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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
2章:泉湯王国(アク・サスファンテ)と性殺女神(セキシキルアルクス)
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48話「海より深く沈んだ絆」

18:海より深く沈んだ絆


・気付けばそこは海となっていた。

川が氾濫した?いや、そんな規模じゃない。

まるで海そのものがワープしてきたような感じだった。

「・・・ぷはっ!!」

ライラが水面から顔を出す。

「ケーラさん!!」

右手でケーラを引き上げる。

「・・・ぐっ・・・・!」

背中を刺されさらに水没寸前となって意識がない。

スカイカーを呼んで車内に入る。

「・・・・ひどい・・・・。」

空から街を見下ろした。

会場どころか街全域が海に沈んでいた。

スカイカーが来たということは山TO氏は無事なんだろうが・・・。

「・・・・ティラさん・・・・」

状況を整理してみる。

ティラが突如果物ナイフでケーラの背中を刺した。

そして葬海のナイトメアカードを使ってこの状況にした。

「・・・泉湯王国に行かないと・・・。

でも、他のみんながどうしているか・・・?」

水面を見下ろしていると、

「穹・双行使!!」

カードが発動され海も何もかもを巻き込んですべてが空となった。

見ると、先程まで水中だった場所に他のみんながいた。

マリアとマリナがエアリアルを発動していたが

早くも表情がきつそうだった。

「今行きます!!」

スカイカーに命令して下に向かい、マリア達部員を含む大勢の人々を

安全な場所まで運ぶ。やはりその中にティラはいなかった。

「・・・それに、ラモンさんもいない・・・」

エアリアルを解除すると空が半分になりまた水没した町が現れた。

「・・・空間支配系じゃない、自然干渉系なんだろうけど

ナイトメアカードだから規模が出鱈目だ・・・。」

むしろ発動を解除したら即座に消える空間支配系と違い、

自然干渉系は操ることが出来なくなるだけで即座に消えるわけではない。

この町の水没は完全に天災によって襲われていた。

これだけの被害、復興するには何年もかかるだろう。

犠牲者もきっと数え切れないほど出たに違いない。

「ねえ、どうするの?」

「キリエさんに連絡してから泉湯王国に行く。」

そう言ってライラがP3を手にとった。


・町外れ。

「・・・ラモン・・・」

ティラがつぶやく。真正面にラモンがいた。

「悪いけど力ずくでもあんたを止めさせてもらう。

それが私を拾ってくれたことに対する恩返しだ!」

「・・・やめてラモン。今のあたし何をするか分からない・・・。

あなただけは傷つけたくない・・・」

「壁・四倍行使!!」

カードを発動し通常の4倍魔力を消費することで

ティラの四方を囲むように4つの壁が出現した。

「・・・ダメだよラモン。そんなんじゃ・・・。

破砕・行使」

カードが発動され4つの壁すべてが一瞬で砕け散った。

「一瞬で4つすべてが・・・」

「今あたしに触ると多分人間でもこうなっちゃう。

だからもうあたしは放っておいて。」

「・・・覚えてる?4年前のこと。

あんたは初めてスカイホースに乗った時制御が出来なくて

何でもかんでも突き飛ばしながら進んでいた。

その時あんたは今と似たような事を言っていたよ。

だから!あの時と同じよう私が止める!」

「・・・あの時と同じようにラモンは大怪我しちゃうよ・・・?

ううん、大怪我どころか死んじゃうかも知れないよ・・・?」

「あんたが拾ってくれなきゃ私はとっくに死んでいた!

だから、この命をあんたに返す!コール・行使!!」

そしてコールの効果でスカイホースを呼んだ。

「バリア・行使!」

さらにスカイホースに跨った自分ごとバリアで包み込む。

「試合じゃ出来ないけど試合じゃないならこういうことだって出来る!」

アクセルを全開にして一目散にティラに突っ込んでいく。

当然のようにティラは跳ね飛ばされる・・・が

がっちりと指でバリアを掴んで

空を走るスカイホースにしがみついていた。

その状態でもクラッシュは

発動中のためバリアがすごい勢いで破壊されていく。

しかしその度にラモンが再発動していく。

「・・・ラモン・・・・」

「うおおおおおおおおおおお!!」

そしてそのまま時速120キロで高層ビルに突っ込んでいった。


・ケーラを病院に連れて行ったあと

ライラ、シュトラ、キリエの3人でスカイカーを飛ばし、

泉湯王国へと向かっていた。

「・・・あれは・・・?」

シュトラが4時の方向で倒壊していくビルを目撃。

「・・・ものすごい魔力の気配がします・・・。」

「ええ、恐らくナイトメアカード。ティラさんでしょう。」

「となると戦っている相手はラモンさん・・・!?」

「・・・早く行かないと・・・!」

行き先を変更、Uターンしてスカイカーがビルへと向かっていく。

ビルが崩れ去っていくなどここ数十年はなかった事態だ。

スカイビハイクルの運転ミスでビルに突っ込むというのも

黎明期にはあったが現在は

自動旋回システムによりありえない状況となっている。

「・・・・・ぐっ・・・・・!」

「あれは・・・!!」

倒壊していくビル。その残骸に紛れてラモンが落ちていくのが見えた。

「間に合え・・・!」

速度を上げスカイカーが落下していくラモンを追いかける。

地上100メートルほどの高さから落ちれば

たとえ肉体強化のカードを使っていても

重傷は免れない。それに現在のラモンは気を失っているようにも見える。

「ロープ射出!!」

ライラがもう必要なくなったためスカイカーに

予備しておいたフック付きロープを射出してそれがラモンの腰に絡まる。

それからロープを引き寄せてラモンを回収する。

「大丈夫ですか!?ラモンさん!」

「・・・ユイム・・・か。

すまない・・・ティラを止められなかった・・・。

あの子はどこかに行っちゃったよ・・・。」

「・・・ラモンさん・・・」

一度着陸してラモンを駆けつけたレスキュー隊に託す。

「シュトラさん、キリエさん。行きますよ!」

「ええ!」

「もう一度あの男女を成敗しなくてはなりませんわね。」

3人がスカイカーに乗り込み泉湯王国へと向かう。


・泉湯王国。まだ2週間ほどしか離れていなかった泉の国。

あれから国民は性別が回復してやっとまともに国家として機能し始めた。

だが、今や再び崩壊の危機に苛まれていた。

「・・・どうしてこんな・・・」

ラウラが更地で拳を握り俯く。

視界に広がる泉湯王国は枯渇しきっていた。

水路は全て干魃していてまともに移動することも難しい。

そしてそこには無数の死骸も転がっていた。

それら全てがまるで全身から水分を

一滴残らず吸い尽くされたかのように干からびていた。

「・・・どうしてこんなことになったんだ・・・シキル・・・!」

空を見上げる。枯れた空にはまるで天使のように羽衣に身を包み

6枚の翼を生やして浮かぶシキルの姿があった。

シキルが手をかざすとさらに遠方から

水が引き寄せられて吸い込まれていく。

そして人々は性別と水分を殺されて死んでいく。

「性殺女神は死んでいなかった・・・!

ばかりかさらに凶悪になって戻ってきたんだ・・・!」

ラウラが膝から崩れそして倒れた。

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