本当に漫画を読みながらミネルヴァに言われたことがある。

「確かにあんたらの使うプロレス技そのものは見事という他ないが

距離の詰め方離し方、回避法防御法いずれも素人程度だ。

また別の漫画でも見たが強力な技だけを

持っていれば相手に勝てるという話でもない。

それで勝てる相手ってのは本当に弱い奴だけだ。

武器を持っていようが魔法を使おうが自分の体で戦う以上は

体術を鍛えておくのは前提条件。ノー体術ノー選手ってところかな。」

まだ完全に理解したわけではない。しかしやり方は教えてもらった。

それを今ケーラを相手に試してもらう。

ケーラも教わったことがあるらしく復習も兼ねてシュトラとの練習に臨む。

相手の目を見て十分に距離をとりつつしかし着実に詰めていく。

互いにカードは持たず徒手空拳で構える。

まるで太極図のように互いの範囲を奪っていく。

重心を膝から下に保ち地面からなるべく

足を離さずゆっくりとしかし迅速に一歩する。

背筋は一本の剣のように直立させ両の手は銃口のように狙いを離さない。

それでいてわが身を守る盾のように防御を怠らない。

防御はただ攻撃をまっすぐ受け止めるのではなく左右にずらすようにする。

視線は出来るだけ相手の目から離さない。

視線を離せば相手の首から下が見えるようになるが

それを相手に見られる上視界が特定されてしまう。

なるべく相手の視線から目を離さずに徒手空拳でせめぎ合う。

それも点ではなく面で。それが体術における対人戦。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

シュトラとケーラが互いに視線を外さぬまま距離を縮め合う。

微かにシュトラの目線が下に移った。

直後ケーラの右手がシュトラの首にかかる。

「!?」

この手から逃れる方法は2つ。

1つは素早く距離を取って無理矢理外すこと。

しかしオススメできない。自分の隙を伺えて急所である首を掴めた相手に

距離を取ることはまず出来ないだろう。

それに握力がかかった状態で首を動かせば最悪酸欠になる。

だからこの方法は採用できない。

続いて2つ目。それは単純に掴んだその手を払うこと。

「っ!」

シュトラが左手でケーラの右手を払った。

その直後ケーラの右足がシュトラの空いた脇腹に廻し蹴りを打ち込んだ。

「・・・くっ!」

「まず一本ですね。」

「・・・流石はケーラさん。ここまで読んでいたわけね。

でも私だって負けない!二度と同じ轍は踏まないわよ!」

「こちらこそ・・・!」

互いに攻防のための手段の模索。それもまた体術にとっては重要なこと。

「・・・ここっていつから空手道場になったのかな?」

「さあ。ただ無関係ってわけじゃないだろうから

私達もいつか教わってみようじゃない。」

基礎コースで練習しながらティラとラモンがつぶやいた。


・一方。

ライラの入院する病室。

この姿になってからX是無ハルト邸のユイムの部屋以外で眠るのは

泉湯王国の旅館以来だった。

やっとユイムの部屋で眠ることになれたライラだったが

流石に病室のベッドで眠ることには慣れたくはなかった。

「・・・はぁ。また言えなかった。

ティラさんやラモンさん、それにMM先生や中等部のみんな。

シュトラさんやケーラさんに言った以上は

みんなにも言わないといけないし。

でも議会で他言は控えるように言われてるし・・・。

僕、どうすればいいんだろう。」

「なるほど。考え込むと止まらない癖があるというのは本当のようね。」

「へ?」

ノックもなしにドアが開けられ中にラットンが入ってきた。

「え、え!?あなた確かラットンさん・・・!?」

「こんにちは、ユイム・M・X是無ハルト。

いいえ、ライランド・円cryンと言ったほうがいいかしら。」

確かにこの少女はあの機械人形だった。

しかし普通の女の子らしい服を着ていたり喋り方がやけに落ち着いている。

この数日で何があったのだろうか。

「あの、いろいろ聞きたいことがあるんですが・・・」

「いいわ。でもその前に盗聴器の有無を確認させてもらう。」

そう言うとラットンは人間の耳には聞こえない超音波を発した。

これを浴びた盗聴器はすぐショートをしてしまう。

「・・・盗聴器はないようね。それなら話しましょうか。」

今まで見せなかった初めての表情を見せてラットンが口を開いた。

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