45話「一時解決?」
15:一時解決?
・キリエが到着してアルクス及び性殺女神が倒されたことを
知ったライラ達。
「・・・そのような姿になりましてからに。」
氷漬けで且つ別人の姿で死んでいるユイムに一言。
「・・・やはりキリエさんでもブルーで治せませんよね・・・?」
「死んだ直後でしたら問題ありませんでしたが
流石に死後硬直したらもう無理ですわね。
でもケーラさんなら出来ますわ。」
そう言ってブルーを発動してケーラの刺し傷を治した。
「・・・何でも出来るんですね。」
「そうでもないわ。屋内ならともかく屋外だと範囲が限られていますし
大量に魔力を消耗しますので一日に2回が限界ですわね。」
「・・・え?じゃあ、性殺女神は・・・」
「何回でもやって領域喰らい潰すなんてハッタリですわ。
そんなこと出来たらとっくに私が最強になっていますわ。」
実際既に2回発動したことでキリエは平静を気取ってはいるものの
相当に消耗しているようでフラフラしていた。
「で、あなたそのカードをどうするつもりですの?」
「・・・・」
ライラがその手に握った救済のカードを見る。
これを使えば誰かの命と引き換えにユイムを蘇生できるかもしれない。
ただ、その犠牲を誰にするかがどうしても決められない。
本来なら自分がなるべきなのだがそれでもしユイムが復活しなかったら
次の手段が必要となるだろう。そう考えていた時だった。
「あ、」
キュアのカードが誰かにひったくられた。
それはヒカリだった。
「ヒカリさん・・・」
「わた・・・私が・・・やる・・・・」
死の寸前というような表情だった。
「チェンジした後自分の体が死ぬとこうなるんだね・・・。
きっともう長くない。全部私のせいだから・・・。」
「ヒカリ・・・あなた・・・」
「シキル、ラウラ。今までごめんなさい。
そのお詫びに私がすべてを解決する・・・。
救済・行使!!」
そしてヒカリが文字通り光り輝く姿となった。
・・・ライラの体だだけど。
「・・・私の命をユイム・M・X是無ハルトに・・・」
ヒカリが祈るとユイムの、ヒカリの体が輝き1つの光となって
ヒカリの、ライラの体に宿った。
「・・・あれ・・・僕は・・・・?」
そしてキュアのカードが解除されると同時にその体は言葉を走らせた。
「あなた・・・どっちですの?」
「え、ユイムだけど・・・ってどうしてお姉ちゃんが居るわけ!?
ってか僕何がどうなって・・・」
その挙動はもはやどう見てもユイムそのものだった。
・・・姿は自分だから正直慣れないけど。
とりあえずシュトラに会わせてから経緯を話す。
「ユイムさん・・・ユイムさん!ユイムさん!!!」
「ああもう、わかったよシュトラ。」
その胸で泣きじゃくるシュトラを抱きとめて頭を撫でる。
「何だか僕が寝ているひと晩の間にいろんな事があったんだね。」
「はい・・・。でもこれで万事解決ですね・・・。」
「ライラくんすごい眠そう・・・。」
「寝てないですから・・・」
「ちゃんと寝ないとダメじゃない。それ僕の体なんだよ?
寝不足はお肌の大敵!
戻った時にブサイクになってたら承知しないんだからねッ?」
「は、はい・・・。それじゃおやすみなさい・・・」
そうして倒れるように眠ってしまった。
・それからはやっと臨海学校らしくなってきた。
ライラを眠らせたままにするためにユイムがチェンジのカードで
自分自身の姿になって久々にクラスの仲間達と穏やかな時を過ごした。
「ケーラ。」
朔夜の下、ユイムがケーラと共に縁側に座る。
「こうして話すのは久しぶりだね。」
「あなたは、本物のユイムさんですよね?」
「・・・うん、そうだよ。」
それだけ確認するとどうにも気まずい空気が流れた。
2年前にユイムが暴走した結果パラレル部はほぼ全滅した。
ケーラもティラもラモンも重傷を負ってしまった。
1年前にお茶会などで少しは溝が浅くなった筈だが
久々に会うとこれまた微妙な感じとなってしまう。
「ライラくんはどう?ちゃんとやれてるのかな?」
「はい。あなたとはだいぶ違うあなたを演じていますよ。
・・・きっとあれが彼の元来の性格なのでしょうね。」
「そりゃそうだよ。あの子に人格なんて演技できる度胸も悪知恵もないよ。
・・・ティラとラモンって大丈夫なんだよね?」
「・・・はい。半年ほど入院していましたがもう・・・。
それに今では問題なくパラレルもやっていますよ。」
「うん、リイラちゃん・・・
ライラくんの妹さんから今までのビデオを見せてもらったよ。
僕の頃には考えられなかったよ、
例え数が足りないからってタッグをするなんて。
本当にライラくんには感謝してもし足りないよ。
・・・まあ、あの子の部屋は中々すごかったけど。」
「部屋?」
「うん。僕の試合を録画したビデオとか
僕によく似た人のAVとかいっぱいあって・・・。
こんな体だけど本当に男の子なんだなぁって思うよ。」
「・・・それは・・・」
と、そこで。
「ま、待ってくださーい。」
「そう言って待つ子なんていないよ~?」
ティラとシキルが追いかけっこをしていた。
「・・・何してるんですか?」
「お、ケーラちゃんユイムちゃん。
いやあ、
シキルちゃんが最近運動不足とかでこうやって走り込みをしているのだ。」
「はあ・・・はあ・・・速いですよ・・・ティラ・・・さん・・・」
ティラは息すら切れてないのにシキルはかなりダウン気味だった。
対して、厨房の方からはラモンとラウラの声が聞こえる。
「ほらこうやって料理はするんだ。」
「・・・難しい。やっぱり料理は作るより食べる方がいい・・・。」
「そんなんじゃお嫁さんになれないよ?
・・・あんた女の子でいいのよね?」
「・・・それはトップシークレット。」
どちらも仲良くやっているようだった。
ただ、
そうなるとやはり少し前までこの体を使っていたあの少女が気になる。
「・・・当然の報い・・・とはやっぱり言えないかな。」
「・・・仕方ありませんよ。
刺された上に本当に亡くなられたのですから。」
「うん・・・でもこんな僕のためにいいのかなって・・・。」
「そんなこと言ったらライラさんやシュトラさんに怒られますよ?」
「・・・あのふたりならいいかな。お姉ちゃんにだけは絶対に嫌だけど。」
「あら、何か言いまして?」
と、そこへ運悪くちょうどキリエがやってきた。
「げ、」
「第一あなたどうして泉湯王国にいたんですの?」
「シュトラから臨海学校の行き先がここって聞いて・・・。
でも前にブランチから泉湯王国にもナイトメアカードを
渡した子がいるって聞いたような気がしたの。
だから念のためと思って一応来たら・・・」
「刺されて殺されたというわけですわね。全くなっていませんわよ?」
「いきなり見ず知らずの子が目の前で自分のお腹を包丁で刺して
その上でチェンジを使うなんて予測できるわけないでしょ!?」
「その見ず知らずの子のおかげで
あなたはまた生きているということを忘れずに。」
「・・・そんなことお姉ちゃんに言われなくてもわかってますぅ~!」
「あ、あの・・・ユイムさん・・・」
と、そこへ枕で顔を隠しながらライラがやってきた。
「あ、ライラくん。」
「えっと、そろそろ交代したほうがいいのでは・・・?」
「う~ん、そうだね。連続でチェンジ使うのも疲れるし
同じ顔の人間が二人いるのもおかしいっか。」
ユイムがチェンジを解除して元のライラの姿になる。
「じゃ、僕はそろそろ帰ろうかな。お姉ちゃん、スカイカー貸して。」
「自分が乗ってきたやつを使えばいいじゃないの。」
「いやあ、それが有料なんだけど今お金がなくて片道分しか・・・」
「・・・はぁ、
そのような姿になってもあなたはX是無ハルトの一員でありますのに・・・。」
そうしてキリエとユイムの姉妹は泉湯王国を去っていった。
それからは何事もなく臨海学校が進んでいき、
二日後にライラ達も山TO氏へと帰っていった。
「・・・やっぱり、これは・・・」
その後自分の部屋でシキルは未だに
自分の体が元に戻らないことを自覚した。




