47話「沈む胸」
17:沈む胸
・そして迎えた遠藤峰高校との交流試合。
MMと向こうの監督が握手をした。
どうやらMMの中学時代の先輩らしい。
銀髪ロングの如何にも王子様な外見の男だった。
「・・・MM先生の先輩ってことはあれで29か30かぁ・・・。」
「ハンサムよね。なに、ライラくんもジェラシー?」
「いや、よくあんな格好で外歩けるなぁって。」
「・・・・・」
シュトラとの漫才を終えて舞台中央で一斉に礼をする。
今回は前回と違ってライラに因縁がないためか
部長であるケーラが向こうの部長と握手をしている。
「いい?今日は実戦形式だから前回と違って3勝した方が勝ち。
ちゃんと緊張感を持って試合を行うように。」
「今まで呑気にやれた試合なんて1つもありませんよ?」
「ならもっと気を引き締めなさい。
一応成績では向こうの方が上なんだから。」
MMが注意を呼びかけた。何か向こうの監督とあったのだろうか・・・?
「ティラさん、」
出陣前のティラに声をかけた。
「なぁに?ユイムちゃん。・・・あ、」
振り向き際にその胸を触る。
「・・・やっぱり縮んでいますね。」
「だ、ダイエットしただけじゃないかな?」
「・・・・・ティラさん。」
「・・・ごめん。」
するとティラが下を全部脱いだ。
陰裂がほとんど消えかかっていた。
まるであの時見たヒカリのものに近付いて行っている感じだった。
「・・・性殺女神は終わっていなかった・・・」
「・・・やっぱそうなんだね・・・。」
「・・・どうしますか?」
「今日はやらせて。みんなのための試合だもの。」
「・・・分かりました。」
「大丈夫だよユイム。ティラは私が守るから。」
ラモンが二人の肩に手を置いた。
「んしょ。じゃ、行ってくるね。」
下着とジャージのズボンを履いたティラとラモンが控え室を後にした。
「・・・どうするの?」
「この試合が終わったら泉湯王国に向かおう。
まだ決着がついていなかったんだ・・・」
・舞台。
ティラとラモンが久々の舞台に上がった。
「けど、本当に大丈夫なの?」
「平気だよ。ユイムちゃん達だって別に何ともなかったじゃん。
きっとこの後に泉湯王国に行く事になるけど
きっと何とかなるよ、絶対大丈夫だよ。」
「・・・ならいいけど。」
舞台中央へ行くと向こう側の選手もやってきた。
「では、これより山TO氏高校パラレル部の
ティライム・KYM&赤羅門・ミドリュエスカラナイトVS
遠藤峰高校パラレル部のグザン・鳳ウム・アラスト&
ロッドトロッド・泥雲・ロードの試合を始めます!」
4人が構え懐のカードに手をやる。
「見合って見合って・・・試合開始っ!!」
号令と号砲。
同時に4枚のカードが宙を切った。
「アクセル・行使!」
「トンファー・行使!」
ラモンが出したトンファーをティラが装備して走り出す。
アクセルの効果でティラの体感時間は通常の半分ほどになっている。
そのため彼女の感覚では時間の流れが半減しているように捉えられている。
対して、
「スロー・行使!」
「スロー・行使!」
相手二人がカードを発動した。
「!?」
思わずティラが立ち止まった。
これはどっちのスローだろうか・・・!?
スローには2種類のカードが存在する。
投と遅。
前者ならあらゆるものを投げ飛ばす力が加わり、
後者ならば今自分が使っているアクセルに近い効果となっている。
その逡巡が隙を作ってしまった。
「きゃ!?」
いきなりティラの頭上から雪の塊が降ってきた。
「ひ、卑怯な・・・・!」
そう。片方はスローと聞こえるように雪のカードを使っていた。
他人には別の単語に聞こえても本人が正しく発音できていれば
発動するのがカードの仕組み。
して、首から下が雪に埋まったティラに相手が二人掛かりで迫る。
きっとどちらかがスロウだろう。だから距離を詰めた。
「スピン・行使!」
雪に埋まったままカードを発動。
アクセルの効果が消えると同時に
ティラの体が超高速回転して雪をはじき飛ばす。
「くっ!」
弾け飛んだ雪が相手二人の顔に命中する。
「やぁぁぁっ!!」
そして回転で勢いをつけたティラがトンファーを投げつけた。
「あだっ!!」
グザンの顔面に2つとも命中してグザンは倒れた。
「おのれ!リング・行使!!」
ロッドトロッドがカードを発動し巨大な輪っかがティラを中心に出現して
一気に縮みティラを縛り付けた。
「ううううううう・・・・!」
「ティラ!!」
トンファーを解除したラモンが助けに行こうとするとリングが動き出して
それに釣られてティラの体もまるで
ラモンの進路を塞ぐように動いてしまう。
「くっ・・・!」
「ら、ラモン・・・」
「グザン!起きろ!まだ試合中だ!」
「・・・あ、ああ。」
痛みをこらえながらグザンが立ち上がりカードを出す。
「スワンプ・行使!!」
そのカードが発動するとティラとラモンの足場がぬかるみ、沼となった。
「わ、わわっ!!」
ティラが転びそうになるがリングによって転ぶことも出来ないまま
沼に足を取られて通常以上に体力を消費してしまう。
「・・・今度は持久戦に持ち込むつもりか・・・!」
試合時間は残り1分半。まだまだあるとは言えもしこの間ずっと
このままだったとしたらラモンはともかく
ティラは相当に体力を消費してしまうだろう。
そのティラは両腕を封じられているからカードも使えない。
どうしたものかとラモンが考えていた時だった。
「あ、」
スポッとティラの体がリングから抜けた。
「何!?」
「・・・また胸が縮んだんだ・・・。でも!」
ティラが走り込み全速力でロッドトロッドの懐に入り込み後方に巴投げ。
「いいタイミングだ!!」
そして飛ばされてきたロッドトロッドにラモンが
ドロップキックをぶち込む。
背中から強烈な一撃を打ち込まれて
ロッドトロッドは気絶しながらぶっ飛んでいった。
「え、嘘・・・」
「たぁぁぁっ!!ロック・行使!」
カードを発動させる。
ロック、岩か閉か・・・!どちらが来てもいいように構える。
と、構えたところ金縛りのように動けなくなった。
どうやら後者の方で数秒だけ体の動きを止められてしまったらしい。
そしてその数秒にティラがコブラツイストを極めた。
「ぐううううううう・・・・・!!!」
「さあ!どうするの!?」
「ぎ、ギブアップ・・・」
「そこまでーっ!勝者・山TO氏高校!!」
アナウンスがかかりティラがコブラツイストを解除。
ラモンと共に喝采の中舞台を後にした。
「・・・ティラ、あんた・・・」
「・・・うん。さっきので完全に性別がなくなっちゃったみたい・・・」
「・・・これ以上何事もなければいいんだけど・・・」
「あ、先輩ー!」
廊下を歩いているとマリアとマリナが歩いてきた。
「今度は勝てたよ。見てたー?」
「はい、見てました!」
「あんた達もケーラやユイムみたいに無敗記録作ってみな。」
「が、頑張ります・・・」
それぞれハイタッチしてすれ違う。
が、その勝負は相手はどちらも高校2年生のベテランだったため
可能な限り限りなく善戦したものの
インターバルを挟む前に倒されてしまった。
「・・・やっぱり地力に差がありますね。」
「けど大したものでしたよ。私も頑張らなければ。」
ケーラが席を立つ。その時。
「・・・あ、」
座っていたはずのティラから声が漏れた。
そして次の瞬間
「・・・!?」
背後からケーラの背中を果物ナイフで突き刺した。
「・・・・あれ・・・・あたし何を・・・」
「・・・・くっ・・・・!」
ケーラが膝から崩れ落ちた。
「ティラ!あんた・・・!!」
中等部の悲鳴が上がる中慌ててラモンとライラがティラを押さえ付ける。
「あたし・・・あたし・・・今、何を・・・・
ケーラちゃん・・・ケーラちゃんをあたし・・・」
「誰か!誰か治療スタッフを!」
「わ、私が呼んでくる!!」
シュトラが走って部屋を出ていく。
「あたし・・・あたし・・・・」
ティラが懐から何かを出した。
それはナイトメアカードだった。
「そ、それは・・・!!」
「・・・・・葬海・解放」
発動。直後会場全体が海の底に沈んだ。




