51話「笑顔の贖罪」
21:笑顔の贖罪
・ともあれしばらくシキルはラウラが見張ることにして
ライラ、キリエ、シュトラはティラを探すこととなった。
泉湯王国国外の海に来たことで
スカイカーを呼べるようになったためそれで泉湯王国を
迂回して山TO氏の方へともどる。
「でも、ティラの居場所なんて分かるの?」
「う~ん、何か手がかりになるようなものがあればいいんだけど・・・。」
「確かあの方はKYMの後継者でしたわよね。
KYMならば何か知っているのではありませんか?」
「・・・KYM・・・そうだ!確かティラさんのチョーカーには
発信機がついているんだ!それを今でも辿れれば・・・!
KYMシップへ行きましょう!」
ライラがスカイカーの目的位置をKYMシップへと向け、
キリエがKYMシップへの連絡を取る。
「はい、こちらノーザスター・KYM。」
「もしもし、私キリエ・R・X是無ハルトというものですが。」
「おお、X是無ハルトの・・・。
ユイムさんの姉上殿でしたかな?先日は妹君のおかげで
無事わが娘が後継者に選ばれました。」
「その娘さんなのですが。現在位置が分かりますでしょうか?
P3に掛けても応答がないもので・・・。」
「・・・もしやわが娘が何かしでかしましたか?」
「いえ、そういうわけでは・・・。」
「娘のチョーカーにはもしKYMの財産を狙って
誘拐されてしまった時のことを考えて発信機を付けているのです。
今、その反応を追いましょう。・・・・・ここですな。
座標をP3に送っておきますので。」
「ありがとうございます。」
キリエが電話を切り送られてきた座標をライラに見せる。
「ここは・・・中学校・・・?」
・中学校。体育倉庫。
そこにティラはいた。が、何故か下着姿にさせられていた。
「・・・夏紀くん、どういうつもり・・・?」
正面には夏紀やその友人らしき男子中学生が5人いた。
「ノーザスターのおじさんが作らせて君に付けたその首輪には
細工をしてあるんだ。だって作ったのは僕の両親だからね。
僕の持つこのコントローラが効く範囲、大体半径20メートルくらいなら
君はそのチョーカーによって全ての魔力を封じられる。
・・・何やらさっきまでの君はおかしかったけど
今の僕にかかれば全くの無抵抗。
だってそうだろう?せっかく数百万もかけて
相手が魔力を一切使っていない場合&危害を加えないもの限定で相手に
自由に命令できるこの従のカードを手に入れたんだから。」
「・・・あたしをどうするつもり・・・?」
「後継者の枠を僕に譲れ。さもなくばこいつら全員でレイプする。
男子中学生の性欲を甘く見ないほうがいいよ。
ティラ、君みたいに下手にロリ巨乳だと特にね。
・・・いや待て。お前胸をどこにやったんだ・・・?」
「そ、それは・・・。・・・でも、いっか。」
「ん?」
「多分さっきまでのあたしは大変なことになっていた。
見たこともないカードを使ってたくさんの人や街を・・・。
それにラモンだって多分この手で傷つけてしまった。
だからそれに比べたら
ここで夏紀くん達の玩具になっていた方がいいかも知れない。
ほら、好きになさいよ。でも大人のレディはただ突っ込まれるだけじゃ
気持ちよくなんてならないんだからねッ!」
「・・・なら、スレイブの力で。」
「・・・っ!!」
いきなりティラの手が勝手に動き始め下着の中に入っていった。
「危害は加えないよむしろ気持ちよくさせてあげるんだ。
君が一人で勝手に気持ちよくなって心も股も開いたら
その時こそ僕ら全員の欲望を受けてもらう。
そして君と僕の間に生まれた子供を次の後継者にすればいいのさ。
それまで僕は摂関していればいいわけだからね。」
「・・ううう・・・あっ・・!!」
男子中学生達の前で自ら下着に手を
突っ込んでスリットを上下に擦り始める。
気持ちいいのに気持ち悪い。
これでいいはずなのに絶望だけが湧き続けてくる。
(・・・ラモン・・・ユイムちゃん・・・あたし・・・どうしたら・・・)
「な、なあ、」
「ん?」
「突っ込むのは後がいいとしてもさ、俺らもう我慢できねえよ・・・!」
「・・・ならしゃぶってもらえば?」
「へ、へへっ、年上のロリ巨乳をイラマチオとは中々出来ないぜ・・・?」
他の5人が自慰しか出来ないティラを囲み始めた。
そしてベルトに手をかけた次の瞬間。
「テンペスト・行使!!」
突如室内だというのに暴風雨が吹き荒れた。
「な、なんだ・・・!?」
「・・・ステップ・行使!」
次にドアを蹴破ってライラが突入して
一気に無防備だった5人を蹴り倒した。
いずれも怪我はないようだが白目を剥いていた。
「やはりあなたでしたか・・・」
「へえ、こんなところにまで来るなんて。」
「今はあなたのお遊びに付き合ってる場合じゃないんです。
ティラさんを返してもらいますよ。」
「いいけど、これがないとティラはどうにかなっちゃうんじゃないの?」
夏紀がコントローラを見せる。
「それは・・・」
「ゆ、ユイムちゃん・・・!あれがあたしの魔力を封じてるの!
だから今あたしは無事で・・・でも・・・」
「・・・キリエさん、お願いします。」
「お姉さまとお呼びなさい。」
ライラの後ろで溜息をついてからキリエがティラの許へ向かう。
「龍・行使」
と、夏紀がカードを発動させた。
同時に体育倉庫を崩壊して
全長10メートルほどのレッドドラゴンが出現した。
「ここではライフは発動されていない。
その状態でコイツの攻撃を受けたらどうなるかな?」
「・・・・・」
「お前達みたいなパラレル選手は確かに強いけど
そう言う奴に限ってルール無用の命懸けのケンカって奴には弱い。
結局本当に強いのは殺意に身を任せられる素人ってことなんだよね!」
「それは違う。」
「ん?」
「本当に強いのは何でもいい、何かを守るためなら
他のあらゆる何かを消し去ってでも構わないと引き金を握るその心だ。
砲・行使!!」
カードから魔力の極太なビームが発射されてレッドドラゴンに命中する。
一撃では倒されなかったが衝撃で夏紀が吹っ飛ばされる。
「な、な、な・・・」
「・・・・・」
無言で2発目を放ち、レッドドラゴンに命中。
その左腕と左翼を消し飛ばし、破片が飛散して夏紀の周囲に落ちる。
「あ、あああ・・・・・・」
3発目が右足の付け根を貫通して尻尾をちぎり飛ばし、
それが尻餅をついた夏紀の両足に落ちる。
「ぎゃあああああああああああ!!!」
「ら、ライラくん・・・・」
シュトラだけがそれを目撃して唖然としている。
そして4発目が放たれて
夏紀の眼前でレッドドラゴンは無数の肉片となった。
「分かりましたか?暴力というのは偽物だろうと本物だろうと
相手の心を痛めつけ苦しめるだけのものです。
そんなもので手に入れたものなど何より小さい。
・・・君はまだ若い。暴力の痛みを心に覚えておけば
きっと優しい大人になれる。その時を楽しみにしていますよ。」
「あ、ああ・・・・・」
夏紀は目を回して倒れて気絶してしまった。
しかしそれには目もくれずライラはティラ達の方に向かう。
「・・・私にはライラくんの方が不安だよ・・・」
シュトラの呟きは砂煙によって阻まれた。
「・・・ふう、」
キリエが疲労の息をこぼす。
「す、すみませんキリエさん・・・。」
ブルーの力でティラの中の性殺女神の力を完全に無力化した。
しかし相当に疲れたのかキリエは残業後に徹マンしたサラリーマンのような
実に苦々しい表情となっていた。
「ティラさん!大丈夫ですか!?」
そこへライラがやってきた。
「ユイムちゃん・・・。うん、あたしは平気だよ。
・・・でも、街が大変なことになったんだよね・・・?
ううん、街だけじゃなくて泉湯王国まで・・・」
「・・・はい。」
「・・・よくさ、ドラマとかでは罪を背負った犯人が自殺するのを
それは逃げだって言って止める人とかいるけどさ、
・・・そういうの自分の中で必死に働かせてるんだけどさ、
・・・つらいよね・・・?どうしようもなく・・・。」
「・・・そうかもしれません。でも僕達にはあなたが必要です。
いつもどおり笑っていてください。辛い時は泣いても構いません。
それでも、
今までティラさんの笑顔に癒されてきた僕達だっているんですから。」
「・・・ユイムちゃん・・・」
涙を流し、それでも笑顔を崩さずにティラがライラにその身を預けた。
「・・・・・・・ん、」
シュトラのP3が鳴り出した。
「ラウラさん?どうしたの?」
「シキルが動き出した。泉湯王国を出てどっかに向かった・・・!」
「え・・・!?」
「まさか、ここに・・・!?」
ライラが立ち上がる。




